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キリスト教会で結婚式を挙げる……現状の裏話
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晩婚化や結婚式の簡素化で少なくなったかと思いますが、結婚式の選択肢の一つに「キリスト教会で」をイメージしておられる方もまだ多いかと思います。
鷲生は日本人に珍しいクリスチャンで、月に2回ほど教会でキリスト教を学ぶ会に出席しているのですが……。
そこのカトリックの神父様の「結婚」に関するお話が興味深いものでした(テーマは結婚という秘跡についてでしたが、その裏話が面白かったんです)。
日本のカトリック教会では、信者でなくても教会で蹴婚式を挙げることが、制度上は可能っちゃあ可能だそうです(ただし、本来の教会業務に支障をきたさない範囲で)。
しかし、世界標準では、非信徒同士で結婚式は挙げられないものです。
非信徒同士の結婚には「異宗婚障害」、カトリック以外のキリスト教徒と結婚する場合にも「混宗婚障害」という、いかめしい呼び名が付いています。
それでも日本では1980年代に教会での結婚を希望する人が殺到し、これを福音宣教のチャンスととらえた日本の教会がバチカンから特別に許可をもらったのだそうです。
これは外国では見られない現象だそうで。
まあ……考えて見れば、自分が信じているわけでもない神様の前で結婚式を挙げることに意味は確かになさそうですもんね……。
さて。インバウンド客が京都にあふれかえっている昨今。
京都のカトリック河原町教会でも、近年、外国の方から「ニホンのキョートでぜひ結婚式を挙げたい」と要望する人が多いんだそうです。
河原町教会は京都教区の司教座=カテドラルであり、モダン建築としてもすぐれた建物です(※1)
どうも間に斡旋する業者もいるようで、そういうビジネスがからむようなのは、やはりちょっと……ということでした。
ただ、別のちゃんとしたルートで依頼があれば応じることもあるそうです。
神父様は「やってあげてもいいんじゃないかと思うんですけどねー。事実上できないんですよねー」とおっしゃってました。
「結婚」もあれば「離婚」もあるのが世俗の社会というものですが……。
以前も書いたように、カトリックは「離婚ができない」というより「離婚という概念がない」というか……なので、「婚姻の無効」という手続きを取ります(※2)。
以前はハードルが高かったそうですが(イギリスのヘンリー8世が上手く行かなかった著名な例ですねw)。
現在のフランシスコ教皇様の代でぐっと手続きが簡略化されたそうです。
前は相手方を呼び出す必要があったりもしたそうですよ。
今でも、この婚姻は無効であるとするために、ちょっとした文章を書かなくてはならないそうです。
ただ、自分の過去を振り返る機会があって、むしろ良かったとおっしゃる方もおられるとか。
離婚を「結婚の失敗」とか「バツ1」とか呼ぶよりも、「無効だった」と考えてみる方が適切な例も多いんじゃないかなと鷲生も思ったりします。
ちなみに。
昨年のクリスマスにカトリック河原町教会の建物を神父様の案内で見学したのですが。
「懺悔室」っつーのがありましたよ!
映画なんかに出てくるようなアレです。
小部屋が二つあって、こっちの小部屋に信者が入り、小窓の別の部屋に神父様が入って告解を聞くというお部屋が!
