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Day33ー⑨ アトゥト
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洋風の豪勢な内装の部屋で、こめかみにナイフが刺さったままのトワイライトが手から虚空に映し出す映像で、イオタやカール達の戦いを眺めていたジェンイー。加えて、浅黒い肌の中年男性。
「第四生物だけじゃなく、チンロンとショワンウーまで負けたのか」
「残るは白虎、いや『アブルッチ』君、君だけだ。頼むぞ……」
ジェンイーからアブルッチと呼ばれた白虎は、憮然とした顔で腕組みをしたままだが、落ち着いた口調で返事をする。
「任せろ。俺の超能力は飛び道具と相性が良い。まして、コイツとはな……」
白虎は足で床を軽く叩き、部屋から退出した。ジェンイーは小さく溜め息をついた。
「私もヤキが回ったか。日本鬼子等と言っときながら、最後にコレに頼るとは」
「そう思うなら捕まえるなよ」
「個人的に思ってるだけだ。リーダーと言えど、チームの得になる事を邪魔出来ない」
「ったく、これだから嫌なんだよなぁ、徒党を組むってのはぁ」
「お前なら一人で何でも出来るか?」
「『出来ねぇ事は、やらないで済む事』だ。覚えとけ。もっとも人間、遊んで暮らすのが最高の人生なんだがな。覚えとけ。つー訳で、ちょっくら兄貴と遊んで来るぜ」
トワイライトは部屋から出て行った。しかしドアの外は廊下ではなく、デイブレイクが居る市庁舎の会議室である。そこでは、カール達と会話をしていた。
トワイライトが部屋を出る数分前。
屋上での戦闘を終えたカール達は、怪我人を庇いつつ足早にイオタの元へ合流した。
「デイブレイク! こっちは終わった! 引き上げ……、って、くっさ……」
「ん、ああ、遅かったから一匹殺しちまったぞ」
鼻を押さえるカールに対して、イオタは溶けた猪苗代を指差した。
「『トータリー』……? 酸を吐けるお前にはザコだな。しかし塩酸ってのは変な匂いがするな」
「あんまり嗅がない方が良いぞ。肺が炎症を起こす」
「益々物騒なヤツ……」
テレンスは無線で通信をした。
「司令官! デイブレイクとホワイトを保護した!」
『御苦労だった。Bチームは一旦帰投し、一休みする様に』
「了解!」
「おいおい、もう帰るのか? つれねーな」
会話に割り込んでドアを開けて入って来たのは、トワイライトである。
「ん! 出たな!」
カール達は一斉に銃を向けるが、トワイライトは動じない。逆にイオタに歩み寄る。
「どうしても帰るなら止めはしないけどな。その前に兄貴、このナイフ何とかしてくれ」
「しょうがないな」
イオタはトワイライトの頭に刺さったナイフの柄尻を、手の平で連打して更に刺し込んだ。
「って、打ち込むなよ~」
「何を言ってるんだ、反対側から取り出してやろうとしてるのに」
「あ、そうか。成程」
和やかな会話とは裏腹に、イオタはトワイライトの反対側の側頭部から飛び出た切っ先を摘まみ、無理矢理ナイフを引っ張り出した。
「ほら、返すぜ」
イオタはトワイライトの眉間にナイフを突き立てた。
「いやいや、これは御丁寧に」
「何だ……? この空気……」
一人の隊員が雰囲気に動揺しているが、トワイライトは悠々とナイフを鞘に納め、窓の外を指差す。
「で、帰り道には気を付けろよ? 海の方を見てみろ」
「ん……?」
イオタは躊躇い無く、カール達はトワイライトへの警戒を緩めずに横目で外を見る。
その時、無線が入った。
『司令官! 沖合いに異変有り! 海面が光っています!』
『何……? 海沿いに居る者は、直ちにそこから離れろ!』
報告の通り、海中から光が溢れ、海面が盛り上がっていく。
やがて姿を現したのは、船首に菊花紋章が有る戦艦であった。
「もしかしてアイツは武蔵……。切り札か?」
イオタの呟きに、ミリエラが応答した。
『物知りですね、ミスター。こちらもデータと照合した。確かにあれは、戦艦武蔵によく似ている。第四生物である筈だから、ただの戦艦ではないだろうが。ともかく総員、速やかに退避しろ! 作戦は追って指示する!』
「ち……! デイブレイク、逃げるぞ!」
