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第6話・嘘吐きの始まり③(※一部BL要素が有ります)
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ーー近場の小さな公園
「初対面なのに、すみません」
「いえ。俺も、もう少しだけ話してみたいと思っていたので」
俺達は缶コーヒーを片手にベンチへと座った。
「さっきのは、彼女さんからですか?」
「え?あぁ、はい」
ブラックコーヒーをコクリと飲んだ後、軽く頷く。
「今日、一緒に帰る予定だったんだけど…委員会が長引いてるらしくて」
「へぇ…寂しいですね」
(俺とのをキャンセルしてまで、姉さんはお前を選んだんだ、それくらい我慢しろよ)
「待ってる間、本でも読もうと思って」
「で、さっきの出来事に繋がるんですね」
「そうなんですよ、あの時はありがとうございました」
買った本を鞄から軽く見せると彼は微笑んだ。
「いきなりで大変申し訳ないのですが」
(この際、変な奴って思われても構わないな)
「初めてお会いした時にも思いましたが、格好良いですよね」
自分に大ダメージを与える一言を俺は言った。
彼は驚いた顔をすると、はにかんだ。
「な、いや、僕は貴方の方が…格好良いと…」
「多分、俺の方が年下だと思うので、タメ口で構いませんよ」
「え、そうなんですか?」
「1年です」
真新しい制服を主張する様に見せた。
彼は少し瞳を細めた後
「…僕は2年だよ」
「センパイ、ですね」
組んだ脚に手を回して彼を見遣る。
「……彼女さんって可愛いですか?」
俺はコーヒーを飲んでいる彼に問い掛ける。
彼は「ゴホッゴホッ」と咳をすると照ながら頷いた。
「可愛いよ」
(姉さんが可愛いのは当然だろ)
無意識に瞳が冷たく細まる。
(俺以外の讃辞の言葉がこんなにも不愉快だとは思わなかった)
「ッ?!」
ソッと相手の太腿に手を乗せる。
彼はビクッと強張ると俺を見た。
「ぇ、なーー」
「Shh…Just shut up」
ーーそして。
「…ン」
唇が重なる。
嫌でも感じる温もり。
忌々しい人物の、唇の感触に、吐き気がしそうだ。
チュッと微かな音を立てて唇が離れる。
「なっ、ぇ?は?」
混乱している相手を尻目に俺は立ち上がった。
「ごめんなさい、びっくりしちゃいましたよね」
完璧な笑顔を貼り付けるのは得意なんだ。
「外国では普通のコトだったから」
(姉さん、俺はね?嘘も平気で吐けるんだよ)
こんな嘘、直ぐにバレるって解っている。
解っていて吐いた嘘だ。
「ぇ、外国?ぁ、じゃあ、君は…」
「日本では普通じゃなかったですね、ごめんなさい」
頭を軽く下げると彼は慌てて手を振りながら言った。
「いや、そんな謝らないで?僕は大丈夫、びっくりしたけどね」
見た目にそぐう好青年っぷりに、俺の胸がギリギリと痛んだ。
「じゃあ、俺はこの辺で」
「あ、うん、今日は本とかありがとう」
男にキスされたというのに。
俺は嫌悪感を抱きながら唇を拭うと思っていたのだが、彼はそんな事はせずに微笑んでいた。
「また会えた時は、その時は、どうぞ宜しく」
「え?」
不思議そうに首を傾げる相手に背を向けると、俺は歩き出した。
胸元から携帯を取り出してメッセージを打つ。
メッセージの相手はーーー
(さぁ、久城、嘘吐きの始まりだ)
「初対面なのに、すみません」
「いえ。俺も、もう少しだけ話してみたいと思っていたので」
俺達は缶コーヒーを片手にベンチへと座った。
「さっきのは、彼女さんからですか?」
「え?あぁ、はい」
ブラックコーヒーをコクリと飲んだ後、軽く頷く。
「今日、一緒に帰る予定だったんだけど…委員会が長引いてるらしくて」
「へぇ…寂しいですね」
(俺とのをキャンセルしてまで、姉さんはお前を選んだんだ、それくらい我慢しろよ)
「待ってる間、本でも読もうと思って」
「で、さっきの出来事に繋がるんですね」
「そうなんですよ、あの時はありがとうございました」
買った本を鞄から軽く見せると彼は微笑んだ。
「いきなりで大変申し訳ないのですが」
(この際、変な奴って思われても構わないな)
「初めてお会いした時にも思いましたが、格好良いですよね」
自分に大ダメージを与える一言を俺は言った。
彼は驚いた顔をすると、はにかんだ。
「な、いや、僕は貴方の方が…格好良いと…」
「多分、俺の方が年下だと思うので、タメ口で構いませんよ」
「え、そうなんですか?」
「1年です」
真新しい制服を主張する様に見せた。
彼は少し瞳を細めた後
「…僕は2年だよ」
「センパイ、ですね」
組んだ脚に手を回して彼を見遣る。
「……彼女さんって可愛いですか?」
俺はコーヒーを飲んでいる彼に問い掛ける。
彼は「ゴホッゴホッ」と咳をすると照ながら頷いた。
「可愛いよ」
(姉さんが可愛いのは当然だろ)
無意識に瞳が冷たく細まる。
(俺以外の讃辞の言葉がこんなにも不愉快だとは思わなかった)
「ッ?!」
ソッと相手の太腿に手を乗せる。
彼はビクッと強張ると俺を見た。
「ぇ、なーー」
「Shh…Just shut up」
ーーそして。
「…ン」
唇が重なる。
嫌でも感じる温もり。
忌々しい人物の、唇の感触に、吐き気がしそうだ。
チュッと微かな音を立てて唇が離れる。
「なっ、ぇ?は?」
混乱している相手を尻目に俺は立ち上がった。
「ごめんなさい、びっくりしちゃいましたよね」
完璧な笑顔を貼り付けるのは得意なんだ。
「外国では普通のコトだったから」
(姉さん、俺はね?嘘も平気で吐けるんだよ)
こんな嘘、直ぐにバレるって解っている。
解っていて吐いた嘘だ。
「ぇ、外国?ぁ、じゃあ、君は…」
「日本では普通じゃなかったですね、ごめんなさい」
頭を軽く下げると彼は慌てて手を振りながら言った。
「いや、そんな謝らないで?僕は大丈夫、びっくりしたけどね」
見た目にそぐう好青年っぷりに、俺の胸がギリギリと痛んだ。
「じゃあ、俺はこの辺で」
「あ、うん、今日は本とかありがとう」
男にキスされたというのに。
俺は嫌悪感を抱きながら唇を拭うと思っていたのだが、彼はそんな事はせずに微笑んでいた。
「また会えた時は、その時は、どうぞ宜しく」
「え?」
不思議そうに首を傾げる相手に背を向けると、俺は歩き出した。
胸元から携帯を取り出してメッセージを打つ。
メッセージの相手はーーー
(さぁ、久城、嘘吐きの始まりだ)
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