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「めんどくさがりのプリンセス」の末っ子エミリー
間違った音となにかの間違い
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昼食の後、ロブが二人で話したいと言った時に、エミリーはなにか嫌な予感がした。
…こういう予感は当たらなくてもいいのにぃ。
ロベルトの話はなんともめんどくさそうな話だった。
ロブが「どこか静かなところで話そう。」と言うので図書室で話すことにした。
一応2人とも10歳になったので、図書室の扉を少し開けたままにしておく。
これ、ロブと私の関係だとちょっと笑っちゃうけどね。
ロブはいつもの黒縁眼鏡に白いシャツ、Vネックのベスト、チノパンというアイビールックだ。
無難だけど…普通。
先日、皇太子殿下に会った時のあの衝撃と比べると、残念としか言いようがない。
ん、これからだよロブ。
いい男になりなと、心の中でゆるいエールを送っておく。
だかロブが言いだしたことは、無難でも普通でもなかった。
「僕ね、先週ずっと検証実験をしててね。今朝やっと実験結果が自分の考察の通りになってさ、一息ついたとこなんだ。」
う…ん?
それがどうした?
「よかったね、おめでと。それが言いたくて来たの?」
「違う違う。だからエムのあの変な現象を考えてみる気になってさ。今朝、あの呪文を調べてたんだよ。古代の文献に出てるか調べてみたり暗号の本を読んだりしてさ。」
またそれは…暇人と言おうか、なんといおうか…。
「よくそんなめんどくさいことができるね、ロブ。」
「エムだって、よく本読んでるじゃないか。」
「まあ、それはそうだけど…。それで、私に質問があって来たわけね。」
やっぱりね。
ロブのことだから、自分が納得するまで質問攻めにすると思ってた。
予想通りーーー。
「いや質問はあるんだけどさ。たぶん、エムが考えてるのとは違うと思う。エムはあの呪文を言うと、頭の中でピンポーンっていう音がすると言ったろ。」
「へっ? うん、するよ。クイズ番組の正解みたいなやつ。」
「それがさ。僕の頭の中では、ブブーーっていう音がするんだ。答えを間違えた時みたいなやつ。」
「はっ? …はぁあーーーーっ?!! 何言ってんの、ロブ! えっ? ロブもあの変な記憶チートを貰ったっていうことぉ?」
どういうこと?
あの幽霊天使、ロブにまでなにしてんのよーーーっ。
「落ち着けよ、エム。違うって。」
「何が? 頭の中で、変な音がするんでしょ。おかしいじゃん…もう、もう最近変なことばかりなんだからぁ。」
「変と言えば確かにそうなんだけど。でも僕のとこには、天使も神様も来ちゃいないよ。エムから聞いてた呪文を声に出して言ってみたら、変な音がしてさ。最初は聞き違いかと思ったけど、呪文を言う度に頭の中で音がするんだ。あの、不正解の音がさ。…そこで考えたんだけど、何かの間違いでエムの記憶チートのカケラが僕の身体の中に入り込んだ。と言う説が可能性として一番あり得ると思ってさ。」
「カケラ?」
「うん。じゃあそのカケラは、どうして?そして、いつ?僕の中に入り込んだのかと思うだろ? そこで考えたんだけど、エムの魂が記憶チートと一緒に胎児か新生児のエムの身体に入り込んだと仮定するとしたら。もしかするとその時に、僕も赤ん坊で、エムのすぐ側にいた。その時、何かの間違いで…ていうぐらいのお粗末な仮説しか立てられなかったんだ。」
お粗末ですか…結構、考え込んできてるみたいですけど…。
「それでなつみさんのことを思い出してね。彼女なら何か聞いてるかもしれないだろ。」
ああ、それで来たのね。
はいはい。
なつみさんに、ブブッーーーっていう音のことを聞くのね。
あれ? ブブッーーー?
どっかで……それ、さっき聞いたじゃん!
