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第5話
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火の玉のお化けみたいなモンスターが三体ほどふよふよと揺らめている。完全に日が落ちてからだと、お化けだと思って逃げ出していたかもしれないけど、まだ夕陽のおかげでモンスターだっていう認識が先行してくれる。
この手のモンスターはきっと物理攻撃があまり効かず、魔法で倒すのが常道のはず。
「水よ、礫となりて疾く撃ちだされよ――アクアバレット!!」
水の弾丸がファイアエレメントを打ち貫いて撃破する。試しに魔法じゃない通常の液体生成で出した水をかけてみると、ダメージにはならない。でも少し火の勢いが弱くなったようには見える。動きが鈍くなった二体に、着実にアクアバレットを叩き込む。
「よし、鎮火!」
他に敵影がないことを確認して私は慌てて倒れていた女性のもとへ駆け寄った。
女性は倒れたままであったが、さきほどより顔色がよくなっているように見える。黒褐色の髪に、よくよく見れば猫のような耳が生えているように見える。
そうだ、鑑定をしてみよう。
名前:リーシア
種族:森猫族
年齢:21
職業:冒険者
レベル:33
状態:高熱、脱水
HP:52/833
MP:82/127
攻撃力:84(+26)
防御力:82(+22)
素早さ:91(+15)
魔法力:53
精神力:72
器用さ:95
スキル:片手剣技、格闘技、跳躍、索敵、隠蔽、疾駆、投擲、裁縫、木工
装備:軽量鉄の長剣、スタッドグローブ、軽鉄の胸当て、スパイクブーツ、革の剣帯
かなりHPが減っている。状態も高熱と脱水……このままじゃ命の危険がある。
とにかく身体を冷やしつつ水を飲ませないと。
鎧の脱がせ方が分からないけど……取り敢えず身体の側面に紐があるから、これをなんとか解いて……よし、両サイド外せば……上を、かぱっと脱がせられる!
「次は水だ」
指先に水を生成して口から飲ませる。気管に入ってしまったらどうしようという不安があるが……えっと、どうしていいか分からないからえぇいままよ!!
指先を伝って水がリーシアさんの喉に落ちていく。
「んぐ、げほ、っげほ……」
あぁ、気管に入ってしまったか。でも、取り敢えずげほげほしながらも意識は取り戻してくれたようだ。
「き、君は……?」
「とにかく今は水を飲んで」
そう言って彼女の口に指を突っ込む。リーシアさんは目を丸くしつつも、水を飲んでくれた。取り敢えず、開いたままの鑑定画面から脱水の文字が消えたのを見て、私は胸をなでおろした。
「君のこの水は不思議だな。普通、魔法で生み出した水は本人以外が飲めば魔力酔いを起こすというのに……。ああ、名乗り遅れたな。私は森猫族のリーシアだ。助けてくれて感謝する」
「あ、はい……私はシズクといいます。えっと、森で、迷ってしまって」
さすがに異世界から来ましたなんて言っても信じてもらえないだろうから、取り敢えず迷ったことにしてお茶を濁す。
「なんだ、こんな街道から近い場所で迷うなんて君はうっかり者だな。まぁ、そんな場所で倒れていた私が言うことではないが」
「えっと、あの炎の魔物にやられるような方には見えないのですが、どうして倒れていたんですか?」
私が倒したファイアエレメントのレベルはたった4、目の前の彼女がレベル33であることを考えれば、いくら物理攻撃が通りにくそうな相手でも流石にやられはしないだろう。
「ああ、ファイアエレメントになら遅れは取らないが……どうも親玉のフレイムエレメントを叩いてしまったようで……。もとから熱さは苦手なのだが、走って退却したらあっという間に倒れてしまって……」
「そうだったんですね。取り敢えず今はこの森から出ましょう」
「うむ、そうだな。命の恩人だ。私の定宿まで案内しよう」
異世界一日目、なんとか野宿は回避できそうである。
この手のモンスターはきっと物理攻撃があまり効かず、魔法で倒すのが常道のはず。
「水よ、礫となりて疾く撃ちだされよ――アクアバレット!!」
水の弾丸がファイアエレメントを打ち貫いて撃破する。試しに魔法じゃない通常の液体生成で出した水をかけてみると、ダメージにはならない。でも少し火の勢いが弱くなったようには見える。動きが鈍くなった二体に、着実にアクアバレットを叩き込む。
「よし、鎮火!」
他に敵影がないことを確認して私は慌てて倒れていた女性のもとへ駆け寄った。
女性は倒れたままであったが、さきほどより顔色がよくなっているように見える。黒褐色の髪に、よくよく見れば猫のような耳が生えているように見える。
そうだ、鑑定をしてみよう。
名前:リーシア
種族:森猫族
年齢:21
職業:冒険者
レベル:33
状態:高熱、脱水
HP:52/833
MP:82/127
攻撃力:84(+26)
防御力:82(+22)
素早さ:91(+15)
魔法力:53
精神力:72
器用さ:95
スキル:片手剣技、格闘技、跳躍、索敵、隠蔽、疾駆、投擲、裁縫、木工
装備:軽量鉄の長剣、スタッドグローブ、軽鉄の胸当て、スパイクブーツ、革の剣帯
かなりHPが減っている。状態も高熱と脱水……このままじゃ命の危険がある。
とにかく身体を冷やしつつ水を飲ませないと。
鎧の脱がせ方が分からないけど……取り敢えず身体の側面に紐があるから、これをなんとか解いて……よし、両サイド外せば……上を、かぱっと脱がせられる!
「次は水だ」
指先に水を生成して口から飲ませる。気管に入ってしまったらどうしようという不安があるが……えっと、どうしていいか分からないからえぇいままよ!!
指先を伝って水がリーシアさんの喉に落ちていく。
「んぐ、げほ、っげほ……」
あぁ、気管に入ってしまったか。でも、取り敢えずげほげほしながらも意識は取り戻してくれたようだ。
「き、君は……?」
「とにかく今は水を飲んで」
そう言って彼女の口に指を突っ込む。リーシアさんは目を丸くしつつも、水を飲んでくれた。取り敢えず、開いたままの鑑定画面から脱水の文字が消えたのを見て、私は胸をなでおろした。
「君のこの水は不思議だな。普通、魔法で生み出した水は本人以外が飲めば魔力酔いを起こすというのに……。ああ、名乗り遅れたな。私は森猫族のリーシアだ。助けてくれて感謝する」
「あ、はい……私はシズクといいます。えっと、森で、迷ってしまって」
さすがに異世界から来ましたなんて言っても信じてもらえないだろうから、取り敢えず迷ったことにしてお茶を濁す。
「なんだ、こんな街道から近い場所で迷うなんて君はうっかり者だな。まぁ、そんな場所で倒れていた私が言うことではないが」
「えっと、あの炎の魔物にやられるような方には見えないのですが、どうして倒れていたんですか?」
私が倒したファイアエレメントのレベルはたった4、目の前の彼女がレベル33であることを考えれば、いくら物理攻撃が通りにくそうな相手でも流石にやられはしないだろう。
「ああ、ファイアエレメントになら遅れは取らないが……どうも親玉のフレイムエレメントを叩いてしまったようで……。もとから熱さは苦手なのだが、走って退却したらあっという間に倒れてしまって……」
「そうだったんですね。取り敢えず今はこの森から出ましょう」
「うむ、そうだな。命の恩人だ。私の定宿まで案内しよう」
異世界一日目、なんとか野宿は回避できそうである。
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