このときの神父様の説明で、プロテスタントでは告解がないので、その代わりとしてカウンセリングが発展したのだということでした。
フランスの歴史学者・社会学者のミシェル・フーコーの著作の中にもカトリックの告解とカウンセリングとのつながりを指摘したものがあったような記憶が朧げにあります。
別の機会に「告解」についてのお話がありましたが、だいたい年に一度くらいが推奨されるとのお話だったように記憶しています。
熱心というか、頻繁な方はすごく頻繁で、それはそれでちょっと神父様もお困りになるようですw
鷲生がカトリックの洗礼を受けたら、是非やってみたいと思います。
そうそう、この神父様が最新の勉強会で興味深いことをおっしゃっていました。
キリスト教生活の大きな柱に「隣人愛」があります。鷲生には大きく欠けているものなのですがw
神様はともかく、人間というものは究極的には信じられないもの(その人間が作った教会を含む組織というものも)。
だけど、それを分かっている(だって、自分がそうなんだから相手もそうなんだろうと思う)、そういう冷めた目で他人を見ている人は、人間が100パーセント完全な存在ではないことを理解して受け入れており、それはそのような他人を赦しているということで、そこには「愛」があるんですよ、とのこと。
ほえー。なら、鷲生も隣人愛を日々実践できていることになりそうですw
このときのメインの話題は「祈り」についてで、これもすごくかしこまってしなくても、心の中でちらっと神様のことを考えただけでも、神様はとーっても喜んで下さるんだそうで、「天で大合唱が沸き起こる」のだそうです(有名な方の言葉だそうです)。
鷲生が神様を思い浮かべるときは、たいてい後ろ暗い感情に襲われているときなんですがw そこで神様を思い起こすことが神様を喜ばせることであれば、それはなんだか嬉しい気がします。
ここのところ、フジテレビの性加害疑惑問題で、遠藤龍太郎氏(現時点ではフジの副会長。退職される予定だそうですが)をよくお見かけするので、そのお父様のカトリック作家遠藤周作さんを思い出します。
遠藤周作さんにとって、キリスト教は父性的でいかめしいものであり、多神教で母性的な日本社会と相性が良くないのではないかとお考えのようでした。
ただ、カトリックは1960年代に大きく雰囲気が変わりましたし、リベラルな教皇様もおられて、今はわりと緩い方なんじゃないかと思いますよ~。
皆さまも、機会があればお近くでキリスト教講座とか開かれていたら軽い気持ちでのぞいてみてはいかがでしょう?
*****
※1 三条河原町のカトリック教会の裏手に驚きの建物が……
https://kakuyomu.jp/works/16817330661485429107/episodes/16818093090765453853
※2クリスマス前に教会のお話でも。
https://kakuyomu.jp/works/16817330661485429107/episodes/16818093090264489292
鷲生は日本人に珍しいクリスチャンで、月に2回ほど教会でキリスト教を学ぶ会に出席しているのですが……。
そこのカトリックの神父様の「結婚」に関するお話が興味深いものでした(テーマは結婚という秘跡についてでしたが、その裏話が面白かったんです)。
日本のカトリック教会では、信者でなくても教会で蹴婚式を挙げることが、制度上は可能っちゃあ可能だそうです(ただし、本来の教会業務に支障をきたさない範囲で)。
しかし、世界標準では、非信徒同士で結婚式は挙げられないものです。
非信徒同士の結婚には「異宗婚障害」、カトリック以外のキリスト教徒と結婚する場合にも「混宗婚障害」という、いかめしい呼び名が付いています。
それでも日本では1980年代に教会での結婚を希望する人が殺到し、これを福音宣教のチャンスととらえた日本の教会がバチカンから特別に許可をもらったのだそうです。
これは外国では見られない現象だそうで。
まあ……考えて見れば、自分が信じているわけでもない神様の前で結婚式を挙げることに意味は確かになさそうですもんね……。
さて。インバウンド客が京都にあふれかえっている昨今。
京都のカトリック河原町教会でも、近年、外国の方から「ニホンのキョートでぜひ結婚式を挙げたい」と要望する人が多いんだそうです。
河原町教会は京都教区の司教座=カテドラルであり、モダン建築としてもすぐれた建物です(※1)
どうも間に斡旋する業者もいるようで、そういうビジネスがからむようなのは、やはりちょっと……ということでした。
ただ、別のちゃんとしたルートで依頼があれば応じることもあるそうです。
神父様は「やってあげてもいいんじゃないかと思うんですけどねー。事実上できないんですよねー」とおっしゃってました。
「結婚」もあれば「離婚」もあるのが世俗の社会というものですが……。
以前も書いたように、カトリックは「離婚ができない」というより「離婚という概念がない」というか……なので、「婚姻の無効」という手続きを取ります(※2)。
以前はハードルが高かったそうですが(イギリスのヘンリー8世が上手く行かなかった著名な例ですねw)。
現在のフランシスコ教皇様の代でぐっと手続きが簡略化されたそうです。
前は相手方を呼び出す必要があったりもしたそうですよ。
今でも、この婚姻は無効であるとするために、ちょっとした文章を書かなくてはならないそうです。
ただ、自分の過去を振り返る機会があって、むしろ良かったとおっしゃる方もおられるとか。
離婚を「結婚の失敗」とか「バツ1」とか呼ぶよりも、「無効だった」と考えてみる方が適切な例も多いんじゃないかなと鷲生も思ったりします。
ちなみに。
昨年のクリスマスにカトリック河原町教会の建物を神父様の案内で見学したのですが。
「懺悔室」っつーのがありましたよ!
