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Day46-④ 愉快な仲間
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ま、ここの住民の人格面はともかく、俺としてはお母さんが負ってる手傷が気になる訳で。
「お母さん程の達人が怪我するなんて……、誰にやられたの?」
「ああ、さっき家で2匹の断切亡者と戦ってね? 殺したけど、流石に一人じゃ無傷で勝つのは無理だった」
「断切亡者ぁ……?」
断切亡者は悪霊? の一種である。「死者を強く想っていると、その霊はいつまでも成仏出来ない」なんて話を聞いた事も有るだろうが、コイツは生前が善人だったとしても、自分達が成仏する為、死を悼んでいる者さえ殺しに来るのだ。
まあ、いつの頃からかネットで囁かれている都市伝説だが、この話のもっと質が悪い所は……。
「ソイツ等殺すと、『天国行き、まして成仏を邪魔したカドで地獄行き確定』なんじゃなかったっけ?」
「あ~そうだっけ? じゃあせめて軽い地獄で済む様に、もっともっと怪物を殺して徳を積まないとね、あっはっはっ!」
如何にもオカンと言った態度で呑気だなと思うが、まあ確かに都市伝説の怪物なんて現実に存在する訳無いし、すると奴等はそれに似せた何物かなんだとは明らかだ。
だがお父さんが何の気無しに校庭の外に目をやると、言った。
「急がないと、妖怪変化を狩り尽くされちまうぞ?」
フェンスの向こうで二人の男が、ディスマンっぽいヤツを追い駆け回している。手には、方やテニスのラケット、方やバドミントンのラケットが。
で、ディスマンがやたら速いパンチを繰り出すのだが、テニスラケットの男が、
「おっとぉ」
と事も無げにガットでそれを受け止める。すると、ディスマンの拳がガットに食い込み、格子状に切り裂かれ、敵は痛みに苦しむ。
そこへバドミントンの男が、
「そーれ」
とラケットの縁でディスマンの後頭部を強打。それが深くメリ込んでよろめいた所に、髪を掴んでの膝カックンで膝を突かせると、二人してガットでヤツの頭をサンドイッチ的に殴打した。
これにて戦闘終了。ディスマンは碁盤の目の様な傷口から黒い炎を噴き出して、燃え尽きた。
二人の男は、こっちに手を振って挨拶すると、次の獲物を探して走り去って行った。
ついでに言っとくとあの武器は『御命GOT』。フレームは総金属製で、ガットはピアノ線で出来ている。種類は普通に、『テニス』、『バド』と呼んでいる。
そう言えば、どこからともなく住民の怒号が聞こえて来る。
「殺せー! 殺せー!」
「一匹も生かして帰すな!」
「ちょっと! コイツ等にも戦縛が通じるわよ!」
「ホントだ、小心者だぜ! ガハハハハ!」
オレンジ色の空、黒の濃淡で描かれた家々、まばらに点いている街灯、人々の掛け声、明らかに人外な者の悲鳴、ついでに空を飛び回るカラスの大群……。いやぁ、実にマッチしたシチュエーションですなぁ……。
「となると、お次は……」
兄やんが察するのも当たり前で、この村には外敵が侵入した際の切札が在り、今回の様に数が多いならそれを使わない理由も無いからだ。
村内放送のスピーカーが突如として警報を発し、鳴り終わるや次の様にアナウンスがされた。
「こちらは、村上村医療研究所です! 多数の怪物の出現に伴い、長からの要請を受け、『肉好娘』を解放しました! 住民各位は注意して下さい!」
これ以降スピーカーからは、
「肉好娘を解放しました。住民各位は注意して下さい」
とだけエンドレスで放送され続けている。
村上村。この村の事である。兄やんと父方の名字が村上なのだが、隆盛おじさんは長を立てる前、自らがここの人達を纏め上げ、瓦礫撤去、難民や傷病者の受け入れ、農耕地の確保と言った功績から、便宜上とは言え名字から村名を付けられたのだ。
で、肉好娘とは何なのかと言うと、すぐ分かる。
ドップラー効果を利かせた足音と声がこっちに迫って来る……。
「肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉ゥ!」
「来た来た」
汚いフォームながら、100メートル走の世界チャンピオンより速いダッシュで出現したのは、髪を振り乱した和装の若い女である。
