神社のゆかこさん

秋野 木星

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第二章 ゆかこさんの一年間

初詣

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 新年になるとゆかこさんがいる神社は賑わいます。

大晦日の除夜の鐘を聞きながら町中の人たちが長い階段を登って来るのです。


「今年も大勢のお参りね。」

そうですね、ゆかこさん。山の霊気が喜んでいます。

ゆかこさんがこの町にやって来て、5年目のお正月です。
町の人たちにも知り合いが増えました。

去年、受験のお参りに来たあの男の子は4月に合格したのでしょうか。

楽にあの世に召されたいと願ったおばあちゃんは今年も元気に参ってきているようです。

奥さんを亡くしたおじいさん、お友達の怪我が治るように頼んだ女の子、一緒にお祭りをした青年団の人たち、七五三に参って来た子ども達、夏風邪をひいていた赤ちゃん、夏休みの宿題を頑張った女の子・・・・。

たくさんの笑顔が神社の境内で弾けています。


「あーーっ、お母さん大吉なのぉ?! いいなぁ。」

どこかのお母さんがおみくじの大吉を引き当てたようです。
今年もいいことがたくさんありますように。

ゆかこさんも皆の願いを笑いながら聞いています。

「この人は結婚できたみたいね。」

ゆかこさんがお祭りの夜にプロポーズの後押しをした彼が、可愛い新嫁さんを連れて参って来ました。
鼻の穴をふくらませて得意げにお嫁さんを紹介しています。

ゆかこさんもうんうん頷いて、お嫁さんのお腹を撫でてあげていましたよ。
もしかしたら赤ちゃんが生まれるのかもしれません。


「この町はあたたかいわ。」

本当に、空気に喜びが満ちています。

寿ことほぐ春をこの町の人たちに!」

ゆかこさんが手をあげると、ろうばいの黄色い香りが皆の心の中へ染み込んでいきました。

今年も良い年でありますように。


午後遅くに静かに雪が降り始めました。

今年初めての雪ですね、ゆかこさん。

「そうね。雪を繋いでネックレスを作りましょう!」

ゆかこさんは一つずつ雪の結晶を集めて、糸に通して首飾りを作りました。

「南天の赤い実を中心につけたら出来あがりー。」

ゆかこさんの作ったネックレスは、キラキラと青白く輝いていましたよ。


首に初雪をまとったゆかこさんは、満足げに神社の境内を歩き回っていました。

町の家々からもれる明かりが、雪の降る夜の家族の団欒を山の上の神社まで届けていました。

そのチラチラと見え隠れする明かりを見ながら、ゆかこさんは改めて新年の誓いをしたのです。

「今年は楽しいことをいっぱいしましょう!」

あらあら、ゆかこさんったらまた今年も元気に飛び回るようですよ。


皆さんもゆかこさんと一緒に楽しいことを探していきましょう。

優しい雪たちが、笑いながらこっそりゆかこさんに賛成していました。
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