京都に住んで和風ファンタジー(時には中華風)の取材などする日記

washusatomi

文字の大きさ
51 / 59

「京博のお正月 新春特集展示 巳づくし―干支を愛でる―」見に行きました。

しおりを挟む
 年が明けて、京都国立博物館の「新春特集展示 巳づくし―干支を愛でる―」(※1)と、京都文化博物館の「世界遺産大シルクロード展」に行きました。

 シルクロード展は2回も!行きましたが、まずはお正月気分が薄れる前に、京博の新春特集展示の方を先に書かせていただきます。

 昨年は「辰」ということで、龍をモチーフとした作品の展示がありました。鷲生の記憶では2フロアのたくさんの部屋で開催されていたように記憶しているのですが、今回の「巳」は1階の1部屋だけです。

 手元にリストがありますが、全部で17点。

 うーん、昨年と比較するとちょっとそれは寂しい気が……(「龍」関係が十二支の中でも特に多いのかもしれませんが)。

 あと、京博は写真が原則禁止なので写真もないです。これはちょっと撮らせてほしいと思いますね……。

 展示はまず土器から始まります。
 頭が三角形なのでマムシだと思われる蛇を側面に取り付けた甕がありました。

 縦長の甕(?)の首回りに穴がぽつぽつとに空けてあって、ここにひもを通して布状の蓋を付けたか、革を張って太鼓にしてたかという品物です。
 こういう上部の塞ぎ方をする土器は、もっと時代が下がって平安時代でも庶民に使われていたかも知れません。平安ファンタジーのネタになるかも。

 もう一つの土器は細い蛇が沢山くっついていました。

 その横に「虎艾に五毒文様陣羽織裂 伝徳川家康所用」という布の展示がありました。
 五毒とされる(百足や蛇、蠍など)を虎が追い払う図が、武運を願ううえで縁起がいいので武将の陣羽織に使われたのだとか(記憶が少し曖昧ですが……)。
 2022年の寅年の新春特集展示に出てたようです(ま、虎の方が主役の図柄です)。
 鷲生の記憶では、魔を払うということで菖蒲や蓬の葉の図柄もあったと記憶しています。

 法妙童子が蛇と対峙している絵がありますが。
 その蛇……ほとんど龍の形をしています。
 日文研所蔵のもののようで、ネットでも見られますよ(※2)。

 重要文化財の十二類絵巻では干支の動物が着物を着てミーティング?をしています(※1の国立博物館の展覧会お知らせページに紹介されています)。
 龍が狩衣っぽい男性の格好、その隣に蛇が十二単っぽい女性の格好をしています。
 龍と蛇は似ているので、それぞれ男女と描き分けるのかもしれません。

 京都毘沙門堂の重要文化財の篆隷文体という書では、漢字一文字がくねくねした蛇で表されているという展示がありました。

 この毘沙門堂の篆隷文体というのは有名なもののようで(鷲生は不勉強で知らなかったのですが)、本も出版されています。

 その解説によると

「中国南斉・蕭子良撰『篆隷文体』。多数の意匠化された装飾文字を記録したいわば書体の見本帳であり、その独自性において重要な価値を有する。中国では伝存せず、京都山科の毘沙門堂蔵写本(国指定重要文化財)が唯一の伝本とされる」
 http://www.hoyubook.co.jp/book/detail.php?id=23751

 そうそう、中国で失われた文化財が日本に残ってたりするんですよ。
 だから、日本の中華ファンタジーの書き手はある意味恵まれてるんじゃないかと思いますよ。

 能装束の「淡紅地鱗文摺箔」がありました。
 ただ三角形が並んでいるような抽象的なデザインですが、これが「鱗」を表すものです。
 鷲生の記憶では「道成寺」に使われるのだという解説があったように思います。

 壁沿いの展示の最後は「釈迦牟尼仏像」として大きな絵がかかっていました。お釈迦様の真上に蛇がいます。

 この絵は、東チベット・カムの16世紀のものだそうで、所蔵を示す欄には日本人らしい5名ほどの名前(それも女性らしい名ばかり)から京都国立博物館に寄贈されたものと記載されています。

 うーーん。どういう経緯で京都国立博物館に来たのかその来歴が妙に気になりますねw
 旧家に眠っていて、そこからお嫁に出た娘さんたちが実家の遺産をどうするかで話し合った末に国立博物館への寄贈を決めた……とか? 

