魔法力0の騎士

犬威

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第一章 ガルディア都市

アリアVSテオ

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 路地は砂塵が舞い、その衝撃の激しさを物語る。

 痛む体を起き上がらせ、瓦礫を押しのけ這い出るとそこには絶望が待っていた。


「…… テオ……」


 重装備に身を固め、様々な武器を携えたガルディアンナイト団長テオ。

 もう追ってきたというのか、本当に私を殺しに……


「待ってくれ! これは誤解だ!! 私は嵌められたんだ!! 国王を私は殺してなんかいない!!」


 そうだ、テオにならきっとわかるはずだ!


「戯言を、剣を抜け!」

「あれは私ではない!!!」

「まだ言うか、抜かぬというならそれでもいい貴様は、犯罪者なのだからな!!」

「っつ!?!?」


 まるで駄目だ!話を聞こうとしてくれない!!
 剣と盾を構え真っすぐテオを見やる。動悸は激しく、汗は流れるように止まらない。


「それでいい、貴様も一度は騎士として歩んだ道、最後くらいは華々しく散れ」

 指が震える。恐怖してるのか、死ぬかもしれないというのに。
 死ねない!こんなとこで死ぬわけにはいかない!まだセレスやみんなを守れてはいない!
 自分を無理に奮い立たせ、剣を強く握りしめる。


「ハイオーバーパワー、 ハイスピーダー」

 淡々と紡がれる強化魔法。修行ではない、本当の命の奪い合いだ。
 そして、本気のテオが使う魔法、それはガルディアンナイトの団長にまでなった唯一無二の魔法。
 その名は……


「ボルトエレメント!!」


 全身に雷の属性魔法を付加する強化魔法。これがテオの得意属性、雷撃のテオと呼ばれる所以だ。


「いくぞ、アリア」


 その瞬間テオのいた地面が大きく爆ぜる。
 わかっている、だが避けるのが精いっぱいだ。

 全力で横に飛び、初檄を躱す。急激に突進を繰り出したテオを間一髪で避け、次元収納からチェーンアームを取り出し屋根にめがけて発射、その間もテオは雷撃をまとった斧を振り下ろしていた。
 盾を斧に這わせて軌道をなんとか逸らす!


「ぐっ!!」


 雷撃が当たってないのに纏わせた斧によるダメージだけでも痺れをきたす。
 そのまま斧は地面を穿つ。それと同時にチェーンが屋根に刺さったようでアリアも上へ引っ張られた。

 ここでは狭すぎる! 付近に人がいないとはいえここではまずい!!

 屋根にたどり着いてすぐさまアリアは屋根の上を走り出す。


「サンガー!!」


 すぐさま放たれた雷撃魔法は建物に邪魔されたが破壊された建物を見てアリアは青ざめた。
 この都市を破壊する気か!? そこまで私を殺す必要があるのか!?

 瞬時に上ってきたテオが弓を取り出す。

 あれは、まずい!!!

 アリアはすぐに立ち止まり次元収納から大楯を取り出す。
 放たれた矢は雷撃を纏い、音速で飛来する。
 矢は大楯にぶち当たると激しい紫電をまき散らし、大楯が押される。


「ぅおおおおおおお!!!」


 体をちゃんと固定していないと簡単に吹き飛ばされてしまいそうになる。
 なんとか耐えしのいだアリアだったが直後大楯が真横に吹き飛ばされる。


「なっ!?!?」


 大楯には鎖鎌が引っ掛かり、力ずくで引きはがされた。

 アリアは次元収納から盾とハルバードを取り出し、迎撃にあたる。
 テオは長剣を背中から引き抜くと踏み込み、アリアに向かい切り付ける。

 激しい剣戟が行われるが、アリアは防戦一方になっていった。

 下段から繰り出される斬撃を盾でかろうじて逸らし、ハルバードでテオの肩を狙うが全て躱されている。
 アリアは一定の距離を保ちながら、なかなか攻勢に転じれないでいた。


「ぬううううん!!」

「おおおおおお!!!」


 テオの大きな攻撃のわずかに出る隙をとらえるためにテオの長剣を紙一重で躱し、次元収納から剣を引き抜く、

 いまなら間に合う!!とどけぇえええ!!


「それを教えたのは誰だと思ってる」


 直後腹部にものすごい衝撃が奔る。
 長剣をふるった後テオは長剣を手放し、その低まった体制から紫電を纏った拳をアリアの腹部に打ち込んだ。


「!!! ごぉあ!?」


 大きく入った拳はアリアを吹き飛ばし、直撃を食らったアリアは落下していく。

 ガシャン!!と激しい音を立てて、地面に打ち付けられたアリアだったがダメージが大きすぎてなかなか立つことができないでいた。


「ぅぐぉ、おぇああああ!!」


 激しい腹部の衝撃に耐えきれなく思わず吐いてしまう。


「がはっ、っつう」

「その戦う技術も教えたのは俺だ」


 テオはゆっくりとした足取りで歩いてくる。
 今、自分に残されている体力はどれくらいだ? 脂汗をぬぐい、電撃で震える手でなんとか剣を握る。


 HP 430/3500
 MP   0/   0


 無情にもアルタナ測定器が自分の死が近いことを教えてくれる。
 こんなとこで、わたしは、わたしは……

 負けるわけには…… いかない……


「ぅおおおおおおお!!!!」


 次元収納から長剣を引き抜き、今出せる全力で地面を踏みしめ、テオに立ち向かう。


「死ぬわけにはいかないんだぁああああ!!!」


 テオは剣を手に同じように突っ込んでくる。

 一撃、一撃さえいれられれば

 激しい金属音をかき鳴らし、二人は交差する。


「ぐぅ」


 振り返り見るとテオの腹部から僅かばかりだが鮮血が飛ぶ、どうやら一撃食らわせることができたみたいだ。

 振り返り再び構えようとするが、違和感を感じる。
 直後地面にドッと突き立てられた長剣とそれを握っていた私の右腕が落ちる。


「ぅがあああああああああああああああ!!!!!!!」


 片腕が

 片腕が無い!!!

 激しく血しぶきが上がる右肩を抑え、激しい痛みに地面に転がる。


「ぐああああああああああ!!!!」


 HP 120/3500
 MP   0/   0


 頭の中がめちゃくちゃで何も考えられない!痛みが脳を支配する。


「終わりだ、アリア」

「させませんよ!!」

「グレーターヒール!!」


 直後痛みだけが徐々に緩和されていくのがわかる。なんだ何が起こった……


「お前たちは……」

「アリアには死なれるわけにはいかない!!」

「やはり、仕組まれていたとしかいえませんわ」

「トリ…… シア…… さん、カナリア……」


 見上げるとそこにはフルプレートの鎧に身を包み大きなハルバードを抱えた、トリシア=カスタール騎士団長といつもの黒いドレスに身を包んだカナリア=ファンネルが私とテオの間に入り、武器を構えていた。


「すまない、遅くなってしまった」

「カルマンが必死に足止めしてるうちにアリアはここから逃げなさい!!」


 カナリアがすごい剣幕で叫ぶ。


「トロンも殺された! 次に狙われるのはアリアだってわかっていたのに!」

「カナリア……」

「言ったでしょ、アンタは一人じゃないって!いいから早く逃げなさい!!」

「……っつ すまない……」


 右肩からの出血はどうやら止まっているらしく、わずかながら走ることができた。

 私は右肩を押さえ、痛む体に鞭を打ち、ターナーの家を目指しただ我武者羅に走った。

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