16 / 17
復讐
しおりを挟む
顔面蒼白といった感じで、みなみは戻ってきた。
「みなみちゃん、顔色悪いよ。どうしたの?」
その場に居合わせた私以外の面々がみなみを気遣う。
「…大丈夫だよ。なんでもないの」
明らかに動揺している。
そこで私が追い打ちをかける。
「えーっ!みなみ、どうしたのその写真?今とは全然違うじゃない」
自分でもこれが悪役みたいな言い方だって分かってる。
でも止められなかった。
だって、みなみが今までしてきたお返し。
少しくらいしてもいいよね?
「…これは、私じゃないわ。い、妹よ!」
バレバレの嘘をつく。
「みなみって一人っ子じゃなかったっけ?」
会場がひそひそ話であふれる。
「それって、なんていうか…整形でもしたの?」
賢太郎が沈黙を破った。
「別にいいじゃんね」
お兄ちゃんはやれやれといった感じで、ひょいと私の手からみなみの写真を取り上げた。
「理奈、こういう事はするんじゃないよ。顔にコンプレックスがあるから整形した、ただそれだけじゃないか」
え、どうして私が責められるの?
今までみなみが私の好きな人を取ってきたのに、全部みなみが悪いのに!
私はみなみを睨みつけた。
「ハッキリ言わせてもらうけど、どうしてみなみは私の好きな人を取るの!?何かの仕返しなの?説明してよ!」
するとみなみは震えた声で私を睨みつけた。
「そんなの決まっているじゃない!トオルさんが好きだからよ。理奈のいちばん近くにいて、理奈がいちばん守られてる、それが羨ましくて悔しかったの!」
そっか…少し悪い事をしたな。でも私は復讐をやめない。悪役にだって何だってなってやるつもり。
賢太郎は呆れた様子でこちらを見やる。お兄ちゃんは真剣な眼差しで私とみなみを交互に見ている。
「もう、やめないか」
お兄ちゃんが私たちを制止する。
「みなみちゃん、ごめんね。理奈はこういう子だけど、俺にとっては大事な妹なんだ。許してやってくれないか?」
その声を聞いてみなみはわなわなと震えている。
「…どうしてっ、どうしていつもトオルさんは理奈の味方をするの?」
一拍空いた後、お兄ちゃんは真剣な眼差しで言葉を紡いだ。
「理奈の事が好きだからだよ」
「みなみちゃん、顔色悪いよ。どうしたの?」
その場に居合わせた私以外の面々がみなみを気遣う。
「…大丈夫だよ。なんでもないの」
明らかに動揺している。
そこで私が追い打ちをかける。
「えーっ!みなみ、どうしたのその写真?今とは全然違うじゃない」
自分でもこれが悪役みたいな言い方だって分かってる。
でも止められなかった。
だって、みなみが今までしてきたお返し。
少しくらいしてもいいよね?
「…これは、私じゃないわ。い、妹よ!」
バレバレの嘘をつく。
「みなみって一人っ子じゃなかったっけ?」
会場がひそひそ話であふれる。
「それって、なんていうか…整形でもしたの?」
賢太郎が沈黙を破った。
「別にいいじゃんね」
お兄ちゃんはやれやれといった感じで、ひょいと私の手からみなみの写真を取り上げた。
「理奈、こういう事はするんじゃないよ。顔にコンプレックスがあるから整形した、ただそれだけじゃないか」
え、どうして私が責められるの?
今までみなみが私の好きな人を取ってきたのに、全部みなみが悪いのに!
私はみなみを睨みつけた。
「ハッキリ言わせてもらうけど、どうしてみなみは私の好きな人を取るの!?何かの仕返しなの?説明してよ!」
するとみなみは震えた声で私を睨みつけた。
「そんなの決まっているじゃない!トオルさんが好きだからよ。理奈のいちばん近くにいて、理奈がいちばん守られてる、それが羨ましくて悔しかったの!」
そっか…少し悪い事をしたな。でも私は復讐をやめない。悪役にだって何だってなってやるつもり。
賢太郎は呆れた様子でこちらを見やる。お兄ちゃんは真剣な眼差しで私とみなみを交互に見ている。
「もう、やめないか」
お兄ちゃんが私たちを制止する。
「みなみちゃん、ごめんね。理奈はこういう子だけど、俺にとっては大事な妹なんだ。許してやってくれないか?」
その声を聞いてみなみはわなわなと震えている。
「…どうしてっ、どうしていつもトオルさんは理奈の味方をするの?」
一拍空いた後、お兄ちゃんは真剣な眼差しで言葉を紡いだ。
「理奈の事が好きだからだよ」
0
あなたにおすすめの小説
灰かぶりの姉
吉野 那生
恋愛
父の死後、母が連れてきたのは優しそうな男性と可愛い女の子だった。
「今日からあなたのお父さんと妹だよ」
そう言われたあの日から…。
* * *
『ソツのない彼氏とスキのない彼女』のスピンオフ。
国枝 那月×野口 航平の過去編です。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
雪の日に
藤谷 郁
恋愛
私には許嫁がいる。
親同士の約束で、生まれる前から決まっていた結婚相手。
大学卒業を控えた冬。
私は彼に会うため、雪の金沢へと旅立つ――
※作品の初出は2014年(平成26年)。鉄道・駅などの描写は当時のものです。
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる