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これがオレと海空の一歩

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 さて、月は変わって五月の五日……。今日は海空の誕生日!


 てなワケで海空の家で、ちょっとしたパーティーをすることになった。もちろん……? 発案者は心だ。ホントに律儀なヤツだよ。

「こーして友達に誕生日を祝ってもらうって、やっぱり嬉しいね♪」

 そう言ってくれるとこっちも嬉しいな。いつも通りに沢山しゃべって、笑って……。たまに心がボケをかましてオレがツッコミで返す。

「それじゃ、プレゼントを渡すね」

 海空へのプレゼントは心が髪留め、オレからはタオルだ。
 プレゼントはこの前行った買い物の時に、二人で選んで決めた。タオルはこれから暑くなるからと思って、涼しげな柄のものを選んで買った。
 髪留めはビビッドカラーが元気な海空に似合うだろうということで買った。

「うゎー、ありがとう♪ 大切に使うね」

 にっこりと笑う海空の表情がとても魅力的に映った。


 ではでは、続いてケーキにしようか

「うわーぉ、ウチの好きなタルトじゃないか!!」

 へぇ、海空はタルトが好きなのか。なんで心はそれを知ってるんだ? ま、いっか……。
ちなみに、ケーキは中学校時代に家がケーキ屋の友達がいたから、その店で買った。『パティスリー フラン』という店名で、安さを売りに近所で人気のお店だ。そんなフランの、春らしさ全開のイチゴのタルトが甘い香りを運んできた。



 その後、三人で某有名なレースゲームで遊んでいたら……。

「ただいま~姉さん誕生日おめでとう」

 玄関から変声期特有の声が聞こえてきた。

「あ! えーと、こんにちは……。いらっしゃい? はじめまして?」

 どうやら、家に帰ったきたら知らない人がいて戸惑っているのだろう……。

「あ~紹介するね、ウチの弟の大地」

 大地と呼ばれた少年はまだ緊張気味だったが自己紹介した。

「神楽坂大地です……。広垣二中の二年生で、陸上部所属です」

 なかなかの長身だな……。
 とりあえず心より背が高い……。

「こー見えて陸部のエースなんだよ♪ ちなみに長距離班で、体力テストの長距離を五分未満で走るのよ!」

 速い!! オレと一分は違う……。

「まぁウチが特訓したから」

 てっきり弟の自慢話かと思いきや……ただの自慢じゃないか!!

「いいなぁ弟ぉ……。妹もいいよねぇ……って一人っ子は私だけじゃん!」

 でもなぁ……。いると厄介なんだよな……。特に悠那なんて……。

「まぁ悠那ちゃんが妹みたいなもんだから、別にいいけどね」

 いやだから悠那が……。もういいや。


「さてさて、ウチももう一六歳だし大人っぽくなるのよ♪」

 ふいに、海空が宣言した……が、

「姉さんじゃ無理そう……」

 弟の呟きを聞き逃がさないのが姉というものらしい……。

「大地ぃ、後で十キロのロードワークね!」

 姉は弟に厳しい……。しかし十キロは長いですよ?

 そんな感じで、海空の十六回目の誕生日は沢山の笑いに包まれていた。
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