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「めんどくさがりのプリンセス」の末っ子エミリー
二人のロベルト
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実験である。
まず、ロブが仮説を立てたものから順次実験してみることになった。
⒈ 呪文を言い「ブブッーー」音の後に、他の呪文が浮かぶか?
① ロブが耳を澄ませて心の中を探ってみる。
浮かばない。
② エムがやってみる。
なつみさんモードから変わらない。
③ 二人で同時にやってみる。
①と②のまま。
ここでなつみさんが、ふたりで手でも繋いでみたら? と言ったのでやってみた。
④ 二人で手をつないで同時にやってみる。
ここで初めて、エミリーとなつみさんは違和感を覚えた。
④の検証結果からロブが考えた結果、
身体的接触が、鍵ではないか? と言い出した。
異論はあるが、ロブが一度言い出すと、やってみないと引き下がらない。
しぶしぶやってみることにする。
⑤ 二人で肩をくんでやってみる。
二人同時に、頭の中で「ブブッーー」の音がした。
なんとなつみさんが、
「あら、交代のようね。」と言って消えた。
しかし、ザーザーというラジオのノイズ音がして、
他の呪文は、浮かばない。
⑤の検証結果からロブが閃いたのは、
「記憶チート」というぐらいだから頭だっ!ということだ。
⑥ ロブが、エミリーの頭を自分の頭に引き寄せる。
(どういう格好よこれ。)
でも、あらびっくり、
新たな呪文が二人の頭に浮かんできた。
二人で一緒に声を出して呪文を唱えてみることにした。
「「【オルト クルコム イガ イゴウ】」」
ピーーーーンポーーーーーーン
「『やっと、呼んでくれたね。』」
でたぁ!
それも、ロブとエミリーの口が同時に動いてるーー。
なにこれ、変なのぉ。
正面からおでこを押し付け合っている格好のままなので、ロブの驚きが近い。
ロブの薄茶色の目が、極限まで見開かれている。
驚いてる驚いてる。
ふふふ、変でしょう。
自分の口が独りでに動くという私のとまどいを、君も噛み締めたまえ。
「これは驚いたな。何ともおかしな感じだ。でも、出来たね! 成功だ! 」
「んーー実験としては成功だけど、このおでこくっつき状態は動きにくくない? こんな格好をしたままで、なつみさんやおきぬさんたちとやったみたいに料理や裁縫ができる?」
「『君たちは何を言っているんだい? 私は騎士だ。そんなものできるわけがなかろう。』」
「「えーーっ? 騎士ぃ!!」」
もうなんか驚きすぎて、頭の中飽和状態。
前世、私は男だった?
いやいや、そこじゃないだろう。
騎士?
この運動神経の鈍い私が?
ロブならわかるけど…。
ロブは公爵家の慣例で、小さい頃からフェンシングやってるからね。
…ん?
それで私じゃなくロブに憑依したのか?
お互いに、ぼぉ~としたまま他愛のないことを考え込んでいたのだろう。
扉が大きく開いて、デビ兄が入って来ていたのに気が付かなかった。
「お前らおでこくっつけ合って叫んで、何やってんの?」
「「う、うわっ!!」」
慌てて二人とも離れたが、どう説明するべきかわからない。
沈黙している二人を、デビ兄はじっと見て無意識に爆弾を落とした。
「まぁ、どうせ結婚すんだからいいけどさ。大きな声出すんなら部屋に行けよ。図書室だと、誰に覗かれるかわかんないぞ。さっきも母様が『やったわ。やっとお互い意識し始めたみたいね。』って言いなら、父様に電話しに行ったぞ。」
「「えーーーーーーーっ!!」
何それ何それ何それーーーーっ。
それこそ、わけわかんない。
ロブとお互い目を見かわす。
アイコンタクトで「結婚?」「聞いてる?」「「聞いてない。」」と意思確認する。
少しロブの目が泳いでる?