全体的に薄汚れていて、内股なぞ炎症を起こしてるソイツは、落武者みたいな髪型はともかく、逆モヒカンの位置、眉間から後頭部までが透明なカバーで覆われており、中の抉れた脳が観察出来る。で、頭には電極なりカメラなりSDカードスロットなり何なりが付いた輪っかを装着しており、下着も着けてないので乳なんか放り出している。ついでに裸足。
肉好娘は俺達の目の前でピタッと止まると、まずは兄やんを指差して、
「肉?」
「違う」
否定すると今度は俺に、
「肉?」
「違うッ!」
お次は周囲を見渡して、
「肉?」
『あっち!』
俺達で全員声を合わせて、しかしてんでんバラバラな方向を指差す。
「肉ゥゥ!」
肉好娘は嬉しそうに叫ぶと、フェンスを勢い良くよじ登って乗り越え、そのまま走り去って行った。
何であんなヤツが居るのかと言うと……。
8年程前兄やんは、道路状況を確かめるとか他の集落を探すとか言った名目で車で遠出をしていたのだが、旧滋賀県の集落を発見した際、「肉好娘を退治したら村同士の交流を検討する」と持ち掛けられたそうで。
経緯は不明ながら肉好娘は当時から完全にキチガッており、だからか今でも運動能力は兄やんをも上回っている。苦戦をし、人生初のダメージを貰いつつも、そして倒した。
しかし、脳天をノコギリでズタズタにしても肉好娘は生きていた。なので兄やんは肉好娘を捕縛し、家の牢屋で何年か世話した後、肉好娘と引き換えに病院兼医療研究所を誘致する事に成功した。
脳が損傷を受けても生存していた前例が幾つか有るらしいとは言っても貴重な研究材料であるが、メチャクチャ強いので、戦力としても活用している……。
以上が顛末だ。
しかし、そんな事はまあ良い。それより今やるべきは、武器を確保する事だ。
「おいハゲ! 皆が頑張ってる今の内に銃を取りに行かないと!」
「んな事分かってるんですぅ~。今言おうとしたんですぅ~。つーか呼べば良いんですぅ~」
冷静に冷静に……。
「だったらさっさと呼べよ……」
そこでお父さんが、
「そうだった。今何でか電波が繋がらないんだ!」
「ええ……? ……ホントだ。でも今、この通り放送が?」
「有線放送だからだろ。今頃は駐在さんも、非常用電話で応援を呼んでるさ」
「だろうと思うけど、取りに行って損は無いって。ハゲん家にも非常電話が有るんだし」
「しょーがない、取りに行くか」
兄やんが、軽く伸びをすると、不意に後ろから声が掛かった。
「俺も行く!」
振り向くと、そこに居たのは覇有と、手を繋いだ初君。言ったのは覇有の方である。
そりゃあ普段なら手伝ってくれるのは助かるけどさ……。
ここで、兄やんが口を開いた。
「なあ覇有よ、さぞかし自信が有ると見受けたが、どうしてもお前に頼らないといけない時はこっちから頭下げるよ。それまでは、連絡がいつでもつくように待機してろ、分かったな? おんちゃん、お前もだ」
「え~?」
「えっ? は、はい……」
不服そうにする覇有と戸惑う初君を差し置いて、今度は俺に言葉を向ける。
「それとな? さっきの野良犬共は、急にターゲットを切り替えた。何でなのか思い当たる事を言ってみろ」
「何でって……。俺はあの時ヤバいと思って気を逸らしたけど、そんなに大きく隙を見せていたのか……?」
「そうか……。すると……、お前もしかして肝冷やしたか?」
「そりゃそうだろ!? 戦えないちっちゃい子だってーー、あ!」
「やっぱり」
思い返してみれば、あの人面犬達は俺の方に積極的に襲い掛かっていた様な。そして指摘された通り、俺は内心ドキッとした。子供達が襲われると思って怖くなったんだ。
と言う事は今回の敵は。
「恐怖すればする程、優先的に襲われるって事!?」
「だろうな……。折角だから大方、余計に強く、凶暴になって」
「勘弁してよ~。ビビんななんて、生物には土台無理な事を……」
……でもないか……。俺や子供達はともかく、ここの人達には……。御時世もあるが、殺しにも戦いにも慣れ切ってるからだ。そーゆー点でも怖くなって来た。
それなりの歳で明らかに場に染まってないのは、初君位か。年齢と、兄やんの弟子ではない事からも不自然ではないが、生来内向的な性格だからだ。
「と言う訳で留美、尚更お前も付いて来い」
は?