 さて。展示室の真ん中のケースには根付が。

 そのうち一つは、蛇と蛙となめくじの「三すくみ」を象ったもの。
「ヘビがナメクジをこわがり、ナメクジはカエルをこわがり、カエルがヘビをこわがる」ものなんだそうです。

 さて……。
 根付=江戸のファッションという点で、鷲生は個人的に一気に見る気がうせてしまいして。

 鷲生はこのところ、江戸時代が大っ嫌いになりましてね……。

 鷲生が2025年の大河ドラマ「べらぼう」に「遊郭をエンタメに使うのは如何なものか……」って書いたら、ある人(仮名@lav)にものすごく怒られましてね……。
(なんで怒ってるのかよく分からないんですけど、怒りで意味不明な怪文書みたいなコメントがついて、気味が悪いからブロックしたら、なんと別垢を作ってまでさらに絡んで来たんです。その経緯はコチラ→※4)。

 もともと江戸時代はあまり好きじゃなかったんですが(好き嫌いというより関心が無かった)、この件ではっきり嫌いになっちまいましてね……。
 あ、嫌いって言ってるのは「江戸時代」ですよ。「べらぼう」の悪口なんか、書いてませんよー。「もう『べらぼう』の悪口なんて書きません。だから私に粘着しないで下さい」って平身低頭でお願いしましたもんねー(@lavさんに向けて必死のアピール!)※5。

 あー気分悪ぅーと思いながら(別に根付に罪はないのにw)その部屋を出ると、1階の広い部屋に大きな仏像の展示がありました。
 平安時代の大日如来(五智如来)の、どっしりした量感と、些末な心の悩みを包み込むような優美なお姿に心洗われたような気持ちで帰途につくことができました(いや、私クリスチャンなんですけどw でも仏像はエエですよね~)。

*****

 ※1京都国立博物館「新春特集展示 巳づくし―干支を愛でる―」
 https://www.kyohaku.go.jp/jp/exhibitions/feature/b/mi_2025/

 ※2 法妙童子
 https://www.nichibun.ac.jp/graphicversion/dbase/naraehon/viewer/pageview.php?pn=20050215003ne_0010#listlink-select

 ※3 「毘沙門堂蔵 篆隷文体」 朋友堂書店による紹介
 http://www.hoyubook.co.jp/book/detail.php?id=23751

 ※4 「べらぼう」「遊郭」への批判を含む内容の記事は削除せざるを得なくなりました(経緯説明です)
 https://kakuyomu.jp/works/16817330661485429107/episodes/16818093091951924946

 ※5 あ、ネットやXで下記のようなものを見ましたけど、私は見かけたものを見たって言ってるだけですからねー。
「べらぼう」擁護派の方、文句があればそれぞれの書き手さんに言ってくださいねー。

 ・「NHK大河「べらぼう」よ、なぜ? 「男が女で遊ぶ場所」が今もある社会で「吉原」大連発 北原みのり」
 https://dot.asahi.com/articles/-/247143

 ・「なんか、べらぼう見ないのに「今週末も、ミソジニーの煮凝りをゴージャスジャポネスクコーティングして性風俗をカジュアルにお届けするやつを、公共放送が、大河枠で、やる」という事実がだんだん心濁らす毒になってきた。」
(Xのポスト。ご迷惑がかかるといけないのでアカウント名は出しませんが、この文章で検索すれば出てくるんじゃないでしょうか)

 ※6 京都国立博物館 「彫刻展示室の新しい顔「五智如来坐像」だリン♪」
 https://www.kyohaku.go.jp/jp/torarin/blog/2018/03/20180309.html
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...