春色フォーチュンリリィ

楠富 つかさ

文字の大きさ
1 / 5

#1

しおりを挟む
私にとって16度目の春がやってきた。春は出逢いと別れの季節だ。今回の別れは親や地元の親友とのものだった。そして、新たな出逢いは――


「ここね、思恩女子大学付属恵明高校学生寮しおんじょしだいがくふぞくけいめいこうこうがくせいりょう

 私、春宮万花はるみやまかは静岡から上京してきた高校一年。とはいえ、今日が寮の入寮日であって、正直まだ中学生の感覚が抜けきっていない。親に無理を言って、この学校―略称は恩恵高―への進学を認めてもらった。まぁ、もとから大学は東京のだと決めていたらしいから、さほどもめなかった。真新しいわけではないが、行き届いた掃除によって綺麗に見える寮。寮というより、ちょっと高いマンションに見える。そんな寮の、割り振られた部屋へ向かう。206号室。ネームプレートには私を含めた四人分の名前。四人で一部屋なのは説明会で聞かされている。広々とした2LDKらしい。深呼吸をしてからインターホンを鳴らす。

「はーい。開いてますよ」
「あ、はい!」

 穏やかで温かみのあるソプラノボイスがインターホン越しに聞えてきた。返事をしてから扉を引く。玄関には二足の靴がきれいに整えられている。どうやらルームメイトの一人は不在らしい。と思いきや、

「あ、そこの人! 扉閉めるのストップなの!!」

 小柄な女の子がダッシュで入ってきた。もう一人のルームメイトは彼女らしい。長い黒髪をツインテールにしたあどけなさにも不思議な色香を感じさせる女の子だ。

「えっと、挨拶は後で全員でするからまだで大丈夫なの?」
「そうだね。取り敢えず、リビングに行こうか」

 部屋の間取りも説明会で聞いている。玄関から真っ直ぐ廊下を進み洋間へ進む。そこには、

「お待ちしていましたわ。お二人とも」
「これで四人揃ったな」

 隣にいる小柄な彼女もだが、目の前にいる二人も相当な美人さんだ。

16回目の春は――三人の美少女との出逢いから始まった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

憧れの先輩とイケナイ状況に!?

暗黒神ゼブラ
恋愛
今日私は憧れの先輩とご飯を食べに行くことになっちゃった!?

AV研は今日もハレンチ

楠富 つかさ
キャラ文芸
あなたが好きなAVはAudioVisual? それともAdultVideo? AV研はオーディオヴィジュアル研究会の略称で、音楽や動画などメディア媒体の歴史を研究する集まり……というのは建前で、実はとんでもないものを研究していて―― 薄暗い過去をちょっとショッキングなピンクで塗りつぶしていくネジの足りない群像劇、ここに開演!!

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

春に狂(くる)う

転生新語
恋愛
 先輩と後輩、というだけの関係。後輩の少女の体を、私はホテルで時間を掛けて味わう。  小説家になろう、カクヨムに投稿しています。  小説家になろう→https://ncode.syosetu.com/n5251id/  カクヨム→https://kakuyomu.jp/works/16817330654752443761

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...