「何言ってんだオメー、ビビれば強くなるって言ったばっかじゃんか!? オメー一人で行きゃー良いだろ!」
「『何言ってんだオメー』はオメーの方だ。精神修養が足りねえといつも思ってたが、鍛え直す良い機会だ。ネタに見当が付いてんだし、強い事は強いんだから大丈夫だろ」
そ~かなぁ……? しかし精神的に弱い、か……。う~ん……。
「『プちゃもいく! プちゃもいく! プちゃもいく! プちゃもいく!』」
兄やんがプーちゃんを俺の顔に近付けて来る……。俺はプーちゃんを毟り取ると、ポッケに押し込んだ。
「はいはい、プーちゃんも一緒に行きましょうねー」
「決まりだな。イオちゃん、留美を頼む。学校は任せろ」
「それと二人共、これ持ってきなさい?」
お父さんがここの守りを買って出て、お母さんが手渡してくれたのは、「村」と大書きされた500円玉位の硬貨が約10枚。それは『村上コイン』と呼ばれる、長が発行しているアイテムである。
「ありがと。良し……。早く行こう、暗くなる前に!」
日が完全に沈むまで、後1時間と言った所か。夜になったら尚更不利になる。急がないと!
俺は兄やんの手を引いて駆け出した!
「いだだだ、引っ張るなよ左手で!」
「うっさい! チンコ引っ張るぞ!」
ーーーーー
イオタと留美が去った後、初は覇有に語り掛ける。
「一緒に行きたかったと思うけど、あの二人だけで大丈夫だよ」
ふと、繋いでいる手の先に目をやると、そこに覇有の姿は無く、代わりに校舎から捨てられた人面犬の首無し死体が有った。
「首無し人面犬! いつの間に変わり身の術を……!?」
初は慌てて死体の手を放り投げた。
「お母さん程の達人が怪我するなんて……、誰にやられたの?」
「ああ、さっき家で2匹の断切亡者と戦ってね? 殺したけど、流石に一人じゃ無傷で勝つのは無理だった」
「断切亡者ぁ……?」
断切亡者は悪霊? の一種である。「死者を強く想っていると、その霊はいつまでも成仏出来ない」なんて話を聞いた事も有るだろうが、コイツは生前が善人だったとしても、自分達が成仏する為、死を悼んでいる者さえ殺しに来るのだ。
まあ、いつの頃からかネットで囁かれている都市伝説だが、この話のもっと質が悪い所は……。
「ソイツ等殺すと、『天国行き、まして成仏を邪魔したカドで地獄行き確定』なんじゃなかったっけ?」
「あ~そうだっけ? じゃあせめて軽い地獄で済む様に、もっともっと怪物を殺して徳を積まないとね、あっはっはっ!」
如何にもオカンと言った態度で呑気だなと思うが、まあ確かに都市伝説の怪物なんて現実に存在する訳無いし、すると奴等はそれに似せた何物かなんだとは明らかだ。
だがお父さんが何の気無しに校庭の外に目をやると、言った。
「急がないと、妖怪変化を狩り尽くされちまうぞ?」
フェンスの向こうで二人の男が、ディスマンっぽいヤツを追い駆け回している。手には、方やテニスのラケット、方やバドミントンのラケットが。
で、ディスマンがやたら速いパンチを繰り出すのだが、テニスラケットの男が、
「おっとぉ」
と事も無げにガットでそれを受け止める。すると、ディスマンの拳がガットに食い込み、格子状に切り裂かれ、敵は痛みに苦しむ。
そこへバドミントンの男が、
「そーれ」
とラケットの縁でディスマンの後頭部を強打。それが深くメリ込んでよろめいた所に、髪を掴んでの膝カックンで膝を突かせると、二人してガットでヤツの頭をサンドイッチ的に殴打した。
これにて戦闘終了。ディスマンは碁盤の目の様な傷口から黒い炎を噴き出して、燃え尽きた。
二人の男は、こっちに手を振って挨拶すると、次の獲物を探して走り去って行った。