とにかく実験はさておいて、こちらの誤解を正すことが先のようだ。
まずはデビ兄を捕まえて、何をやっていたのか話すことにした。
◇◇◇
エミリーは今までの記憶チートの話から今日の実験に至るまでの経緯を、ロブと一緒に説明した。
デビ兄は最初、疑いの目全開で聞いていたが、それでも話をしているのがブリーとエミリーではなく、ロブとエミリーだったせいか、前回話した時よりは身を入れて聞いてくれたようである。
「何とも荒唐無稽な話だな。…でも、ロブが言うなら事実なんだろう。」
もしもし、実の妹よりロブですか。
「でもどういう風になるのか今いちわからないな。目の前でやってみてくれよ。」
男と言うものは同じことを言うんですね。
実証ですか、やるしかないですね。
ロブとアイコンタクトをしていると、「『私は、まだこの場にいるぞ。』」とさっきの騎士殿が言った。
ぎょっとして、またお互いを見る。
デビ兄も、エミリーとロブが一言一句たがえずに同時にしゃべったことで、目を丸くしている。
「エム、すごいぞ! 頭をくっつけたままじゃなくても記憶人格が消えてない!」
そうだねロブ。
これ、どういう仕組みになっているんだろう。
「あなたは騎士だとおっしゃいましたが、エムの前世の方ですか? お名前はなんとおっしゃるんですか?」
ロブは嬉しそうに、なつみさんに以前した質問と同じ事を聞いていく。
「『前世かなにか知らないが、先程の話を聞く限り、エミリーと私は同じ魂と言えるのかもしれないな。我が名は、ロベルト。領主ハンニガムの騎士隊長である。いや、…であった。』」
「「「ロベルト!!!」」」
ロブもデビ兄もエミリーも、それぞれの驚きポイントは違ったのだろうが、一様に声に出た。
へーー、やっぱりなつみさんが言ってた名前の人だったんだぁ。
騎士隊長だって、強そうーー。
もし遺伝? があれば、私も「女性騎士エミリー」とか言っちゃって、フェンシングのオリンピック選手にでもなれるのかしら。
のほほんと、エミリーがそんなことを想像している間に、ロブとデビ兄による、ロベルトさんへの聞き取り調査は進んでいたようだ。
「それでかっ!」と言うロブの言葉で、エミリーは我に返った。
「何が、わかったの?」
自分の口でしゃべっておいて、何言ってんだという二人の呆れた顔が目に入ったが、無意識に口から言葉が出るので、話の内容に注意を払っていなかったのだ。
しかたなかろうと、ちょっとムッとする。
「『エミリー、ロブは、ロブの先祖と私がよく似た同じ人物ではないかと考えているらしい。違う時間軸で並行して存在しているパラレルワールドとかの、同じ時代の同じ人物と酷似すると思っているのだ。』」
「んっ、よくわかんない。」
「だから、どうしてエムの前世の記憶が僕の中に入っちゃったのか? という点だよ。六百年以上前の話だけどね。うちのデボン公爵家の祖先に、ハンニガム候の側近がいたんだ。その人の娘がとても美人だったのもあって、娘は侯爵と結婚した。そしてその二人の子孫が、後にデボン公爵家とも婚姻をして、今の僕たちに繋がっているんだ。」
「『ほう、私の死の後に、オリガは閣下に娶って頂いたのか…。』」
「いや、地球での出来事と全く同じだったかどうかはわからないよ。とにかくこちらの星、アースではそうなっているんだ。あわてて発動された記憶チート…。そこに、同じような先祖を持ち、同じ名前の僕が、赤ん坊の時に同じ場所に寝かされてた…?」
デビ兄が当時の様子を思い出したのか、ロブの言葉を肯定した。
「ああ、ロブはデボンのおばさまとよくうちに来てたよ。お前ら二人とも生まれた時期が一緒だったからな。」
「やはりね。そんな、いろんな偶発的な条件が重なって、ロベルトさんの記憶だけが僕の方に引き寄せられて、僕の中に入ってしまったんじゃないかな。」
「ええっー? …でもそうなのかもね。えっ、じゃあ私とロブって、親戚だったの?」
エミリーのこの言葉に、ロブの残念そうな顔が深まった。
ここでエミリーはロブ先生に、現実の身体が受け継ぐであろう血の繋がりと魂の関係は違う。
そして、ここと異世界も違うと懇々とレクチャーされることとあいなった。
「えっ? ということは…私はオリンピックに行けそうにない…?」
「オリンピック? どこから出て来たんだ? とにかく、遺伝するものはないよ。」
がーーーん。
ちょっと期待が膨らんでいただけに至極残念である。
ということは…料理と裁縫の技術も遺伝しないのね。
やれやれじゃあこの「記憶チート」って、ほんっとに
「お喋りじじばばの知恵袋」っていうだけなのねーーー。
まず、ロブが仮説を立てたものから順次実験してみることになった。
⒈ 呪文を言い「ブブッーー」音の後に、他の呪文が浮かぶか?
