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Day34ー① パコ・デ・メンソ
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「何とか生きて帰れたな……」
自軍の全線基地において、車にもたれているカールは、連行されて行く健一と、回収されて行くテレンスの首を見ながら顔の汗を拭う。
側に立つイオタも、カールに宣う。
「私としても少し焦ったが、買ったエロ漫画をまだ読んでないから、死ぬ訳にはいかなかった」
「ホントに焦ってたのか? で、ジャンルは?」
「妊娠、出産モノだ」
「へ……、へー……」
カールは少々引き笑いをした。
その瞬間、悲鳴が上がった。
カールとイオタはその方向に目を向ける。そこでは、男女を問わずに数名の職員が一ヶ所ずつの切り傷や刺し傷を押さえ、痛みに苦しんでいる。
「敵襲か! バイフーだな!?」
カールは突撃銃を構えて中腰になり、警戒する。
対するイオタは、木の幹に視線を移す。一瞬遅れて、ナイフを手にしたバイフーが、そこに飛び付いて姿を現した。
「!?」
「デイブレイク、お前?」
驚いた表情のバイフー。対照的に顔を綻ばせるカール。
バイフーは脚に力を込める。
「カール! 背後、10メートル辺りだ!」
「おう!」
バイフーが跳ねると同時にカールは即座に振り向いて突撃銃を乱射するが、バイフーがそこから飛び掛かる方が一瞬早かった。
だが、イオタはそれを更に上回っている。
バイフーの突き刺しをローリングで避け、土煙を上げてブレーキを掛けるバイフーを突撃銃で捉えた。
「俺の方が速い!」
バイフーが言った直後に一発の発砲音。放たれた銃弾は走った瞬間のバイフーに命中。
片足が千切れ飛んだバイフーはバランスを崩して地面を転がり、擦り傷だらけになりながら、失った脚を押さえて苦しむ。
「いづああ!? あ、脚が! うううっ、うう!」
だが、イオタは引金の指を見る。人差し指は伸びたまま。掛けられていない。
「デイブレイク、お前は撃ってないよな? 俺も違う。誰が……?」
「私です」
物陰からの声に、反射的にカールは銃を向ける。そこから現れたのは、イオタの拳銃を手にしたまま両手を挙げているホワイトであった。
「お前、か……」
カールは安堵の溜息を吐いて銃を下ろす。
「デイブレイクさんに銃を貸して貰った甲斐が有りました」
「私も貸してあげた甲斐が有りました」
カールは、イオタが拳銃を返して貰う様子を一瞥すると、バイフーに詰め寄る。
「コイツが……、コイツの命令がテレンス達を……」
「へっへっ……」
バイフーはカールを見上げると、痛みで引きつった笑みを浮かべた。
「…………」
カールはゆっくり脚を振り上げ、勢い良くバイフーの鼻に振り下ろす。
鼻を踵で踏み潰されたバイフーは、声もあげられずに、白目を剥いて気絶した。
「ったく……!」
「ついでに私も」
しかめっ面でバイフーに背を向けるカールに入れ替わり、イオタはバイフーの脚の傷口に立ちションを始めた。
「おーい勇示ぃ、見てるか~?」
『何で汚ねぇヤツの汚ねぇとっから、汚ねぇモンが出て来る様子を見なくっちゃーなんねーんだっ』
「見てぇクセに」
『オメーと一緒にすんなっ』
カールはその様子を「ふ……」と笑いながら眺め、バイフーが連れて行かれるのを確認し、通信する。
「司令官、バイフーを逮捕」
『了解。皆、御苦労だった。もうすぐ援軍が到着するので、彼等に引き継ぎ次第、撤収する様に』
「了解」
通信を切り、カールは空を見上げる。
輸送ヘリや武装ヘリが編隊を組んで飛来し、続々と水を撒いた広場に着陸していった。
「デイブレイク! 疲れたな、休もう!」
「いやいや、この程度は準備運動だ」
「タフなヤツだな!?」
二人は談笑しながらテントに入って行った。
イオタとカールの様子を、離れた物陰からトワイライトは見ていた。
「今回は俺の負けだ……。デイブレイク兄貴……、カール……、敵の偶像……。遊び相手が増えたな。フッフッフッ……」
トワイライトは歪めた空間の中に入り、その場を後にした。
自軍の全線基地において、車にもたれているカールは、連行されて行く健一と、回収されて行くテレンスの首を見ながら顔の汗を拭う。
側に立つイオタも、カールに宣う。
「私としても少し焦ったが、買ったエロ漫画をまだ読んでないから、死ぬ訳にはいかなかった」
「ホントに焦ってたのか? で、ジャンルは?」
「妊娠、出産モノだ」
「へ……、へー……」
カールは少々引き笑いをした。
その瞬間、悲鳴が上がった。
カールとイオタはその方向に目を向ける。そこでは、男女を問わずに数名の職員が一ヶ所ずつの切り傷や刺し傷を押さえ、痛みに苦しんでいる。
「敵襲か! バイフーだな!?」
カールは突撃銃を構えて中腰になり、警戒する。
対するイオタは、木の幹に視線を移す。一瞬遅れて、ナイフを手にしたバイフーが、そこに飛び付いて姿を現した。
「!?」
「デイブレイク、お前?」
驚いた表情のバイフー。対照的に顔を綻ばせるカール。
バイフーは脚に力を込める。
「カール! 背後、10メートル辺りだ!」
「おう!」
バイフーが跳ねると同時にカールは即座に振り向いて突撃銃を乱射するが、バイフーがそこから飛び掛かる方が一瞬早かった。
だが、イオタはそれを更に上回っている。
バイフーの突き刺しをローリングで避け、土煙を上げてブレーキを掛けるバイフーを突撃銃で捉えた。
「俺の方が速い!」
バイフーが言った直後に一発の発砲音。放たれた銃弾は走った瞬間のバイフーに命中。
片足が千切れ飛んだバイフーはバランスを崩して地面を転がり、擦り傷だらけになりながら、失った脚を押さえて苦しむ。
「いづああ!? あ、脚が! うううっ、うう!」
だが、イオタは引金の指を見る。人差し指は伸びたまま。掛けられていない。
「デイブレイク、お前は撃ってないよな? 俺も違う。誰が……?」
「私です」
物陰からの声に、反射的にカールは銃を向ける。そこから現れたのは、イオタの拳銃を手にしたまま両手を挙げているホワイトであった。
「お前、か……」
カールは安堵の溜息を吐いて銃を下ろす。
「デイブレイクさんに銃を貸して貰った甲斐が有りました」
「私も貸してあげた甲斐が有りました」
カールは、イオタが拳銃を返して貰う様子を一瞥すると、バイフーに詰め寄る。
「コイツが……、コイツの命令がテレンス達を……」
「へっへっ……」
バイフーはカールを見上げると、痛みで引きつった笑みを浮かべた。
「…………」
カールはゆっくり脚を振り上げ、勢い良くバイフーの鼻に振り下ろす。
鼻を踵で踏み潰されたバイフーは、声もあげられずに、白目を剥いて気絶した。
「ったく……!」
「ついでに私も」
しかめっ面でバイフーに背を向けるカールに入れ替わり、イオタはバイフーの脚の傷口に立ちションを始めた。
「おーい勇示ぃ、見てるか~?」
『何で汚ねぇヤツの汚ねぇとっから、汚ねぇモンが出て来る様子を見なくっちゃーなんねーんだっ』
「見てぇクセに」
『オメーと一緒にすんなっ』
カールはその様子を「ふ……」と笑いながら眺め、バイフーが連れて行かれるのを確認し、通信する。
「司令官、バイフーを逮捕」
『了解。皆、御苦労だった。もうすぐ援軍が到着するので、彼等に引き継ぎ次第、撤収する様に』
「了解」
通信を切り、カールは空を見上げる。
輸送ヘリや武装ヘリが編隊を組んで飛来し、続々と水を撒いた広場に着陸していった。
「デイブレイク! 疲れたな、休もう!」
「いやいや、この程度は準備運動だ」
「タフなヤツだな!?」
二人は談笑しながらテントに入って行った。
イオタとカールの様子を、離れた物陰からトワイライトは見ていた。
「今回は俺の負けだ……。デイブレイク兄貴……、カール……、敵の偶像……。遊び相手が増えたな。フッフッフッ……」
トワイライトは歪めた空間の中に入り、その場を後にした。
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