ついでに言っとくとあの武器は『御命GOT』。フレームは総金属製で、ガットはピアノ線で出来ている。種類は普通に、『テニス』、『バド』と呼んでいる。
そう言えば、どこからともなく住民の怒号が聞こえて来る。
「殺せー! 殺せー!」
「一匹も生かして帰すな!」
「ちょっと! コイツ等にも戦縛が通じるわよ!」
「ホントだ、小心者だぜ! ガハハハハ!」
オレンジ色の空、黒の濃淡で描かれた家々、まばらに点いている街灯、人々の掛け声、明らかに人外な者の悲鳴、ついでに空を飛び回るカラスの大群……。いやぁ、実にマッチしたシチュエーションですなぁ……。
「となると、お次は……」
兄やんが察するのも当たり前で、この村には外敵が侵入した際の切札が在り、今回の様に数が多いならそれを使わない理由も無いからだ。
村内放送のスピーカーが突如として警報を発し、鳴り終わるや次の様にアナウンスがされた。
「こちらは、村上村医療研究所です! 多数の怪物の出現に伴い、長からの要請を受け、『肉好娘』を解放しました! 住民各位は注意して下さい!」
これ以降スピーカーからは、
「肉好娘を解放しました。住民各位は注意して下さい」
とだけエンドレスで放送され続けている。
村上村。この村の事である。兄やんと父方の名字が村上なのだが、隆盛おじさんは長を立てる前、自らがここの人達を纏め上げ、瓦礫撤去、難民や傷病者の受け入れ、農耕地の確保と言った功績から、便宜上とは言え名字から村名を付けられたのだ。
で、肉好娘とは何なのかと言うと、すぐ分かる。
ドップラー効果を利かせた足音と声がこっちに迫って来る……。
「肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉ゥ!」
「来た来た」
汚いフォームながら、100メートル走の世界チャンピオンより速いダッシュで出現したのは、髪を振り乱した和装の若い女である。
全体的に薄汚れていて、内股なぞ炎症を起こしてるソイツは、落武者みたいな髪型はともかく、逆モヒカンの位置、眉間から後頭部までが透明なカバーで覆われており、中の抉れた脳が観察出来る。で、頭には電極なりカメラなりSDカードスロットなり何なりが付いた輪っかを装着しており、下着も着けてないので乳なんか放り出している。ついでに裸足。
肉好娘は俺達の目の前でピタッと止まると、まずは兄やんを指差して、
「肉?」
「違う」
否定すると今度は俺に、
「肉?」
「違うッ!」
お次は周囲を見渡して、
「肉?」
『あっち!』
俺達で全員声を合わせて、しかしてんでんバラバラな方向を指差す。
「肉ゥゥ!」
肉好娘は嬉しそうに叫ぶと、フェンスを勢い良くよじ登って乗り越え、そのまま走り去って行った。
何であんなヤツが居るのかと言うと……。
8年程前兄やんは、道路状況を確かめるとか他の集落を探すとか言った名目で車で遠出をしていたのだが、旧滋賀県の集落を発見した際、「肉好娘を退治したら村同士の交流を検討する」と持ち掛けられたそうで。
経緯は不明ながら肉好娘は当時から完全にキチガッており、だからか今でも運動能力は兄やんをも上回っている。苦戦をし、人生初のダメージを貰いつつも、そして倒した。
しかし、脳天をノコギリでズタズタにしても肉好娘は生きていた。なので兄やんは肉好娘を捕縛し、家の牢屋で何年か世話した後、肉好娘と引き換えに病院兼医療研究所を誘致する事に成功した。
脳が損傷を受けても生存していた前例が幾つか有るらしいとは言っても貴重な研究材料であるが、メチャクチャ強いので、戦力としても活用している……。
以上が顛末だ。
しかし、そんな事はまあ良い。それより今やるべきは、武器を確保する事だ。
