新夢十夜

赤松帝

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第三夜

もしも時間が戻せたら

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―数日後。

恐れ入りますが、貴方様は先日の幼児殺人の裁判員をされていた方ですよね?
小綺麗なスーツを着こなした男が声を掛けてきた。

すみません、メディアの取材は個々では受けない様に厳命されておりまして困るんです…。
私は恐縮しつつ断りを入れた。

いえいえ、事件に関して何か質問がある訳ではないんです。

はあ…。

只、あの時の貴方様のご様子が何だかとてもお辛そうで印象的だったものですから。

ああそうでしたか。

ええ、皆さんが出された判決にまだ納得がいかれてない様にもお見受け致しました。

いえ、そんなことは…。

私の勘違いでしたら誠に申し訳ありません。

……もう済んだ事です。僕の為すべき仕事は終わりました。

では本当に宜しいのですね?

一体あなたは何を言いたいのですか?

差し出がましい事を申す様ですが、あれが本当に正しい選択であったと思われますか?

必ずしも正しいとは言い切れませんが、過去の判例に照らし合わせた最善の選択だったと思います。

そうでしょうか?残酷にも命を奪われたあの可哀想な男の子が、あの様な悲劇に見舞われさえしなければ、これから沢山の楽しい出来事を経験し、やがて大切な人と出逢い、素晴らしい恋をし、喜びを分かち合い、きっと人生を謳歌したろうと思えるのです。

結果論を振られても困ります。僕達裁判員は神ではない。未来に光をかざす事は出来たとしても、失われた未来は取り戻せない。それに何よりももう判決は下ってしまったのですから、どうしようもないじゃないですか。

でもあなたはそれを望んではおられないのでしょう?

万一望んでいなかった結果だとしても、もはや受け入れるより他ない。僕一人では審判を覆すことは出来ないんだ。せめてもう少し審議する時間の猶予があれば…。

ではその機会を私達が授けると言ったら…?

何だって?

貴方に力を授けましょう。ここにこうしたモノがあります。

……降車ボタン…?

いいえ違います。リセットボタンです。

リセットボタン?



 
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