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第一章 出会い
貴族郵便?
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この場にいた人たちが全員、ラザフォード侯爵の持っている手紙に釘付けになっている。
走り寄って来たレイチェルも興味津々で侯爵様と手紙を見ていた。
「これは君に来た手紙だ。持っていてくれ、セリカ。」
「はい。どなたからの手紙なんでしょう? こういう花文字は習っていなくて。…その、読めないんですが。」
「読まなくていい……いや、それは不味いか。くそっ、クリスのやつ。」
いつも威厳のある丁寧な話し方をしていた侯爵様の口から、えらく乱暴な言葉が飛び出してきた。
「セリカ、私はちょっと領主館へ帰って来る。私が来るまで、この手紙を開けないで欲しい。」
「はい。」
何かわからないけど、どうせ開けても読めないのだ。
そのまま持っておくことに異存はない。
「これを。」
侯爵様が差し出したのは、10000ポトン札だった。
ピザ1枚の代金としては多すぎる。
「お釣りを持って来ますね。」
「いい。後からまた来るので、預かっておいてくれ。出来たら…その、おすすめを取りおいてくれるとありがたい。」
食べる気満々でしたもんね。
「わかりました。」
セリカが頷くと、侯爵様はスッと空中に浮かび上がった。
驚いて見ているうちに、みるみるうちに空高く登って行ったかと思うと、山の上の領主館に向かって飛んで行った。
……え?
まさかうちに来る時って、空を飛んできてたのぉーーーーーっ?!
「うわぁ、魔法使いが空を飛んでるのって初めて見た!」
「あらカール、見たことなかったの? 私は一度、ダレニアン伯爵様と息子さんが水害の視察に来てくださった時に見たことがあるわ。あれ、かなりの魔法量がないとできないらしいわよ。伯爵様も普段は馬車を使われるもの。」
レイチェルって何でも知ってるのね。
セリカにしてもカールと同じで、あんな風に魔法使いが飛んでいるのを見たのは初めてだ。
でも自分で森の中をこっそり飛んでみたことはあるけれど。
「ねぇセリカ、その手紙ちょっと見せてくれる?」
レイチェルが手紙を見に来たので、カールも側に寄って来た。
セリカも自分が持っていた厚めの手紙をしげしげと見る。
「この印、普通の郵便じゃないわね。」
「本当だ。郵政局のスタンプが押されてない。」
レイチェルとカールの指摘に、字を解読しようとしていたセリカもスタンプの位置を見てみた。
見たことのないキラキラした砂粒のようなもので模られたバラの模様がスタンプの代わりについている。
「これ、貴族郵便ね。王都から領主館へ直接届いたんじゃないかしら。」
「どうして王都からってわかるの?」
「だってバラの模様でしょ。ファジャンシル王国の御旗がバラじゃないの。だから王都の貴族はバラの模様を使うと思うわ。ダレニアン伯爵領から出すんだったら、双頭の鷲を使うと思う。」
「レイチェル、あなたって…警察の人みたい。」
この人、職業を間違えたんじゃないかしら。
確かにレイチェルの推理は当たっているような気がする。
そう考えれば、侯爵様が顔色を変えて領主館に戻ったことの説明もつく。
けれどそんな手紙が何故、自分に届けられたのかということだ。
それについてはさっぱり意味がわからない。
走り寄って来たレイチェルも興味津々で侯爵様と手紙を見ていた。
「これは君に来た手紙だ。持っていてくれ、セリカ。」
「はい。どなたからの手紙なんでしょう? こういう花文字は習っていなくて。…その、読めないんですが。」
「読まなくていい……いや、それは不味いか。くそっ、クリスのやつ。」
いつも威厳のある丁寧な話し方をしていた侯爵様の口から、えらく乱暴な言葉が飛び出してきた。
「セリカ、私はちょっと領主館へ帰って来る。私が来るまで、この手紙を開けないで欲しい。」
「はい。」
何かわからないけど、どうせ開けても読めないのだ。
そのまま持っておくことに異存はない。
「これを。」
侯爵様が差し出したのは、10000ポトン札だった。
ピザ1枚の代金としては多すぎる。
「お釣りを持って来ますね。」
「いい。後からまた来るので、預かっておいてくれ。出来たら…その、おすすめを取りおいてくれるとありがたい。」
食べる気満々でしたもんね。
「わかりました。」
セリカが頷くと、侯爵様はスッと空中に浮かび上がった。
驚いて見ているうちに、みるみるうちに空高く登って行ったかと思うと、山の上の領主館に向かって飛んで行った。
……え?
まさかうちに来る時って、空を飛んできてたのぉーーーーーっ?!
「うわぁ、魔法使いが空を飛んでるのって初めて見た!」
「あらカール、見たことなかったの? 私は一度、ダレニアン伯爵様と息子さんが水害の視察に来てくださった時に見たことがあるわ。あれ、かなりの魔法量がないとできないらしいわよ。伯爵様も普段は馬車を使われるもの。」
レイチェルって何でも知ってるのね。
セリカにしてもカールと同じで、あんな風に魔法使いが飛んでいるのを見たのは初めてだ。
でも自分で森の中をこっそり飛んでみたことはあるけれど。
「ねぇセリカ、その手紙ちょっと見せてくれる?」
レイチェルが手紙を見に来たので、カールも側に寄って来た。
セリカも自分が持っていた厚めの手紙をしげしげと見る。
「この印、普通の郵便じゃないわね。」
「本当だ。郵政局のスタンプが押されてない。」
レイチェルとカールの指摘に、字を解読しようとしていたセリカもスタンプの位置を見てみた。
見たことのないキラキラした砂粒のようなもので模られたバラの模様がスタンプの代わりについている。
「これ、貴族郵便ね。王都から領主館へ直接届いたんじゃないかしら。」
「どうして王都からってわかるの?」
「だってバラの模様でしょ。ファジャンシル王国の御旗がバラじゃないの。だから王都の貴族はバラの模様を使うと思うわ。ダレニアン伯爵領から出すんだったら、双頭の鷲を使うと思う。」
「レイチェル、あなたって…警察の人みたい。」
この人、職業を間違えたんじゃないかしら。
確かにレイチェルの推理は当たっているような気がする。
そう考えれば、侯爵様が顔色を変えて領主館に戻ったことの説明もつく。
けれどそんな手紙が何故、自分に届けられたのかということだ。
それについてはさっぱり意味がわからない。
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