カールはイオタの手を引き、仲間と共にそそくさと撤退する。そしてイオタは、トワイライトに真顔で手を振って連れられる。
「バイバーイ」
「無表情で言うなよ、怖いな」
トワイライトは頭を掻きつつ、イオタ達を見送った。
「第四生物だけじゃなく、チンロンとショワンウーまで負けたのか」
「残るは白虎、いや『アブルッチ』君、君だけだ。頼むぞ……」
ジェンイーからアブルッチと呼ばれた白虎は、憮然とした顔で腕組みをしたままだが、落ち着いた口調で返事をする。
「任せろ。俺の超能力は飛び道具と相性が良い。まして、コイツとはな……」
白虎は足で床を軽く叩き、部屋から退出した。ジェンイーは小さく溜め息をついた。
「私もヤキが回ったか。日本鬼子等と言っときながら、最後にコレに頼るとは」
「そう思うなら捕まえるなよ」
「個人的に思ってるだけだ。リーダーと言えど、チームの得になる事を邪魔出来ない」
「ったく、これだから嫌なんだよなぁ、徒党を組むってのはぁ」
「お前なら一人で何でも出来るか?」
「『出来ねぇ事は、やらないで済む事』だ。覚えとけ。もっとも人間、遊んで暮らすのが最高の人生なんだがな。覚えとけ。つー訳で、ちょっくら兄貴と遊んで来るぜ」
トワイライトは部屋から出て行った。しかしドアの外は廊下ではなく、デイブレイクが居る市庁舎の会議室である。そこでは、カール達と会話をしていた。
トワイライトが部屋を出る数分前。
屋上での戦闘を終えたカール達は、怪我人を庇いつつ足早にイオタの元へ合流した。
「デイブレイク! こっちは終わった! 引き上げ……、って、くっさ……」
「ん、ああ、遅かったから一匹殺しちまったぞ」
鼻を押さえるカールに対して、イオタは溶けた猪苗代を指差した。
「『トータリー』……? 酸を吐けるお前にはザコだな。しかし塩酸ってのは変な匂いがするな」
「あんまり嗅がない方が良いぞ。肺が炎症を起こす」
「益々物騒なヤツ……」
テレンスは無線で通信をした。
「司令官! デイブレイクとホワイトを保護した!」
『御苦労だった。Bチームは一旦帰投し、一休みする様に』
「了解!」
「おいおい、もう帰るのか? つれねーな」
会話に割り込んでドアを開けて入って来たのは、トワイライトである。
「ん! 出たな!」
カール達は一斉に銃を向けるが、トワイライトは動じない。逆にイオタに歩み寄る。
「どうしても帰るなら止めはしないけどな。その前に兄貴、このナイフ何とかしてくれ」
「しょうがないな」
イオタはトワイライトの頭に刺さったナイフの柄尻を、手の平で連打して更に刺し込んだ。
「って、打ち込むなよ~」
「何を言ってるんだ、反対側から取り出してやろうとしてるのに」
「あ、そうか。成程」
和やかな会話とは裏腹に、イオタはトワイライトの反対側の側頭部から飛び出た切っ先を摘まみ、無理矢理ナイフを引っ張り出した。
「ほら、返すぜ」
イオタはトワイライトの眉間にナイフを突き立てた。
「いやいや、これは御丁寧に」
「何だ……? この空気……」
一人の隊員が雰囲気に動揺しているが、トワイライトは悠々とナイフを鞘に納め、窓の外を指差す。
「で、帰り道には気を付けろよ? 海の方を見てみろ」
「ん……?」
イオタは躊躇い無く、カール達はトワイライトへの警戒を緩めずに横目で外を見る。
その時、無線が入った。
『司令官! 沖合いに異変有り! 海面が光っています!』
『何……? 海沿いに居る者は、直ちにそこから離れろ!』
報告の通り、海中から光が溢れ、海面が盛り上がっていく。
やがて姿を現したのは、船首に菊花紋章が有る戦艦であった。
「もしかしてアイツは武蔵……。切り札か?」
イオタの呟きに、ミリエラが応答した。
『物知りですね、ミスター。こちらもデータと照合した。確かにあれは、戦艦武蔵によく似ている。第四生物である筈だから、ただの戦艦ではないだろうが。ともかく総員、速やかに退避しろ! 作戦は追って指示する!』
「ち……! デイブレイク、逃げるぞ!」
カールはイオタの手を引き、仲間と共にそそくさと撤退する。そしてイオタは、トワイライトに真顔で手を振って連れられる。
「バイバーイ」
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