サカサマ

桜乃みなも

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合コン

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「K高校とA高校の合コン会場の受付はこちらで~」
幹事らしき男女が案内をしている。
声がする方へ向かうと、いた。いたよ。
「理奈!久しぶりだね…隣の人、もしかして彼氏?」
「みなみ、違うの。付き添いだからっ」
私は自分から連絡を絶っておいてこんな所で再会したかつての親友を相手に、どう接していいか戸惑いを隠せずにいた。
「受付さんと友達なん?」
「…そ、そうなんだ」
俯く私を不思議そうに見ている賢太郎。
へえ。と深読みしないでいてくれて、空気を読んでくれたのが助かったよ。
私とみなみは気まずい雰囲気を出さないように、笑顔を絶やさなかった。
それでも分かってしまう。気づかれてしまう。
どうして?というくらい。
賢太郎の勘は鋭い。
「お前、受付の女の子となんかあったん?」
「え?」
動揺する私を責める訳でもなく、咎めた訳でもなかった。
「よく分からんけど、あんまり気にすんなよ」
どういう意味?
「俺がいるじゃん。友達」
合コンの最中はただただ座って話を聞いている事しか出来なかった私に、最後に言ってくれた言葉が優しかった。
彼氏とか、彼女とか。
そんなのに囚われなくても仲良く出来るよね?
賢太郎がツンツンの髪の毛を指先で遊びながらあくびをして。
「なあ、お腹すかない?」
まだ、夕方だけど軽い夜ご飯に誘ってくれた。
「ふーん、みなみって子が理奈の好きな子を取っちゃう訳じゃないけど相手が彼女に惚れちゃうんね」
3杯目のドリンクバーを手に取りながら、ファミレスで夕食をとる。
「みなみに悪気はないの。ただ、私の片思いの相手が何故か皆みなみの事を好きになって離れていくの。どうしてかな?」
ズズズッ。ストローがうなってる。溶けきれなかった氷が私の気持ちを代弁しているみたいだ。
「それまでの男だってことじゃない?」
「え?」
「つまり、理奈の好きになる男は理奈を好きにはならないんだよ。」
「なにそれ、まんまじゃない」
「そーだよ。べつに魔性の女って訳じゃないだろ」
「…じゃあ、例えばだよ?もし」
そこまで言って私は自分がとんでもない事を口にしようとしている事に気づいた。
「………今のなし。内緒。また今度ね」
分からなかった。私が今とっさに何を言おうとしていたか。
ううん、本当は分かっていた。
分かってたから逃げたんだ…。
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