「おいハゲ! 皆が頑張ってる今の内に銃を取りに行かないと!」
「んな事分かってるんですぅ~。今言おうとしたんですぅ~。つーか呼べば良いんですぅ~」
冷静に冷静に……。
「だったらさっさと呼べよ……」
そこでお父さんが、
「そうだった。今何でか電波が繋がらないんだ!」
「ええ……? ……ホントだ。でも今、この通り放送が?」
「有線放送だからだろ。今頃は駐在さんも、非常用電話で応援を呼んでるさ」
「だろうと思うけど、取りに行って損は無いって。ハゲん家にも非常電話が有るんだし」
「しょーがない、取りに行くか」
兄やんが、軽く伸びをすると、不意に後ろから声が掛かった。
「俺も行く!」
振り向くと、そこに居たのは覇有と、手を繋いだ初君。言ったのは覇有の方である。
そりゃあ普段なら手伝ってくれるのは助かるけどさ……。
ここで、兄やんが口を開いた。
「なあ覇有よ、さぞかし自信が有ると見受けたが、どうしてもお前に頼らないといけない時はこっちから頭下げるよ。それまでは、連絡がいつでもつくように待機してろ、分かったな? おんちゃん、お前もだ」
「え~?」
「えっ? は、はい……」
不服そうにする覇有と戸惑う初君を差し置いて、今度は俺に言葉を向ける。
「それとな? さっきの野良犬共は、急にターゲットを切り替えた。何でなのか思い当たる事を言ってみろ」
「何でって……。俺はあの時ヤバいと思って気を逸らしたけど、そんなに大きく隙を見せていたのか……?」
「そうか……。すると……、お前もしかして肝冷やしたか?」
「そりゃそうだろ!? 戦えないちっちゃい子だってーー、あ!」
「やっぱり」
思い返してみれば、あの人面犬達は俺の方に積極的に襲い掛かっていた様な。そして指摘された通り、俺は内心ドキッとした。子供達が襲われると思って怖くなったんだ。
と言う事は今回の敵は。
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「だろうな……。折角だから大方、余計に強く、凶暴になって」
「勘弁してよ~。ビビんななんて、生物には土台無理な事を……」
……でもないか……。俺や子供達はともかく、ここの人達には……。御時世もあるが、殺しにも戦いにも慣れ切ってるからだ。そーゆー点でも怖くなって来た。
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そ~かなぁ……? しかし精神的に弱い、か……。う~ん……。
「『プちゃもいく! プちゃもいく! プちゃもいく! プちゃもいく!』」
兄やんがプーちゃんを俺の顔に近付けて来る……。俺はプーちゃんを毟り取ると、ポッケに押し込んだ。
「はいはい、プーちゃんも一緒に行きましょうねー」
「決まりだな。イオちゃん、留美を頼む。学校は任せろ」
「それと二人共、これ持ってきなさい?」
お父さんがここの守りを買って出て、お母さんが手渡してくれたのは、「村」と大書きされた500円玉位の硬貨が約10枚。それは『村上コイン』と呼ばれる、長が発行しているアイテムである。
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俺は兄やんの手を引いて駆け出した!
「いだだだ、引っ張るなよ左手で!」
「うっさい! チンコ引っ張るぞ!」
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「一緒に行きたかったと思うけど、あの二人だけで大丈夫だよ」
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