キスから始まる異世界ハーレム冒険譚

楠富 つかさ

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第二十一話 合流

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「お姉ちゃんの……ねぼすけ」

 ふわりと甘い声が耳朶をうち、ゆっくりと目蓋を押し上げる。

「れ、レリ……エ」
「ご主人様ぁ……」
「まったく、心配かけないでよね!」
「私のせいで、ごめんなさい」

 四人の女の子たちに囲まれて、ようやく意識がはっきりしてきた。ニーナを助けようとして川に落ちて、無意識で結界を張って、服を乾かしている間に寝落ちしちゃったんだ。みんなに心配かけたままニーナと一戦楽しんじゃったのはちょっと申し訳なさがあるなぁ。それにみんな一様にびしょ濡れで、ここまで来るのにさぞかし大変だったんだろうなと思うと、申し訳なさはますばかりだ。

「レリエとステラとクレアは、どうしてここに?」
「レリエが結界の反応を追ってくれたのよ」
「ついでに、この先に抜け道があることも判明しました」

 今、私たちがいる場所は、私とニーナがいた川岸よりも下流の辺りで、結界はレリエが張り直してくれた。

「お二人とも、怪我、ないですか?」

 クレアが心配そうに私たちの身体を見やる。

「私は平気です。ユールちゃんは?」
「問題ないみたいです。あ、ブーツを片方流されちゃったんだけど……」
「これか? 岩に引っ掛かってたから、とってきた」

 私が流されたと思っていたブーツは、既にステラが回収してくれていたようだ。これなら、このまま歩ける。

「じゃあ、その抜け道っていうのに行ってみようか」
「ただ、問題がありまして……」

 少し深刻な表情を浮かべるレリエ。話によると、そこにこの洞窟のボスと思われるゴブリンの上位種が潜んでいるらしい。

「ホーランセ大森林の異変の元凶かもしれませんね」

 とはニーナの発言。どの道、倒した方がいいのは間違いないだろう。

「他に敵影は?」
「親衛隊みたいなゴブリンが三体と、ブラックハウンドが六体でした。五人で相手できる数かと言われれば、ギリギリというところでしょう」
「前衛がいないのは……厳しそうです」

 この場合での前衛は攻撃役というより防御役だろう。タンクがいないのだ。このメンツでは。

「それでも、やるしかないと思う。ここを突破してアリジャスに行かなきゃ、ね?」
「私に、考えがあります」

 ニーナの案は単純だった。今まで目立つから使用を控えていた上級炎術でゴブリンを先に一網打尽にし、残ったブラックハウンドだけを相手にするという作戦。レリエたちが見付けた抜け道というのは、その先が縦穴らしいので、新しくゴブリンやブラックハウンドが現れる可能性は低い。

「それでいいだろう。楽だし」

 相手にするのがブラックハウンドだけなら危険性は低い。ナイフの手入れをしながらクレアが賛同の意を示す。

「じゃあ、それでいこう。私とレリエが乾燥の術を使うから、ニーナは全力でお願いね」
「分かったわ。じゃあ、その抜け道へ行きましょう」
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