キスから始まる異世界ハーレム冒険譚

楠富 つかさ

文字の大きさ
8 / 29

第八話 朝の習慣

しおりを挟む
「おはようございます……お姉ちゃん」

翌朝、ダブルベッドで目を覚ました私とレリエ。おはようのキスを交わす。

「んちゅ……じゅる」
「じゅぶ、んく……ぁあ」

目を開ければそこには蕩けた表情を浮かべるレリエと、私との間にかかる銀色の橋。どちらからとも言わずに再び唇を重ねる。じゅぶじゅぶと淫靡な水音が響く中、とうとう彼女の叫び声が木霊する。

「アンタらあたしのこと気にしなさすぎだろう!?」

そう、ステラである。やんちゃな見た目とは裏腹に純情な彼女はどうにも私とレリエのキスをただの愛欲によるものと思っている節がある。まぁ、完全に否定できないのが痛いところだが。

「おはようステラ。ちゅうする?」
「しねぇよ!?」

一緒のベッドで寝ようと誘ったのだが、ステラは結局ソファで寝てしまった。曰く、いつ襲われるか分からないとのこと。やはり住処なく暮らしていた少女にとって、警戒を怠らないことは重要らしい。そんなことを寝る直前―おやすみのキスの前―にレリエに話したら、勘違いをしていませんかといわれてしまった。どういうことだろうか。

「ステラさ……ステラはキスしないのですか?」

私とのキスが最早日常的になっているレリエからすれば、ステラがキスを拒むのは不思議に思えるようだ。

「え……だって……」

あからさまに目を泳がせるステラ。年下であるレリエに真っ直ぐに見つめられて、返答に困っている様子。

「ほら、キスって大好きな人とするものだろう?」

……どこまでも純情なステラ。

「私、お姉ちゃんのこと大好きですから」

流石レリエ。お姉ちゃん嬉しくてキスしたくなっちゃうよ。

「ステラは私とするの、イヤ?」

ここで畳み掛ける私。ステラは小声でイヤじゃないとだけ言って、私の唇にそっと触れた。もちろん、唇で。

「嬉しいよ、ステラ。さぁ、今日も頑張っていきましょう!」

二人の美少女からキスを貰い、元気百倍になった私。ただ、今日の予定を知らない。レリエの方に視線を移すと、レリエは私の言わんとすることを察してくれた。

「さて、今日こそは買い物に行きましょう」

レリエがそう言い、寝巻きであるローブから旅装束であるローブに着替える。二着の違いは生地にあるらしいが、私にはまだ分からない。ステラは寝るときもあの高露出な服だ。布の多い服は好かないらしい。ちなみに、私は下着姿で寝る。いつだって臨戦態勢だよ。どういう意味かって? 言わせないでよ。

「行くよ、ステラ」

まだ顔を紅くしているステラの手を引っ張って宿の部屋を出る。今の時間なら朝市ということで店にならぶ商品はさらに安くなる。ついでに、朝ごはんも食べちゃおう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

勇者の隣に住んでいただけの村人の話。

カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。 だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。 その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。 だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…? 才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

美醜逆転世界の学園に戻ったおっさんは気付かない

仙道
ファンタジー
柴田宏(しばたひろし)は学生時代から不細工といじめられ、ニートになった。 トラックにはねられ転移した先は美醜が逆転した現実世界。 しかも体は学生に戻っていたため、仕方なく学校に行くことに。 先輩、同級生、後輩でハーレムを作ってしまう。

勇者のハーレムパーティー抜けさせてもらいます!〜やけになってワンナイトしたら溺愛されました〜

犬の下僕
恋愛
勇者に裏切られた主人公がワンナイトしたら溺愛される話です。

処理中です...