90 / 100
第五章 聖なる夜をいとし子と
それぞれの目標
しおりを挟む
午後のお茶を飲みながらロブが話をしてくれたのだが、それはセーラには思ってもみなかった話だった。
知り合いのお店にでも紹介してくれるのかと思っていたら、仕事は遠縁の老婦人の話し相手だという。
「そのご婦人の話し相手をしている人が来年には結婚するので仕事を止めたいと言っているらしいんだ。話し相手というのは、本を読んであげたり話し相手になるだけじゃなくて、手紙を整理したり、お客様の相手もするいわゆる私設秘書のようなものなんだ。これなら住み込みでデイビーの世話もしながら働ける。その人は子どもが好きな人だから心配ないよ。そこで三年ぐらい働いて、デイビーがキンダーガーデン(幼稚園)に行けるようになったら、知り合いの宿屋に紹介するよ。宿屋の仕事ってわかる?」
「ええ、宿屋は10歳の時に働いたことがあるからシーツ交換もできるわ。」
貴族のご婦人のお相手より、そっちの仕事のほうがいいかも。けれど子連れだとこれからすぐにでもという訳にもいかないわね。
「いや、シーツ交換なんかはパートの人がするから、マネージャーと言って簡単な経理や宿の運営が出来る勉強をして欲しい。」
「マネージャー?! それって、職業専門学校を出た人じゃなきゃできませんよ。」
「1年あったらそのくらいのことは覚えられるよ。その仕事のほうが実入りがいいんだ。」
ロブが言うには、それらの仕事のお給料は、老婦人の話し相手の仕事で今までもらっていた給料の三倍。宿屋のマネージャーにいたっては六倍のお金が貰えるようだった。
セーラはそんな仕事が自分に出来るのか不安だったが、デイビーと二人で食べて行こうと思ったら今までの仕事では無理なことがわかる。これから頑張って勉強して、紹介してもらえる仕事をこなさなければならないようだ。
「わかりました。勉強しますので、よろしくお願いします。」
セーラは腹をくくって、ロブにそう言った。
「ふ~ん、目力があるね。君ならそう言うと思ってたよ。じゃあ、これは最初のテストだ。セーラの基礎学力がわからないからそれを調べるテストだよ。わからないところは書かなくていいから、わかるところだけ回答してみて欲しい。解けたらエムに渡しといてね。」
それは三枚ほどの紙に書かれた問題用紙だった。国語・算数・理科・社会の問題が紙の両面に書いてある。その二つの職業柄、国語と算数の問題が大半を占めていた。
「私からもセーラに言っておきたいことがあるの。周りの人にはセーラをデビ兄の婚約者として紹介します。教会で育ったので貴族社会に慣れるためにうちで花嫁修業をしているということにしましょう。」
「でも…。」
「大丈夫、別れた後は破談になったと説明するから。そうしておかないとあなたがここにいる説明に困るのよ。それから孤児だということは内々の人か、よほど心を許した人にだけ話した方がいいわ。いろんな人がいるからね。弱みを人に見せないこと、これも貴族社会では大事なことなの。」
エミリーがそう言うと、ロブも重ねて説明してくれた。
「遠縁の老婦人のところに仕事に行くには、マナーや話し方、本を読んだり手紙の返事を書いたりといった貴族の奥さんがするような技能が必要になるんだ。こういうのはエミリーや女中頭のベネット夫人に習ってくれ。僕は経理の勉強や教養面を担当するよ。宿のマネージャーになると人を使うということもしなければならない。それも僕たち二人でやり方を伝えていくからね。」
「うっ…わかりました。頑張ります。」
二人ともそれぞれの仕事があるのに私のために親切に勉強をみてくれようとしているんだ。何とかついていけるように頑張らないと…。
それにしても使われる身の底辺から、人を使う側になるとは思ってもみなかった。そこの意識を変える事が一番難しいかもしれない。持って生まれた習性はなかなか切り替えられないような気がする。
**********
セーラがビギンガム侯爵領で将来の目標に向けて一歩踏み出していた時、デビッドはロンドンの社長室で書類に埋もれていた。
「…ったく、日本人はクリスマス休暇にも仕事をするのか? 打ち合わせは年明けにゆっくりやりましょうとにこやかに言ってたのは何だったんだよ!」
ロンドンに帰るのが一日半遅れたので、取引会社が指定してきた期日に間に合わせて仕上げようと思ったら、時間外労働をしなければならなくなった。
デビッドは部下の一人を携帯の緊急招集機能を使って、呼び出すことにした。
一時間もすると、呼び出した部下エメット・タイラーが酔っ払った赤い顔で、駆けつけてきた。
「デヴ! よほどの事態なんだろうなッ! クリスマス・パーティ中だったんだぞっ。」