「ロブ、ロブ、わかった、わかったよ。ブブッーーーっていうのは呪文が違うんじゃないかな? いや、あれ? 記憶人格の交代の合図だったっけ? …とにかくさっき私もその音を聞いた!」
今朝起こったことをロブに話すと、「それは非常に興味深いね…。」と言って考え込んでしまった。
あっ、構想モードに入っちゃった。
こりゃ長くなるね。
エミリーは近くにあった雑誌を手に取り、のんびりと待ちの姿勢に入った。
「エム、エーーームっ!」
「んーー。…ん? 呼んだ?」
「呼んでる。さっきから。」
「ごめんごめん。ちょっと気になる記事が出てて…。」
呆れた顔をしているがロブ、君だって実験とか研究とかやりだすと人の事ほっぽらかすじゃん。
「まぁいいや…ちょっと聞いて。今朝エムに起こった事で、僕の考察の一部の変更を余儀なくされたんだ。僕は、僕の身体に入った欠片は物凄く微小な光の粒の欠片みたいなもので、記憶チート本体から飛び出した何の機能も持っていないチリのようなものと想定してた。」
「うん。」
「本来呪文を言うべき人間ではないものがその言葉を発すると、エラーが生じてただ音が鳴ってしまうだけだと思っていたんだけれど…どうも違うようだね。おきぬさん、彼女が登場したことで事態は違う様相を帯びてきた。なつみさんが最初、4回あるいは7千万回の生まれ変わり。ということを言っていただろ?」
「そんなこと言ってたっけ?」
「ほら、パーティーの時に魂は死なないって言ってたじゃん。」
「ああーー、そう言えばそんなこと言ってたね。」
よく覚えてらっしゃること。
「それから考えると、エムの記憶人格は4人ないし7千万人いる可能性も出て来た。」
「ええーーーーっ、7千万人?」
「あくまで可能性だよ。それに僕の中で鳴るあの音も、さっき言ったようにひどく怪しく感じられるよね。やっぱりなつみさんを呼び出して、何か知っていることがないのか詳しく聞いてみたほうがいいよ。」
◇◇◇
と言うことでまた呪文である。
はぁ~。
「【アラバ グアイユ チキ チキュウ】」
ピーーンポーーーン
『はい、はーい。お呼びかしらぁー?』
「うん。なつみさん、ちょっと聞きたいことがあるんだけど…。」
『いいわよー、またお弁当作るの?』
「あっそれもあるけど、それは…明日でいいや。」
『りょうかーい。それで? あら、ロベルト君もいるのね。』
「こんにちは。」
『どーも。』
なんて、挨拶はいいのよ挨拶は。
とにかくロブの今朝からの状況やおきぬさんが出てきた時のこと、ロブの考えなどを説明していく。
その間なつみさんは『ええっ!』と驚いたり『へぇ、ふぅん、そうなのぅ。』と考え込んだりしていたが、暫く熟考した後に、こう言った。
『私も天使様に会ったのは一度だけだからよくわからないんだけど…。』という前置きの後で、なつみさんが言ったことは、箇条書きにするとだいたいこんなことだ。
1 ブブーーー。という音を聞いたときに、
初めて自分に交代の時が来たということを感じた。
交代した後は記憶の場から降りていたので、
どんなことがあったか知らない。
2 おきぬさんという名前はどこかで聞いたことがあるような気がする。
たぶん「魂溜まり」にいた時に、天使様が呼んでいた名前の中に
そんな名前があったように思う。
3 なぜロベルト君の中で、音が聞こえるのかは、なつみさんもよくわからない。
ただ、おきぬさんの名前を聞いたのと同じ時にロベルトと言う名前を聞いた
ような気がするので、なつみさんの住んでいた地球で生まれ変わった事のある
4人の前世の内の1人の名前なのではないかと思う。
そのことぐらいしか関連がわからない。
4 転生するときに移動魔法のようなものが発動した後で、
天使様があわてて「記憶チート」をつけると言っていた。
それで、なにかのミスが生じたのではないか。
最後の言葉を聞いて、エミリーも思い出したことがあった。
誕生日の日に幽霊天使が言っていたことだ。
確か…てんぱってたから呪文を教えるのを忘れてた、みたいなことを言っていた。
ロブにそれを話すと、「やはり、なんらかのミスが生じた可能性はあるようだね。」と頷いていた。
「そういえばなつみさんであった私に、ついさっき会ったみたいな言い方したよ。」と言うことも伝えたが、「神様の時間感覚なんてそんなものなんじゃない? 」とすげなく言われた。
そうかい、そこはあんまり重要じゃないんだね。
ロブとなつみさんが相談して、いくつかの仮説を立てながら実験をしてみることになった。
ああ、また読書が遠のいていく…。
しかし、実験の結果があんな奇態なことになるとは、誰も予想していなかった。
…こういう予感は当たらなくてもいいのにぃ。
ロベルトの話はなんともめんどくさそうな話だった。
ロブが「どこか静かなところで話そう。」と言うので図書室で話すことにした。
一応2人とも10歳になったので、図書室の扉を少し開けたままにしておく。
これ、ロブと私の関係だとちょっと笑っちゃうけどね。
ロブはいつもの黒縁眼鏡に白いシャツ、Vネックのベスト、チノパンというアイビールックだ。
無難だけど…普通。
先日、皇太子殿下に会った時のあの衝撃と比べると、残念としか言いようがない。
ん、これからだよロブ。
いい男になりなと、心の中でゆるいエールを送っておく。
だかロブが言いだしたことは、無難でも普通でもなかった。
「僕ね、先週ずっと検証実験をしててね。今朝やっと実験結果が自分の考察の通りになってさ、一息ついたとこなんだ。」
う…ん?
