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第二章:他罰性の化け物

エピローグ 鈴崎小春

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「まさかまた氷夜の目覚めを待つことになるとはね」

 病室へと繋がる城の廊下を歩きながら私は一人呟く。
 極夜との戦いから一日が経った。
 同じ日に悪魔の襲来があったというのに、まるで何事もなかったかのように物事はスムーズに進んでいく。

 まず氷夜が傷つけた人たちに関しては全員が無事に回復した。
 メロアが懸命に治療したおかげもあるが、今回は兜花の活躍も大きい。
 特にひどい状態だった三人の取り巻きたちの治療に関して、兜花は前の世界で手に入れたアイテムを惜しみなく使ったのだそうだ。
 意識を取り戻した三人が顔を見るなり兜花に抱き着いていた。

 次に元の世界に帰るための取り決めも完了した。
 時空石を奪おうとした兜花に関しては二度とこの世界に足を踏み入れないという契約を交わしたうえで、2日後に前いた世界に戻すことに。

 私も2日後に帰ることができたけど、最後に思い出を作りたかったから一日だけ長く居させてもらうことになった。

 そして最後に残ったのは氷夜をどうするかということだった。
 これに関しては本当にいろんな意見があった。
 
 王であるアキトへ危害を加えたことなどから重罪は免れないとか。
 厳罰は望まないけど体裁のためには仕方ないとか。
 兜花と同じのが適切だとか。

 でも私はそんなの到底納得できなかった。
 だって氷夜は罰せられることを望んでいる。
 それなのに希望通りに罰を与えてしまったら、氷夜にとってはご褒美にしかならない。
 
 そして何よりも私は許せなかったのだ。
 氷夜の人生に与えられる最後の報いがそんなものしかないということに。

 だから私は他の道を模索した。
 そのために精神世界で見たことを共有し、氷夜の辿って来た道筋を踏まえて、何をするべきかをみんなで話し合った。
 そして私たちは一つの結論に至ったのだった。

「聞いたら……あの寝坊助もびっくりするかもね」

 これから氷夜に課す盛大なお仕置きに緩む頬を抑えながら、私は氷夜の待つ病室のドアをノックした。
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