映画なんかに出てくるようなアレです。
小部屋が二つあって、こっちの小部屋に信者が入り、小窓の別の部屋に神父様が入って告解を聞くというお部屋が!
このときの神父様の説明で、プロテスタントでは告解がないので、その代わりとしてカウンセリングが発展したのだということでした。
フランスの歴史学者・社会学者のミシェル・フーコーの著作の中にもカトリックの告解とカウンセリングとのつながりを指摘したものがあったような記憶が朧げにあります。
別の機会に「告解」についてのお話がありましたが、だいたい年に一度くらいが推奨されるとのお話だったように記憶しています。
熱心というか、頻繁な方はすごく頻繁で、それはそれでちょっと神父様もお困りになるようですw
鷲生がカトリックの洗礼を受けたら、是非やってみたいと思います。
そうそう、この神父様が最新の勉強会で興味深いことをおっしゃっていました。
キリスト教生活の大きな柱に「隣人愛」があります。鷲生には大きく欠けているものなのですがw
神様はともかく、人間というものは究極的には信じられないもの(その人間が作った教会を含む組織というものも)。
だけど、それを分かっている(だって、自分がそうなんだから相手もそうなんだろうと思う)、そういう冷めた目で他人を見ている人は、人間が100パーセント完全な存在ではないことを理解して受け入れており、それはそのような他人を赦しているということで、そこには「愛」があるんですよ、とのこと。
ほえー。なら、鷲生も隣人愛を日々実践できていることになりそうですw
このときのメインの話題は「祈り」についてで、これもすごくかしこまってしなくても、心の中でちらっと神様のことを考えただけでも、神様はとーっても喜んで下さるんだそうで、「天で大合唱が沸き起こる」のだそうです(有名な方の言葉だそうです)。
鷲生が神様を思い浮かべるときは、たいてい後ろ暗い感情に襲われているときなんですがw そこで神様を思い起こすことが神様を喜ばせることであれば、それはなんだか嬉しい気がします。
ここのところ、フジテレビの性加害疑惑問題で、遠藤龍太郎氏(現時点ではフジの副会長。退職される予定だそうですが)をよくお見かけするので、そのお父様のカトリック作家遠藤周作さんを思い出します。
遠藤周作さんにとって、キリスト教は父性的でいかめしいものであり、多神教で母性的な日本社会と相性が良くないのではないかとお考えのようでした。
ただ、カトリックは1960年代に大きく雰囲気が変わりましたし、リベラルな教皇様もおられて、今はわりと緩い方なんじゃないかと思いますよ~。
皆さまも、機会があればお近くでキリスト教講座とか開かれていたら軽い気持ちでのぞいてみてはいかがでしょう?
*****
※1 三条河原町のカトリック教会の裏手に驚きの建物が……
https://kakuyomu.jp/works/16817330661485429107/episodes/16818093090765453853
※2クリスマス前に教会のお話でも。
https://kakuyomu.jp/works/16817330661485429107/episodes/16818093090264489292
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