破壊の魔女は愛する人と暮らしたい

高田 和奈

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アムリタの森での生活も3年目。父からは定期的に手紙とともに食料や衣服などの生活用品は届けられるけれど、基本、採取生活だ。

こちらからも定期的に近況報告の手紙は送っているけど、まさか、森で1人の生活をしているとは思いもしないだろう。

付けてくれた従者や侍女達が城に戻っていることも気づいていないと思うし。

手紙を届けてくれる人達は、私を煙たがっている長兄の息がかかった者達なので、私がひとりで生活していることは、長兄に報告しても父に報告することは、まずないだろう。

好きな人との結婚は、婚約解消した時に諦めた。どこかの国に嫁がされることもあるのかなと思ったりもしたけど、もうそういう政治的な利用はされることはない。兄たちにとっては、このまま、森に居てくれて、もう表舞台に引っ張り出されない方がよっぽど楽なのだ。

家族は、森の獣に襲われるとか、賊に襲われるとか、そんなことを心のどこかで望んでいるのかもしれない。日々逞しく生活している私を見て焦っているかもしれないけど。

さぁ!
今日も天気はいいし、採取生活するぞ~
確か、屏風岩のところのリンゴがそろそろ狩り時だったはず。
よし!今日はりんご狩り。
リンゴで何を作ろうかな?小麦粉も牛乳も沢山あったよね。ジャムにケーキに...砂糖あったっけ?今度、届けてもらった方がいいかな。

料理を考えているだけで、鼻歌まで出てくる。うん、お菓子はいいよね。作るのも楽しいし、もちろん、食べるのも楽しい。甘いものは正義だよ。

道々、食材や薬になる森の恵みを摘みながら目的地に向かう。
豊かな木々の香りと野鳥のさえずり。いつもと変わらない森の日常。滅多に人が入らない森の慣れた道は警戒するものもない。

屏風のように切り立った岩が、どんどん近づいて来た。岩から反射した陽が優しく周辺を包んでいた。

真っ赤なリンゴに手を伸ばした時、そこに、あり得ないものを見つけて息を飲んだ。仰向けに男が倒れていたのだ。直ぐに気が付かなかったのは、決してリンゴのお菓子のことばかりを考えていたからではないと、自分に言い訳をする。

屏風岩の頂上をふり仰ぐ。ここに居るということは、あそこから落ちたんだよね。
そろそろと、倒れている男に近づき、男の様子を確認する。男の顔色は悪いが、大きなケガをしているというわけでは無さそうで、ひとまずホッとする。
こんな森でけが人を手当てするすべはない。

「大丈夫ですか?」
そろそろと近寄りながら声をかけてみたが返事はない。どうしよう。


「動かしても平気なのかな?」
「打ちどころが悪かった?」

痩せた体に無精髭。元は上質だったと思われる服は、土埃でくたびれている。ただ、休んでいる風なら、倒れているわけでなければ、見なかったことに出来るのに。
このまま放置するわけにもいかないよね。この森は危険な獣は少ないけど、皆無というわけじゃない。
揺すってみても、呼びかけてみてもピクりともしない。

「目が覚めないなら、魔法を使っても平気かな?」
転移魔法陣を展開し、倒れている男をベッドまで転移させることにした。

「あーーー。私のバカ!!自分のベッドに転移してどうするのよ!!」
「......しょうがない。とりあえず、浄化魔法、浄化、浄化、浄化!!」

汚れだけを浄化するつもりが、必要以上に浄化魔法をかけてしまった。とりあえず、これで、小さな傷も浄化されるはず。やりすぎちゃって、怪しいことになっちゃったけど。
ふと、男の指にはめられている指輪に目がとまる。

「キラ?なぜここに」
「…。」
「あとは目が覚めるのを待つだけ」
「はぁ」
「もう、会うことはないって思っていたのに」

彼と最後に会ったのは4年前。あの時は、こんなことになるなんて思ってもいなかった。
ため息を付いていても状況が変わるわけもなく、とにかく目が覚めてから考えよう。

そうしよう、そうしよう。
と、悩むことはやめて、とりあえず、起きたら部屋を移ってもらうことにしよう。
それなら、移ってもらう部屋を掃除しなきゃ。

いやいや、いやいやいや、、、
目が覚めたら、すぐ出て行って貰わなきゃ
そう思うのに、どうして部屋の掃除しているんだろう私。

掃除が終わって、様子をみに部屋を覗くが、まだ目を覚まさないようなので、食事でも作ることにする。
何が好きかな?
まともな食事は取っていなかったのかな?
それなら、胃に優しいものがいいかな?

「あーーもう!!私、何考えてるの!!」

そう言って自分を止めようとするのに、やっぱり、手は料理の準備をしていく。
彼が、ずっと会いたかった人だったから、気を許しちゃったのかな?
誰かのために食事を作るのって楽しいよね。
いやいや、違うでしょう!!

「あーーーもう!!ホント、何考えてるの!!」


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