① ロブが耳を澄ませて心の中を探ってみる。
浮かばない。
② エムがやってみる。
なつみさんモードから変わらない。
③ 二人で同時にやってみる。
①と②のまま。
ここでなつみさんが、ふたりで手でも繋いでみたら? と言ったのでやってみた。
④ 二人で手をつないで同時にやってみる。
ここで初めて、エミリーとなつみさんは違和感を覚えた。
④の検証結果からロブが考えた結果、
身体的接触が、鍵ではないか? と言い出した。
異論はあるが、ロブが一度言い出すと、やってみないと引き下がらない。
しぶしぶやってみることにする。
⑤ 二人で肩をくんでやってみる。
二人同時に、頭の中で「ブブッーー」の音がした。
なんとなつみさんが、
「あら、交代のようね。」と言って消えた。
しかし、ザーザーというラジオのノイズ音がして、
他の呪文は、浮かばない。
⑤の検証結果からロブが閃いたのは、
「記憶チート」というぐらいだから頭だっ!ということだ。
⑥ ロブが、エミリーの頭を自分の頭に引き寄せる。
(どういう格好よこれ。)
でも、あらびっくり、
新たな呪文が二人の頭に浮かんできた。
二人で一緒に声を出して呪文を唱えてみることにした。
「「【オルト クルコム イガ イゴウ】」」
ピーーーーンポーーーーーーン
「『やっと、呼んでくれたね。』」
でたぁ!
それも、ロブとエミリーの口が同時に動いてるーー。
なにこれ、変なのぉ。
正面からおでこを押し付け合っている格好のままなので、ロブの驚きが近い。
ロブの薄茶色の目が、極限まで見開かれている。
驚いてる驚いてる。
ふふふ、変でしょう。
自分の口が独りでに動くという私のとまどいを、君も噛み締めたまえ。
「これは驚いたな。何ともおかしな感じだ。でも、出来たね! 成功だ! 」
「んーー実験としては成功だけど、このおでこくっつき状態は動きにくくない? こんな格好をしたままで、なつみさんやおきぬさんたちとやったみたいに料理や裁縫ができる?」
「『君たちは何を言っているんだい? 私は騎士だ。そんなものできるわけがなかろう。』」
「「えーーっ? 騎士ぃ!!」」
もうなんか驚きすぎて、頭の中飽和状態。
前世、私は男だった?
いやいや、そこじゃないだろう。
騎士?
この運動神経の鈍い私が?
ロブならわかるけど…。
ロブは公爵家の慣例で、小さい頃からフェンシングやってるからね。
…ん?
それで私じゃなくロブに憑依したのか?
お互いに、ぼぉ~としたまま他愛のないことを考え込んでいたのだろう。
扉が大きく開いて、デビ兄が入って来ていたのに気が付かなかった。
「お前らおでこくっつけ合って叫んで、何やってんの?」
「「う、うわっ!!」」
慌てて二人とも離れたが、どう説明するべきかわからない。
沈黙している二人を、デビ兄はじっと見て無意識に爆弾を落とした。
「まぁ、どうせ結婚すんだからいいけどさ。大きな声出すんなら部屋に行けよ。図書室だと、誰に覗かれるかわかんないぞ。さっきも母様が『やったわ。やっとお互い意識し始めたみたいね。』って言いなら、父様に電話しに行ったぞ。」
「「えーーーーーーーっ!!」
何それ何それ何それーーーーっ。
それこそ、わけわかんない。
ロブとお互い目を見かわす。
アイコンタクトで「結婚?」「聞いてる?」「「聞いてない。」」と意思確認する。
少しロブの目が泳いでる?
