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第四話 帰ろうか

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 クラス委員となった私は、雛子と一緒にクラス全員の役割を定め、今日の仕事は全てこなした。先生に各委員会の名簿を渡し、教室には私と雛子の二人きりになった。入学式のみだったため、教室には太陽の光が存分に注がれている。

「茜屋さん。お疲れ様でした」
「いえいえ。というか、茜屋さんなんて呼ばずに柚花里って呼んでよ。私も、雛子ちゃんって呼ぶからさ」
「えっ…あ…そのぉ…では、柚花里…さん、で」

 まだまだ堅いなぁ。ま、ゆっくり攻略していこう。取り敢えず、私は手を振って教室を去り、靴箱へ向かった。帰る時の選択肢は、

A〈一緒に靴箱へ向かう〉
B〈手を振って教室を去る〉

 だったはず。どちらを選んでも雛子の好感度は上がらないが、Aを選ぶとなずなの好感度が僅かに下がるのだ。まぁ、元が高いから気にしないが、できれば下がらないように努めたい。


「お待たせー」

 靴箱では剣次となずなが二人で待っていた。

「まったぜ。風紀委員殿?」
「え!? 柚花里ちゃん風紀委員なの!? 私もなの!! 一緒だね! 嬉しい!」

 あぁ、この台詞はビックリマークの多い有名な台詞だ。ま、それはさておき、

「そだよ。ってなずなも?」

 ややわざとらしい台詞を返して話を進める。正門へ向かいながら、なずなは風紀委員になった経緯を教えてくれた。なんでも、仲良くなった隣の席の女の子に勧められたかららしい。なんだか、主人公が他の女の子と仲良くなるのを良く思わないのに…それはないだろ? と、言いたくなるが、まぁ本来なら男女の話なのだから仕方ない。
 最初からGLゲームだったらどうなっていたのだろうか。そもそも、こういう日常系のゲームで良かったよ。もし、戦国時代の美少女武将とのエロゲーだったら…それもアリだけど、しんどいだろうなぁ…。好感度も不明かつ生死の危険を伴う。あとは…

「柚花里ちゃん? どうしたの?」

 かなり考えていたため無口になってしまった。剣次と話していたなずなが、私に声をかけたことでやっと妄想の世界から帰ってこれた。やっぱり日常の中で一線を越えるのが最高だよ。うん。

「いや、なずなが可愛いから」
「えっ? もぅ…なによぉ…」

 ふふ、頬なんか染めちゃって。ヤンデレヒロインとチョロインは混ざりやすいのかな? とはいっても、〈恋愛モーメント ~君を幸せにすると何度でも誓う~〉にはツンデレはいないし、フラグが立ちにくいキャラもいない。一目惚れが理由で主人公に絡むキャラもいる…。あ、みんなチョロいや。

「でたか、柚花里の口説き。しかも女子を相手に」

 剣次がなんか宣っているが、いちいち気にしたりしない。学校から20分程の交差点でなずなと別れ、そこから5分後に剣次と別れた。一人になった私は、取り敢えず明日の計画をたてる。

 明日は学年初のテストが行われる。いかに真面目に春の課題をやったかを試されるということだ。まあ、なんとかなる。午後には部活動紹介と見学…。生徒会は…ちょっと後回しにしよう。おそらく風紀委員の集まりで生徒会役員に遭遇するはずだから。てことは、部活だなぁ。日本文化研究部は、同じく一年生の深山愛唯が部長を務める新部活で、部員は主人公と愛唯と二人きり。ストーリー上、部活動として機能するのは文化祭を中心とする短い期間だったはず。まぁ今は取り敢えず、汐里ちゃん分を補給しよう。なんてったって私のお姉ちゃんなんだからね!
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