新夢十夜

赤松帝

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第五夜

巻き戻しのボタン

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こんな夢を見た。
居間で映画を観ていたところ、肝心な台詞の字幕を見逃してしまい、一緒に観ていた孫に声を掛けた。

「おいちょっとリモコンで巻き戻しておくれ。」

孫は面倒そうに振り向きもせずにこう答えた。

「おじいちゃん、もう巻き戻しは出来ないんだよ。」

そんな馬鹿な話があるものか。
私は憤慨しつつも仕方なくブルーレイ・レコーダーのリモコンに手を伸ばし、自分で操作する事にした。

手に取ったリモコンを見ると、あると思っていた巻き戻しボタンが確かにない。
あれおかしいな?マジマジとそれを見つめていると、隣に座っていた孫が振り返ってこう言った。

「時間の巻き戻しは出来ないんだよ。いい年してそんな事も知らなかったのかい?」

「なんだその物言いは?!」
カチンと来て孫を睨み返して驚いた。
孫の顔には、目も鼻も口もなく、のっぺらぼうみたいに真っ白でぺったりとしていた。

私はそこではたと思い出した。


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