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日曜日、インターホンの音を聞いた佳子はすぐさま門を開け、佑奈を迎え入れた。ペールブルーのシャツワンピースに淡い色のカーディガンを重ね着した佳子が、玄関の扉を開けると佑奈は制服姿だった。
「え、制服?」
「実は……友達の家に行くのに、何を着たらいいか分からなくて……」
「そ、そっか。気にしないで。さぁ、上がって」
佳子の部屋には既に紅茶とクッキーの用意がされていた。
「あ、あのクッキーって……缶入りの高いやつじゃ……」
「そうなの? 美味しいわよ」
佳子はクッションに座り、佑奈の分の紅茶をポットからカップに注ぐ。佑奈も座りながら、ふと視線をあるところへ移す。
「この前は他にも驚くことが多くて言えなかったんだけど、すごいベッドだね」
佑奈が見ていたのは大きな天蓋付きのベッドだった。白と薄ピンクのカーテンが四隅からふんわり垂れ下がり、まるでお姫様が眠るためだけに作られたようなベッド。
「そうだよ。ママが選んでくれたの」
佳子は当たり前のように答えながら、カップをソーサーに載せて佑奈の前に置く。
「お姫様みたい……私、こんなベッド、テレビとか漫画でしか見たことないよ」
近付きこそすれ、決して触れようとはしない佑奈。だが、寝具の統一感や高級感は十二分に伝わっている。佑奈が母と並べて敷いた布団と同じくらいの大きさがあるベッドは、小柄な佳子には大きすぎるのかもしれない。
「そんなに気に入ったなら、寝てみる?」
佳子が不意にそう言った。佑奈は一瞬、そのままベッドに飛び込みたくなった気持ちを、ぐっと理性という手綱で引き絞る。
「えっ、無理無理! 私、制服だし。シワになっちゃうよ」
「別に気にしなくていいのに」
佳子はくすくすと笑いながらベッドの端に腰掛けた。その笑顔が、佑奈には少し寂しそうに見えたのは気のせいだろうか。
「だめだって。佳子ちゃんのベッド汚しちゃうかもしれないし……」
そう言いながらも、佑奈はベッドから視線を外せなかった。こんなに素敵なベッド、一度でいいから寝てみたい。でも、それを素直に言うのはなんだか恥ずかしくて。そんな思いが渦巻いていた。
「そっか、制服が気になるのか……じゃあ、脱いだらいいじゃない?」
立ち上がった佳子に、耳元で囁かれる。その声に佑奈の全身がびくりと震えた。
「えっ……?」
顔が熱くなるのを感じる。佳子の言葉があまりにも唐突で、佑奈はどう反応すればいいのかわからない。
「冗談だよ」
佳子は、くすっと笑いながら顔を少し離した。けれど、その表情はやはり残念そうで、佑奈は自分がどうしたいのか分からなくなりかけていた。
(なんだろう、これ。佳子の顔を見るたびに胸がざわざわして、まともに目を合わせられない。からかわれてるだけなのに、私はどうしてこんなにドキドキしてるんだろう)
胸の高鳴りを抑えるように、
「冗談、だよね……?」
佑奈は確認の意図を込めて問うた。だが佳子は笑顔のまま、天蓋のカーテンを軽く指先で揺らした。
「さあ、どうだろう?」
その返事に、ますます鼓動が速くなる。熱くなる頬を冷ますかのように、頭を横に振り、紅茶に口を付ける。その日、佑奈は佳子と一緒に見た映画の内容を覚えていない。
「え、制服?」
「実は……友達の家に行くのに、何を着たらいいか分からなくて……」
「そ、そっか。気にしないで。さぁ、上がって」
佳子の部屋には既に紅茶とクッキーの用意がされていた。
「あ、あのクッキーって……缶入りの高いやつじゃ……」
「そうなの? 美味しいわよ」
佳子はクッションに座り、佑奈の分の紅茶をポットからカップに注ぐ。佑奈も座りながら、ふと視線をあるところへ移す。
「この前は他にも驚くことが多くて言えなかったんだけど、すごいベッドだね」
佑奈が見ていたのは大きな天蓋付きのベッドだった。白と薄ピンクのカーテンが四隅からふんわり垂れ下がり、まるでお姫様が眠るためだけに作られたようなベッド。
「そうだよ。ママが選んでくれたの」
佳子は当たり前のように答えながら、カップをソーサーに載せて佑奈の前に置く。
「お姫様みたい……私、こんなベッド、テレビとか漫画でしか見たことないよ」
近付きこそすれ、決して触れようとはしない佑奈。だが、寝具の統一感や高級感は十二分に伝わっている。佑奈が母と並べて敷いた布団と同じくらいの大きさがあるベッドは、小柄な佳子には大きすぎるのかもしれない。
「そんなに気に入ったなら、寝てみる?」
佳子が不意にそう言った。佑奈は一瞬、そのままベッドに飛び込みたくなった気持ちを、ぐっと理性という手綱で引き絞る。
「えっ、無理無理! 私、制服だし。シワになっちゃうよ」
「別に気にしなくていいのに」
佳子はくすくすと笑いながらベッドの端に腰掛けた。その笑顔が、佑奈には少し寂しそうに見えたのは気のせいだろうか。
「だめだって。佳子ちゃんのベッド汚しちゃうかもしれないし……」
そう言いながらも、佑奈はベッドから視線を外せなかった。こんなに素敵なベッド、一度でいいから寝てみたい。でも、それを素直に言うのはなんだか恥ずかしくて。そんな思いが渦巻いていた。
「そっか、制服が気になるのか……じゃあ、脱いだらいいじゃない?」
立ち上がった佳子に、耳元で囁かれる。その声に佑奈の全身がびくりと震えた。
「えっ……?」
顔が熱くなるのを感じる。佳子の言葉があまりにも唐突で、佑奈はどう反応すればいいのかわからない。
「冗談だよ」
佳子は、くすっと笑いながら顔を少し離した。けれど、その表情はやはり残念そうで、佑奈は自分がどうしたいのか分からなくなりかけていた。
(なんだろう、これ。佳子の顔を見るたびに胸がざわざわして、まともに目を合わせられない。からかわれてるだけなのに、私はどうしてこんなにドキドキしてるんだろう)
胸の高鳴りを抑えるように、
「冗談、だよね……?」
佑奈は確認の意図を込めて問うた。だが佳子は笑顔のまま、天蓋のカーテンを軽く指先で揺らした。
「さあ、どうだろう?」
その返事に、ますます鼓動が速くなる。熱くなる頬を冷ますかのように、頭を横に振り、紅茶に口を付ける。その日、佑奈は佳子と一緒に見た映画の内容を覚えていない。
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