ユニークスキルで異世界マイホーム ~俺と共に育つ家~

楠富 つかさ

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057 護衛任務開始

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 翌日、水上月の二十六日に俺たちは行商人の護衛任務に就くことになった。ナランハ村を出発して行先はニオレング。積んでいる荷物はソバーロという町の外縁で収穫された穀物だという。ちなみにナランハ村も含めてこの辺り一体をソバーロ地方と言うらしく、ソバーロの町には領主もいるようだ。……フレッサ地方の領主もフレッサの町にいるらしいが、まぁ普通の冒険者がお目にかかることはそうそうないのだろう。

「そういえばエリックはルーシゴルから来たって言ってたよな? ルーセイドとは違うのか?」

 出発してから間もなくは何事もなく順調に進むため、俺は前方にいるエリックに話しかけた。ルーシゴルという地名が、もともと行く予定だったが流石に距離があるということで諦めた都市ルーセイドに似ているのが気になったのだ。

「俺も歴史的なことはあまり詳しくないが、すっごい昔にこの国の王様の弟だった人が他国との戦争で勝ち取った土地を自分で統治し始めたのがきっかけなんだが……その孫くらいの代で後継者争いが起きて、それでルーセイド、ルーシゴル、ルーサクアの三つの町に分かれたんだ。とはいっても、今では普通に仲もいいし交流が盛んなんだぜ。仲良くなるまでのことは正直よく分からん」

 同じ国の中の話だし、紆余曲折はあっても仲直りできたのかもしれない。近場じゃ起きる問題にも連携して向き合わねばならない場面もあっただろう。

「ほっほっほ、ルーセイド地方には職人や研究者が多いからね、時には協力するがお互いに納得いかなければ喧嘩もするんだろうね」

 俺たちの会話に入ってきたのは今回の依頼人であり商人のスランツさん。ピンキッシュホースという、その名の通りほんのりとピンク色の体毛をした馬みたいな魔物に曳かせた馬車の御者をしている。なおこのピンキッシュホースは野生種も存在するれっきとした魔物だが、気性が穏やかなこともあり、錬金術で作られた特殊な餌を与えることでテイムしているらしい。

「研究者って……たとえば錬金術師もルーセイド地方には多いんですか?」
「そうだねぇ、僕も商売のためにしか行かないからあんまり分からないけど、大きな学校もあるっていうから、錬金術師もそこで学んでいるのかもねぇ」
「レックスさん、錬金術に興味があるんですか?」

 俺の後方にいるマリーに声を掛けられる。興味がないと言えば嘘になるな。少なくとも、素材を魔法陣の上に置いて錬成するタイプなのか、特殊な釜に放り込んで調合するタイプなのか、それくらいは知りたい。……のだが。

「レックス、前方から魔物だ。フロッゲコが……四体!」
「そんじゃ、さくっとやっちまうか。マリーは他に魔物が現れないか警戒していてくれ。いけるかセフィリア?」

 前方からの魔物との報告に俺は、警戒をマリーに任せ即座に剣を抜いた。セフィリアへの問いはすぐに射られた矢が返事代わりだった。
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