それがどうした?
「よかったね、おめでと。それが言いたくて来たの?」
「違う違う。だからエムのあの変な現象を考えてみる気になってさ。今朝、あの呪文を調べてたんだよ。古代の文献に出てるか調べてみたり暗号の本を読んだりしてさ。」
またそれは…暇人と言おうか、なんといおうか…。
「よくそんなめんどくさいことができるね、ロブ。」
「エムだって、よく本読んでるじゃないか。」
「まあ、それはそうだけど…。それで、私に質問があって来たわけね。」
やっぱりね。
ロブのことだから、自分が納得するまで質問攻めにすると思ってた。
予想通りーーー。
「いや質問はあるんだけどさ。たぶん、エムが考えてるのとは違うと思う。エムはあの呪文を言うと、頭の中でピンポーンっていう音がすると言ったろ。」
「へっ? うん、するよ。クイズ番組の正解みたいなやつ。」
「それがさ。僕の頭の中では、ブブーーっていう音がするんだ。答えを間違えた時みたいなやつ。」
「はっ? …はぁあーーーーっ?!! 何言ってんの、ロブ! えっ? ロブもあの変な記憶チートを貰ったっていうことぉ?」
どういうこと?
あの幽霊天使、ロブにまでなにしてんのよーーーっ。
「落ち着けよ、エム。違うって。」
「何が? 頭の中で、変な音がするんでしょ。おかしいじゃん…もう、もう最近変なことばかりなんだからぁ。」
「変と言えば確かにそうなんだけど。でも僕のとこには、天使も神様も来ちゃいないよ。エムから聞いてた呪文を声に出して言ってみたら、変な音がしてさ。最初は聞き違いかと思ったけど、呪文を言う度に頭の中で音がするんだ。あの、不正解の音がさ。…そこで考えたんだけど、何かの間違いでエムの記憶チートのカケラが僕の身体の中に入り込んだ。と言う説が可能性として一番あり得ると思ってさ。」
「カケラ?」
「うん。じゃあそのカケラは、どうして?そして、いつ?僕の中に入り込んだのかと思うだろ? そこで考えたんだけど、エムの魂が記憶チートと一緒に胎児か新生児のエムの身体に入り込んだと仮定するとしたら。もしかするとその時に、僕も赤ん坊で、エムのすぐ側にいた。その時、何かの間違いで…ていうぐらいのお粗末な仮説しか立てられなかったんだ。」
お粗末ですか…結構、考え込んできてるみたいですけど…。
「それでなつみさんのことを思い出してね。彼女なら何か聞いてるかもしれないだろ。」
ああ、それで来たのね。
はいはい。
なつみさんに、ブブッーーーっていう音のことを聞くのね。
あれ? ブブッーーー?
どっかで……それ、さっき聞いたじゃん!
