サカサマ

桜乃みなも

文字の大きさ
2 / 17

四月

しおりを挟む
それでも私がみなみを親友だと思っているのは、いつもネガティブな私を明るく励ましてくれる性格の優しさが、とても居心地が良かったから。
でも、毎回好きな人がみなみを好きになるのは正直嫌だと思う。
今年から高校も別になる。
みなみより少し偏差値の高い共学を選んだ。
親友だけど、学校が違えば好きな人が出来てももう大丈夫かなと思ったのだ。
「高校べつになって、さみしいけどずっとあたしたち親友だからねっ!」
そう言って抱きついてくるみなみを私はそっと引き離した。
「みなみ、今までありがとう。もう、邪魔しないで」
すると、驚いた様に目を見開いた彼女は見つめてきた。
「理奈?あたし、何かしたかな?明日から高校生だけどあたしたち何も変わらないよ?」
「何言ってるの」
私は羨ましい気持ちとともに、彼女を妬んでしまっていたんだ。
だから、もう今まで我慢していた何かを押さえつけることが出来なかった。
「もう、親友じゃなくていいから」
「え?」
「男も女も、もう何もいらない!」
吐き捨てて私はみなみと連絡を取るのをやめた。
私なんかと親友でいてくれて嬉しかった。
だけど好きな人がみなみを好きになるのが悔しかった。
私は明日から高校生になる。
もう、私の世界にみなみはいない。
そう思っていたのに…。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

灰かぶりの姉

吉野 那生
恋愛
父の死後、母が連れてきたのは優しそうな男性と可愛い女の子だった。 「今日からあなたのお父さんと妹だよ」 そう言われたあの日から…。 * * * 『ソツのない彼氏とスキのない彼女』のスピンオフ。 国枝 那月×野口 航平の過去編です。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

いちばん好きな人…

麻実
恋愛
夫の裏切りを知った妻は 自分もまた・・・。

25年の後悔の結末

専業プウタ
恋愛
結婚直前の婚約破棄。親の介護に友人と恋人の裏切り。過労で倒れていた私が見た夢は25年前に諦めた好きだった人の記憶。もう一度出会えたら私はきっと迷わない。

雪の日に

藤谷 郁
恋愛
私には許嫁がいる。 親同士の約束で、生まれる前から決まっていた結婚相手。 大学卒業を控えた冬。 私は彼に会うため、雪の金沢へと旅立つ―― ※作品の初出は2014年(平成26年)。鉄道・駅などの描写は当時のものです。

私は秘書?

陽紫葵
恋愛
社内で、好きになってはいけない人を好きになって・・・。 1度は諦めたが、再会して・・・。 ※仕事内容、詳しくはご想像にお任せします。

思い出さなければ良かったのに

田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。 大事なことを忘れたまま。 *本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

処理中です...