「クリスマスは昨日で終わった。いつまでパーティをしてるんだよ。」
「ニューイヤーまで続くのさ。それより何だよ、クリスマス休暇中だから誰も会社にいないだろ。」
「それがコガエンタが早めのオファーをしてきたんだ。」
「古賀エンタープライズ? あの、大口のか?!」
それを聞いてエメットも顔色を変えた。
溜息をついてデビッドの机の上の書類を取り上げる。この男はデビッドの大学時代からの友人で、一緒にこの会社を立ち上げた同士でもある。エメットがゲームの製作部門を受け持って、デビッドが対外的な仕事をして来たのだ。
「タイラー、君を次期社長に就任させることにした。お前の補佐のアマンダが副社長になれるように仕事を教えてくれ。」
デビッドの急な命令に、エメットはますます顔色をなくした。
「……。なんだってぇ?! 何を急にっ。何があったんだよ?!」
「結婚する。」
「はあっ?!!」
「結婚だよ。僕がしてもいいだろ。」
「おまっ、地球上のどんな女とも結婚しないと言ってたじゃないかっ!」
ここまで驚いているエメットは、見たこともないな。
デビッドは頭の中でセーラの顔を思い出した。彼女は宇宙人じゃないことは確かだ。でも自分にとっては今まで見たこともないタイプだ。ある意味宇宙人に近いのかも。
「何だよ、ニヤついて…。あ~、会社の女の子たちの悲鳴が聞こえるよ。」
「なにバカなこと言ってんだ。とにかく海外出張なんかしたくない。お前が日本に行くんだ。僕は名誉会長になるよ。田舎に引っ込んで、必要な時だけ出てくる。」
「田舎って、あの煩いドナシェラおばさんが残してくれたって言ってた土地か? あんなとこへ引っ込んだらカビが生えるって嫌ってたじゃないか。」
「それが子どもが生まれたんだ。ジュニアには広い土地を駆け回って育って欲しいからね。」
「子どもぉーーーーーーーーーっ?!!!」
エメットは今度こそ目が飛び出さんばかりに驚愕していた。
エメット・タイラーには悪いが、会社は彼に任せることにした。
一か月ほどで引継ぎが出来たらいいのだが。役員会の根回しもいるな。株主集会の対応は、もう一人の部下のマイクに任せよう。あいつは如才ないし、アマンダが今やっている仕事も引き継げるだろう。なんだかんだ言って若い会社のわりに、優秀な人員が揃ってるな。まあ、それだからこそ短期間で一気に業績を伸ばせてきたのだが…。
おじい様の大叔母さんにあたるドナシェラおばさまには跡継ぎがいなかった。
亡くなった旦那さんの家系はアメリカに移住してしまっていて係累が辿れなくなっていることから、昔からデビッドに後を継いで欲しいと言われていたのだ。
子どもの頃、デビッドはそんな跡継ぎのことなどは話半分に聞いていた。おばさまはそう言うが、あの生命力の強いドナシェラおばさまのことだ。百年先までも悪態をまき散らしながら生きていると思っていた。
それがうちのおばあ様が亡くなって一か月ほど経った時に、後を追うようにぽっくりと死んでしまった。遺書には、土地も家財道具もクレイボーン伯爵の称号もすべてデビッドに譲ると書いてあった。
長男のアレックスより一足先に伯爵になってしまったデビッドは、その古臭い称号が嫌で土地は管理人に任せっきりにして、ずっとロンドンで暮らしてきた。
それがどうだろう。子どもが出来たと思った途端に、クレイボーン伯爵領が酷く魅力的に見えてきた。
セーラは古臭い土地を嫌がらないような気がしている。今朝、よほどその事を聞こうかと口に出かかったが、孤児のセーラに伯爵領に住みたいかどうかなどということを急に聞くのも戸惑われた。逡巡しているうちにエムたちがやって来てしまったのだ。
とにかく仕事を片付けて、ビギンガムに行った時に聞いてみよう。
どこで暮らすにしろセーラは伯爵夫人になるのだから。
知り合いのお店にでも紹介してくれるのかと思っていたら、仕事は遠縁の老婦人の話し相手だという。
「そのご婦人の話し相手をしている人が来年には結婚するので仕事を止めたいと言っているらしいんだ。話し相手というのは、本を読んであげたり話し相手になるだけじゃなくて、手紙を整理したり、お客様の相手もするいわゆる私設秘書のようなものなんだ。これなら住み込みでデイビーの世話もしながら働ける。その人は子どもが好きな人だから心配ないよ。そこで三年ぐらい働いて、デイビーがキンダーガーデン(幼稚園)に行けるようになったら、知り合いの宿屋に紹介するよ。宿屋の仕事ってわかる?」
「ええ、宿屋は10歳の時に働いたことがあるからシーツ交換もできるわ。」
貴族のご婦人のお相手より、そっちの仕事のほうがいいかも。けれど子連れだとこれからすぐにでもという訳にもいかないわね。