「ロブ、ロブ、わかった、わかったよ。ブブッーーーっていうのは呪文が違うんじゃないかな? いや、あれ? 記憶人格の交代の合図だったっけ? …とにかくさっき私もその音を聞いた!」
今朝起こったことをロブに話すと、「それは非常に興味深いね…。」と言って考え込んでしまった。
あっ、構想モードに入っちゃった。
こりゃ長くなるね。
エミリーは近くにあった雑誌を手に取り、のんびりと待ちの姿勢に入った。
「エム、エーーームっ!」
「んーー。…ん? 呼んだ?」
「呼んでる。さっきから。」
「ごめんごめん。ちょっと気になる記事が出てて…。」
呆れた顔をしているがロブ、君だって実験とか研究とかやりだすと人の事ほっぽらかすじゃん。
「まぁいいや…ちょっと聞いて。今朝エムに起こった事で、僕の考察の一部の変更を余儀なくされたんだ。僕は、僕の身体に入った欠片は物凄く微小な光の粒の欠片みたいなもので、記憶チート本体から飛び出した何の機能も持っていないチリのようなものと想定してた。」
「うん。」
「本来呪文を言うべき人間ではないものがその言葉を発すると、エラーが生じてただ音が鳴ってしまうだけだと思っていたんだけれど…どうも違うようだね。おきぬさん、彼女が登場したことで事態は違う様相を帯びてきた。なつみさんが最初、4回あるいは7千万回の生まれ変わり。ということを言っていただろ?」
「そんなこと言ってたっけ?」
「ほら、パーティーの時に魂は死なないって言ってたじゃん。」
「ああーー、そう言えばそんなこと言ってたね。」
よく覚えてらっしゃること。
「それから考えると、エムの記憶人格は4人ないし7千万人いる可能性も出て来た。」
「ええーーーーっ、7千万人?」
「あくまで可能性だよ。それに僕の中で鳴るあの音も、さっき言ったようにひどく怪しく感じられるよね。やっぱりなつみさんを呼び出して、何か知っていることがないのか詳しく聞いてみたほうがいいよ。」
◇◇◇
と言うことでまた呪文である。
はぁ~。
「【アラバ グアイユ チキ チキュウ】」
ピーーンポーーーン
『はい、はーい。お呼びかしらぁー?』
「うん。なつみさん、ちょっと聞きたいことがあるんだけど…。」
『いいわよー、またお弁当作るの?』
「あっそれもあるけど、それは…明日でいいや。」
『りょうかーい。それで? あら、ロベルト君もいるのね。』
「こんにちは。」
『どーも。』
なんて、挨拶はいいのよ挨拶は。
とにかくロブの今朝からの状況やおきぬさんが出てきた時のこと、ロブの考えなどを説明していく。
その間なつみさんは『ええっ!』と驚いたり『へぇ、ふぅん、そうなのぅ。』と考え込んだりしていたが、暫く熟考した後に、こう言った。
『私も天使様に会ったのは一度だけだからよくわからないんだけど…。』という前置きの後で、なつみさんが言ったことは、箇条書きにするとだいたいこんなことだ。
1 ブブーーー。という音を聞いたときに、
初めて自分に交代の時が来たということを感じた。
交代した後は記憶の場から降りていたので、
どんなことがあったか知らない。
2 おきぬさんという名前はどこかで聞いたことがあるような気がする。
たぶん「魂溜まり」にいた時に、天使様が呼んでいた名前の中に
そんな名前があったように思う。
3 なぜロベルト君の中で、音が聞こえるのかは、なつみさんもよくわからない。
ただ、おきぬさんの名前を聞いたのと同じ時にロベルトと言う名前を聞いた
ような気がするので、なつみさんの住んでいた地球で生まれ変わった事のある
4人の前世の内の1人の名前なのではないかと思う。
そのことぐらいしか関連がわからない。
4 転生するときに移動魔法のようなものが発動した後で、
天使様があわてて「記憶チート」をつけると言っていた。
それで、なにかのミスが生じたのではないか。
最後の言葉を聞いて、エミリーも思い出したことがあった。
誕生日の日に幽霊天使が言っていたことだ。
確か…てんぱってたから呪文を教えるのを忘れてた、みたいなことを言っていた。
ロブにそれを話すと、「やはり、なんらかのミスが生じた可能性はあるようだね。」と頷いていた。
「そういえばなつみさんであった私に、ついさっき会ったみたいな言い方したよ。」と言うことも伝えたが、「神様の時間感覚なんてそんなものなんじゃない? 」とすげなく言われた。
そうかい、そこはあんまり重要じゃないんだね。
ロブとなつみさんが相談して、いくつかの仮説を立てながら実験をしてみることになった。
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