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 その言葉と共に、噛み付くように唇を塞がれて激しく呼吸を奪われる。
 熱く湿ったライアスの舌がハイデマリーの口内を蹂躙する。
 息ができなくて苦しいのに、上顎を擦られると未知の快楽で力が抜けた。

 18歳までライアスの鉄壁のガードに守られてきたハイデマリーにとって、人生で初めてのキスだ。

(私、ライアスとキスしてる)

 強引な行為だが、嫌悪感はない。
 それどころかライアスに触れられた場所から次々に甘い痺れが広がっていく。

「ひゃ、ぁ、待って、待って……!」
「待たない」
「ァっん!」

 大きな手に胸を揉みしだかれると、ひときわ大きい声が出てしまい羞恥で頬がカッとなる。
 こんな媚びたような自分の声なんて知らない。

「待ってって言いながら甘い声出して、トロトロに溶けた可愛い顔してんじゃねーか」

 ライアスも感情が昂っているのだろうか。
 今でこそ完璧な紳士の所作を身につけている彼の、時々出る粗野な口調にキュンっとお腹が熱くなる。
 アイスブルーの瞳には情欲の炎が燃えていた。

「だって、ライアスの手が気持ち、良くて、ぁあ……!」 

 無垢な乙女であるはずのハイデマリーの身体に、ライアスは的確に火を灯していく。

「クソっ、アンタって人はなんでそんなに可愛いんだよ……!」
「ひっん!」

 荒々しく脱がされたドレスがベッドの外に落ちる。
 まろびでた白く豊かな胸の先端にライアスがむしゃぶりつくと、快楽で全身が跳ねた。

「そんなに可愛いくせに、俺以外の男に抱かれようなんて……! レイモンドを今すぐに八つ裂きにしたい気分ですよ」

 違うのに。勘違いなのに。
 そう伝えたいのに、絶え間なく与えられる愉悦のせいで嬌声を上げることしかできない。

「お嬢様の乙女の花は、花芯も花弁も慎ましくて可愛らしいですね。ココ・・に触れて良いのは俺だけだと、今から覚えさせてさしあげます」

 執拗に捏ねられて噛まれて舐められて。
 ぐったりと投げ出されたハイデマリーの足の間にライアスが腰を押し付ける。

 獰猛な凶器をぬるぬると何度も擦り付けられているうちに、粘着質な水音が大きくなっていく。
 だんだんと浅いところだけでは我慢できなくなって腰が揺れてしまう。

 ハイデマリーの様子を満足気に確認し、ライアスは唇を舐め微笑んだ。
 その壮絶な色気にめまいがする。

「今から、俺が貴女を抱きます」

 宣言と同時に、凄まじい圧迫感が隘路を開いていく。
 メリメリと音がしそうなほど苦しいのに、痛みはない。
 それどころかジンジンとした疼きがクセになりそうだ。

「マリーに出会うまで、いつ死んでも良いと思ってた」

「っあ! は、ぁ、ぁっ、ぁ!」

「アンタがっ、俺に生きる理由を与えたんだから、絶対に一生離さない……!」

 ハイデマリーの最奥まで繋がったことを確かめ、ライアスは泣きそうに顔を歪めた。

 ライアスのせつなげな声に、ハイデマリーの瞳にも自然と涙が溢れてくる。
 心に浮かんだ感情に突き動かされるまま、ライアスを抱きしめる。

「好き、好きなの。私が好きなのは、ライアスなの……っ。この部屋にかけたのは『私が好きな人の名前を言わないと部屋から出られない』魔法なの……!」

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