「いや、シーツ交換なんかはパートの人がするから、マネージャーと言って簡単な経理や宿の運営が出来る勉強をして欲しい。」
「マネージャー?! それって、職業専門学校を出た人じゃなきゃできませんよ。」
「1年あったらそのくらいのことは覚えられるよ。その仕事のほうが実入りがいいんだ。」
ロブが言うには、それらの仕事のお給料は、老婦人の話し相手の仕事で今までもらっていた給料の三倍。宿屋のマネージャーにいたっては六倍のお金が貰えるようだった。
セーラはそんな仕事が自分に出来るのか不安だったが、デイビーと二人で食べて行こうと思ったら今までの仕事では無理なことがわかる。これから頑張って勉強して、紹介してもらえる仕事をこなさなければならないようだ。
「わかりました。勉強しますので、よろしくお願いします。」
セーラは腹をくくって、ロブにそう言った。
「ふ~ん、目力があるね。君ならそう言うと思ってたよ。じゃあ、これは最初のテストだ。セーラの基礎学力がわからないからそれを調べるテストだよ。わからないところは書かなくていいから、わかるところだけ回答してみて欲しい。解けたらエムに渡しといてね。」
それは三枚ほどの紙に書かれた問題用紙だった。国語・算数・理科・社会の問題が紙の両面に書いてある。その二つの職業柄、国語と算数の問題が大半を占めていた。
「私からもセーラに言っておきたいことがあるの。周りの人にはセーラをデビ兄の婚約者として紹介します。教会で育ったので貴族社会に慣れるためにうちで花嫁修業をしているということにしましょう。」
「でも…。」
「大丈夫、別れた後は破談になったと説明するから。そうしておかないとあなたがここにいる説明に困るのよ。それから孤児だということは内々の人か、よほど心を許した人にだけ話した方がいいわ。いろんな人がいるからね。弱みを人に見せないこと、これも貴族社会では大事なことなの。」
エミリーがそう言うと、ロブも重ねて説明してくれた。
「遠縁の老婦人のところに仕事に行くには、マナーや話し方、本を読んだり手紙の返事を書いたりといった貴族の奥さんがするような技能が必要になるんだ。こういうのはエミリーや女中頭のベネット夫人に習ってくれ。僕は経理の勉強や教養面を担当するよ。宿のマネージャーになると人を使うということもしなければならない。それも僕たち二人でやり方を伝えていくからね。」
「うっ…わかりました。頑張ります。」
二人ともそれぞれの仕事があるのに私のために親切に勉強をみてくれようとしているんだ。何とかついていけるように頑張らないと…。
それにしても使われる身の底辺から、人を使う側になるとは思ってもみなかった。そこの意識を変える事が一番難しいかもしれない。持って生まれた習性はなかなか切り替えられないような気がする。
**********
セーラがビギンガム侯爵領で将来の目標に向けて一歩踏み出していた時、デビッドはロンドンの社長室で書類に埋もれていた。
「…ったく、日本人はクリスマス休暇にも仕事をするのか? 打ち合わせは年明けにゆっくりやりましょうとにこやかに言ってたのは何だったんだよ!」
ロンドンに帰るのが一日半遅れたので、取引会社が指定してきた期日に間に合わせて仕上げようと思ったら、時間外労働をしなければならなくなった。
デビッドは部下の一人を携帯の緊急招集機能を使って、呼び出すことにした。
一時間もすると、呼び出した部下エメット・タイラーが酔っ払った赤い顔で、駆けつけてきた。
「デヴ! よほどの事態なんだろうなッ! クリスマス・パーティ中だったんだぞっ。」
「クリスマスは昨日で終わった。いつまでパーティをしてるんだよ。」
「ニューイヤーまで続くのさ。それより何だよ、クリスマス休暇中だから誰も会社にいないだろ。」
「それがコガエンタが早めのオファーをしてきたんだ。」
「古賀エンタープライズ? あの、大口のか?!」
それを聞いてエメットも顔色を変えた。
溜息をついてデビッドの机の上の書類を取り上げる。この男はデビッドの大学時代からの友人で、一緒にこの会社を立ち上げた同士でもある。エメットがゲームの製作部門を受け持って、デビッドが対外的な仕事をして来たのだ。
「タイラー、君を次期社長に就任させることにした。お前の補佐のアマンダが副社長になれるように仕事を教えてくれ。」
デビッドの急な命令に、エメットはますます顔色をなくした。
「……。なんだってぇ?! 何を急にっ。何があったんだよ?!」
「結婚する。」
「はあっ?!!」
「結婚だよ。僕がしてもいいだろ。」
「おまっ、地球上のどんな女とも結婚しないと言ってたじゃないかっ!」
