第四の生命体#1 遭遇

岬 実

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Day33-④ リアロ

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 司令官のミリエラは、司令室でモニター越しにエンジェネレーターとの戦闘を見守っていた。

「まずは、エンジェネレーターを倒したか……」
「こちらの現在の被害もゼロ、作戦通りの展開です」

 ミリエラに司令官補佐は応える。

「さて、他の部隊の様子だが……」

 ミリエラが複数のモニターに目を通す。
 その中では、敵方との戦闘を行う国連国軍の面々が映されていた。
 どのモニターでも、兵士達は銃撃等を浴びせつつ、敵に銃弾が通らない事を確認すると、威嚇射撃をしながら後退する。
 やがて、全ての部隊が坂道やビル等、高低差のある場所の上方に陣取った。
 そこで、各部隊の指揮官が合図をする。
 その瞬間、「海水」と大書きされたウォータータンクの栓が解放され、海水が敵戦闘員の面々に降り掛った。

「今だ!」

 ミリエラの合図により、各部隊が海水の水溜まりに電気コードを放り込む。
 すると、敵の人間は気を付けの姿勢で痙攣し、弾は暴発する。エンジェネレーターの幼体は順次砕け散った。
 ふと、ミリエラは基地の娯楽室を映す画面に目を向ける。
 そこでは、全裸のイオタがホワイトを相手に格闘ゲームに興じていた。

「……」

 改めて戦場の様子を見ると、通電を止め、気絶の是非に関わらず、兵士達が敵を縛り上げていた。

「隊長! 全員捕縛しました!」
「宜しい! 警戒を怠らず、警察に引き渡せ!」
「重ねて言うが、第四生物は見付け次第に射殺しろ! 市民の平穏は我々の手で守るんだ!」
『了解!』

 モニターの中で隊員達が士気を高めている中、娯楽室の映像では、イオタ達が談笑しながらゲームに熱中している。
 あるモニターでは怒号や励ましを交えつつ、死闘を演じる隊員達。
 その頃イオタは、男性器をブラブラさせながら勝利のダンスをし、ホワイトは爆笑しながらジュースのグラスを傾ける。

「ま、世の中なんぞ、所詮はこんな物ですよね」
「うむ……」

 司令官補佐の真理に、ミリエラは頷いた。
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