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第二章 アルテア大陸
第二階層
しおりを挟む1階層を突破した私達は、奥にあった螺旋階段を駆け上がっていた。
外から見たらわからないほど内部は広く、その作りは私達を驚かせるものがあった。
「どれだけ登ればいいんだこの塔は…」
「全然2階層が見えてこない…」
そんな言葉も漏れてしまうのは仕方ない事だ。
なんせかれこれ30分以上はこの階段を登り続けているのだから。
いったいどうなってるんだ…
カインもアインも塔に入るのは初めてであったし、ましてや王族であったシェリアも塔の内部構造がどうなっているのかなんて知らなかったのだ。
そういえばずっと同じ景色のような気がする…
「ちょっと待ってくれないか、どうもこの階段はおかしい気がする」
立ち止まり見上げるとまだ2階層までの位置は遥か彼方に見える。
さっきから全く進んでいないような…
「はぁ… はぁ、そうですね、こんなに登っているのに上に行けないのは明らかにおかしいです。 外から見た党はそれほど高いようには見えませんでしたし」
肩で息をしながらシェリアは話す。
シェリアもこの階段のおかしさは疑問に思っていたみたいだ。
「でもよ、道はここしかないぞ」
見渡す限り、中心の部分は吹き抜けになっており、私達の登っているこの階段の足場こそが唯一の道だ。
下を眺めると、30分も経ったというのに思ったよりも近い位置に1階の登り口が見える。
これは絶対におかしいな。
「私だけ登ってみるからシェリア達はそこで見ていてくれないか?」
「はい」
調べるため、みんなを待たせ、私だけ先に登ってみることにした。
その結果。
「戻ってますね」
「戻ってるな」
「戻ってるよね」
全員一致の答えに。
私が駆け出した途端、螺旋階段は私の動きに合わせるように戻っていく。
そう、まるで同じ場所を登るかのように。
気づけなかったのは、壁にも細工がしてあり、幻覚魔法の効果で登ってるような錯覚に、さらに戻ってる時の音もどうやら吸収されているみたいで気づけなかったのだ。
おそらく敵侵入の防止策なんだろうと。
この塔に住むのはほぼ鳥人と呼ばれる、背に羽を持った人たちだ。
そんな彼らなら、真ん中の吹き抜けを飛べば各々の階層に行くことができる、だが、敵国の人間は翼を持っていない為、こういった体力を消耗させるトラップを作ったのだろう。
「私達は飛べませんし、いったいどうしましょうか…」
「簡単だよシェリア、階段を使わなければいい話だ」
そう、動くのが階段だけなら、階段を使わなければいい話。
次元収納からチェーンアームを取り出し、奥の壁に向けて発射。
チェーンは勢いよく飛び出し、ジャラジャラと音を立てて奥の壁に突き刺さった。
そのままチェーンが巻き取る反動で自分もその壁に向けて引き寄せられる。
階段は戻るが、壁は戻らない。
「思った通りだ」
このチェーンアームを壁に突き刺しながら壁伝いに移動すれば問題なく登れる。
シェリアもそれを見て頷き、同じように次元収納からチェーンアームを取り出して、壁伝いに上っていく。
「なるほどなぁ、壁伝いでいけばいいのか」
カインは頷くと四つん這いになり、壁を見上げると、壁に爪を突き刺し、どんどん登っていく。
アインもそれを見て同じように登る。
凄いな、カインもアインもまるで雪原を走る狼のように自由に壁を走るように登ってく…
しばらくすると先ほどの登っていた時間の半分以下で2階に着くことができた。
「まぁ、待ち伏せされてるよな」
全員が登り終わると、そこには裏切った騎鳥軍の兵12人が囲むように立っていた。
「少数で乗り込むとはたいしたもんだ。 だが、ここを突破できると思うなよ」
「スピーダー!、オーバーパワー!」
騎鳥軍の兵たちは一斉に翼を広げ、飛び立ち、強化魔法を次々に施していく。
「避けられないか、仕方ない、戦うぞ」
「地の利でも数でもこちらが有利、これが避けられるか!!」
一斉に騎鳥軍の兵は弓を散弾の雨のごとく降り注ぐ。
「フハハ、所詮そちらの攻撃が当たらなければ意味はない」
砂埃が舞い、放たれた矢は地面にいくつも突き刺さっていく。
「どれ、死んだかな?」
砂埃が晴れるとそこには…
「何っ!? 貴様、その盾はいつの間に…」
シェリアが大楯を構え、降り注ぐ矢の嵐からみんなを守っていた。
「よそ見するんじゃないぞ」
「なっ!?」
鳥人の男が左を慌てて振り向くと、同じ高さまで跳躍するアリアが目前まで迫っていた。
「貴様!?なぜこの高さに… おがぁああああああ!!!」
アリアは男の頭を片手で鷲掴みにするとそのまま勢いよく下に叩きつけた。
地面は軽く砕け、鳥人の男はめり込むように気絶して動かなくなった。
周囲にどよめきが生じる。
アリアはそのまま着地し、体制を整える。
「この高さなんてなぁ、まったくもって不利にならないぜ!!」
アインとカインは同時に飛び上がり、カインがアインを足場にして再び2回目の跳躍をすると丁度騎鳥軍の兵の高さまで届く。
「なっ!!ぐぅあ!!」
カインの大きな爪によって切り裂かれた男はそのまま墜落していった。
「おのれ… 魔法で仕留める、アイスランス!!」
「サイクロン!!」
氷魔法でできた槍は発射された次の瞬間、巻き起こった暴風によって粉々に打ち砕かれた。
「飛んでいる貴方たちには暴風魔法はつらいはずです!」
シェリアの放った暴風魔法は一定時間その場に留まり続ける。
その魔法のおかげで、いくら飛ぶことに秀でている鳥人とはいえ、荒れ狂う暴風の中を自由自在に飛ぶことはできず、その動きもだいぶ緩慢になってきていた。
「こいつ… ほんとにヒューマンなのか!!」
アリアは壁を蹴り、その反動を利用して高く跳躍し、飛んでいる鳥人たちを切り伏せていく。
「こいつをなんとかするん、ぐぎゃああ!!」
「アリアさんが目立ってくれているおかげで狙いやすいですね」
アインは下からクロスボウで注意をそらした敵を次々に射貫き、カインも空中で鳥人と戦う。
シェリアは敵の攻撃を防ぎつつ、暴風魔法で援護してくれている。
数だけが、地の利だけが全てじゃないってことをわからせた戦いだった。
しばらくこちらが優勢に戦いを進め、私達は待ち伏せしていた騎鳥軍の兵を全て倒すことに成功した。
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