ここまで驚いているエメットは、見たこともないな。
デビッドは頭の中でセーラの顔を思い出した。彼女は宇宙人じゃないことは確かだ。でも自分にとっては今まで見たこともないタイプだ。ある意味宇宙人に近いのかも。
「何だよ、ニヤついて…。あ~、会社の女の子たちの悲鳴が聞こえるよ。」
「なにバカなこと言ってんだ。とにかく海外出張なんかしたくない。お前が日本に行くんだ。僕は名誉会長になるよ。田舎に引っ込んで、必要な時だけ出てくる。」
「田舎って、あの煩いドナシェラおばさんが残してくれたって言ってた土地か? あんなとこへ引っ込んだらカビが生えるって嫌ってたじゃないか。」
「それが子どもが生まれたんだ。ジュニアには広い土地を駆け回って育って欲しいからね。」
「子どもぉーーーーーーーーーっ?!!!」
エメットは今度こそ目が飛び出さんばかりに驚愕していた。
エメット・タイラーには悪いが、会社は彼に任せることにした。
一か月ほどで引継ぎが出来たらいいのだが。役員会の根回しもいるな。株主集会の対応は、もう一人の部下のマイクに任せよう。あいつは如才ないし、アマンダが今やっている仕事も引き継げるだろう。なんだかんだ言って若い会社のわりに、優秀な人員が揃ってるな。まあ、それだからこそ短期間で一気に業績を伸ばせてきたのだが…。
おじい様の大叔母さんにあたるドナシェラおばさまには跡継ぎがいなかった。
亡くなった旦那さんの家系はアメリカに移住してしまっていて係累が辿れなくなっていることから、昔からデビッドに後を継いで欲しいと言われていたのだ。
子どもの頃、デビッドはそんな跡継ぎのことなどは話半分に聞いていた。おばさまはそう言うが、あの生命力の強いドナシェラおばさまのことだ。百年先までも悪態をまき散らしながら生きていると思っていた。
それがうちのおばあ様が亡くなって一か月ほど経った時に、後を追うようにぽっくりと死んでしまった。遺書には、土地も家財道具もクレイボーン伯爵の称号もすべてデビッドに譲ると書いてあった。
長男のアレックスより一足先に伯爵になってしまったデビッドは、その古臭い称号が嫌で土地は管理人に任せっきりにして、ずっとロンドンで暮らしてきた。
それがどうだろう。子どもが出来たと思った途端に、クレイボーン伯爵領が酷く魅力的に見えてきた。
セーラは古臭い土地を嫌がらないような気がしている。今朝、よほどその事を聞こうかと口に出かかったが、孤児のセーラに伯爵領に住みたいかどうかなどということを急に聞くのも戸惑われた。逡巡しているうちにエムたちがやって来てしまったのだ。
とにかく仕事を片付けて、ビギンガムに行った時に聞いてみよう。
どこで暮らすにしろセーラは伯爵夫人になるのだから。
1
あなたにおすすめの小説
黒騎士団の娼婦
イシュタル
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。
異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。
頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。
煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。
誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。
「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」
※本作はAIとの共同制作作品です。
※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。
『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』
鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、
仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。
厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議――
最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。
だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、