とにかく実験はさておいて、こちらの誤解を正すことが先のようだ。
まずはデビ兄を捕まえて、何をやっていたのか話すことにした。
◇◇◇
エミリーは今までの記憶チートの話から今日の実験に至るまでの経緯を、ロブと一緒に説明した。
デビ兄は最初、疑いの目全開で聞いていたが、それでも話をしているのがブリーとエミリーではなく、ロブとエミリーだったせいか、前回話した時よりは身を入れて聞いてくれたようである。
「何とも荒唐無稽な話だな。…でも、ロブが言うなら事実なんだろう。」
もしもし、実の妹よりロブですか。
「でもどういう風になるのか今いちわからないな。目の前でやってみてくれよ。」
男と言うものは同じことを言うんですね。
実証ですか、やるしかないですね。
ロブとアイコンタクトをしていると、「『私は、まだこの場にいるぞ。』」とさっきの騎士殿が言った。
ぎょっとして、またお互いを見る。
デビ兄も、エミリーとロブが一言一句たがえずに同時にしゃべったことで、目を丸くしている。
「エム、すごいぞ! 頭をくっつけたままじゃなくても記憶人格が消えてない!」
そうだねロブ。
これ、どういう仕組みになっているんだろう。
「あなたは騎士だとおっしゃいましたが、エムの前世の方ですか? お名前はなんとおっしゃるんですか?」
ロブは嬉しそうに、なつみさんに以前した質問と同じ事を聞いていく。
「『前世かなにか知らないが、先程の話を聞く限り、エミリーと私は同じ魂と言えるのかもしれないな。我が名は、ロベルト。領主ハンニガムの騎士隊長である。いや、…であった。』」
「「「ロベルト!!!」」」
ロブもデビ兄もエミリーも、それぞれの驚きポイントは違ったのだろうが、一様に声に出た。
へーー、やっぱりなつみさんが言ってた名前の人だったんだぁ。
騎士隊長だって、強そうーー。
もし遺伝? があれば、私も「女性騎士エミリー」とか言っちゃって、フェンシングのオリンピック選手にでもなれるのかしら。
のほほんと、エミリーがそんなことを想像している間に、ロブとデビ兄による、ロベルトさんへの聞き取り調査は進んでいたようだ。
「それでかっ!」と言うロブの言葉で、エミリーは我に返った。
「何が、わかったの?」
自分の口でしゃべっておいて、何言ってんだという二人の呆れた顔が目に入ったが、無意識に口から言葉が出るので、話の内容に注意を払っていなかったのだ。
しかたなかろうと、ちょっとムッとする。
「『エミリー、ロブは、ロブの先祖と私がよく似た同じ人物ではないかと考えているらしい。違う時間軸で並行して存在しているパラレルワールドとかの、同じ時代の同じ人物と酷似すると思っているのだ。』」
「んっ、よくわかんない。」
「だから、どうしてエムの前世の記憶が僕の中に入っちゃったのか? という点だよ。六百年以上前の話だけどね。うちのデボン公爵家の祖先に、ハンニガム候の側近がいたんだ。その人の娘がとても美人だったのもあって、娘は侯爵と結婚した。そしてその二人の子孫が、後にデボン公爵家とも婚姻をして、今の僕たちに繋がっているんだ。」
「『ほう、私の死の後に、オリガは閣下に娶って頂いたのか…。』」
「いや、地球での出来事と全く同じだったかどうかはわからないよ。とにかくこちらの星、アースではそうなっているんだ。あわてて発動された記憶チート…。そこに、同じような先祖を持ち、同じ名前の僕が、赤ん坊の時に同じ場所に寝かされてた…?」
デビ兄が当時の様子を思い出したのか、ロブの言葉を肯定した。
「ああ、ロブはデボンのおばさまとよくうちに来てたよ。お前ら二人とも生まれた時期が一緒だったからな。」
「やはりね。そんな、いろんな偶発的な条件が重なって、ロベルトさんの記憶だけが僕の方に引き寄せられて、僕の中に入ってしまったんじゃないかな。」
「ええっー? …でもそうなのかもね。えっ、じゃあ私とロブって、親戚だったの?」
エミリーのこの言葉に、ロブの残念そうな顔が深まった。
ここでエミリーはロブ先生に、現実の身体が受け継ぐであろう血の繋がりと魂の関係は違う。
そして、ここと異世界も違うと懇々とレクチャーされることとあいなった。
「えっ? ということは…私はオリンピックに行けそうにない…?」
「オリンピック? どこから出て来たんだ? とにかく、遺伝するものはないよ。」
がーーーん。
ちょっと期待が膨らんでいただけに至極残念である。
ということは…料理と裁縫の技術も遺伝しないのね。
やれやれじゃあこの「記憶チート」って、ほんっとに
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