結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。
そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、
次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。
同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。
数々の試練が二人を襲うが――
蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、
結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。
そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、
秘書と社長の関係を静かに越えていく。
「これからの人生も、そばで支えてほしい。」
それは、彼が初めて見せた弱さであり、
結衣だけに向けた真剣な想いだった。
秘書として。
一人の女性として。
結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。
仕事も恋も全力で駆け抜ける、
“冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。
【12月末日公開終了】有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
王宮地味女官、只者じゃねぇ
宵森みなと
恋愛
地味で目立たず、ただ真面目に働く王宮の女官・エミリア。
しかし彼女の正体は――剣術・魔法・語学すべてに長けた首席卒業の才女にして、実はとんでもない美貌と魔性を秘めた、“自覚なしギャップ系”最強女官だった!?
王女付き女官に任命されたその日から、運命が少しずつ動き出す。
訛りだらけのマーレン語で王女に爆笑を起こし、夜会では仮面を外した瞬間、貴族たちを騒然とさせ――
さらには北方マーレン国から訪れた黒髪の第二王子をも、一瞬で虜にしてしまう。
「おら、案内させてもらいますけんの」
その一言が、国を揺らすとは、誰が想像しただろうか。
王女リリアは言う。「エミリアがいなければ、私は生きていけぬ」
副長カイルは焦る。「このまま、他国に連れて行かれてたまるか」
ジークは葛藤する。「自分だけを見てほしいのに、届かない」
そしてレオンハルト王子は心を決める。「妻に望むなら、彼女以外はいない」
けれど――当の本人は今日も地味眼鏡で事務作業中。
王族たちの心を翻弄するのは、無自覚最強の“訛り女官”。
訛って笑いを取り、仮面で魅了し、剣で守る――
これは、彼女の“本当の顔”が王宮を変えていく、壮麗な恋と成長の物語。
★この物語は、「枯れ専モブ令嬢」の5年前のお話です。クラリスが活躍する前で、少し若いイザークとライナルトがちょっと出ます。
【完結】うっかり異世界召喚されましたが騎士様が過保護すぎます!
雨宮羽那
恋愛
いきなり神子様と呼ばれるようになってしまった女子高生×過保護気味な騎士のラブストーリー。
◇◇◇◇
私、立花葵(たちばなあおい)は普通の高校二年生。
元気よく始業式に向かっていたはずなのに、うっかり神様とぶつかってしまったらしく、異世界へ飛ばされてしまいました!
気がつくと神殿にいた私を『神子様』と呼んで出迎えてくれたのは、爽やかなイケメン騎士様!?
元の世界に戻れるまで騎士様が守ってくれることになったけど……。この騎士様、過保護すぎます!
だけどこの騎士様、何やら秘密があるようで――。
◇◇◇◇
※過去に同名タイトルで途中まで連載していましたが、連載再開にあたり設定に大幅変更があったため、加筆どころか書き直してます。
※アルファポリス先行公開。
※表紙はAIにより作成したものです。
婚約破棄された悪役令嬢の心の声が面白かったので求婚してみた
夕景あき
恋愛
人の心の声が聞こえるカイルは、孤独の闇に閉じこもっていた。唯一の救いは、心の声まで真摯で温かい異母兄、第一王子の存在だけだった。
そんなカイルが、外交(婚約者探し)という名目で三国交流会へ向かうと、目の前で隣国の第二王子による公開婚約破棄が発生する。
婚約破棄された令嬢グレースは、表情一つ変えない高潔な令嬢。しかし、カイルがその心の声を聞き取ると、思いも寄らない内容が聞こえてきたのだった。
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる