第四の生命体#2 奪取

Day40-④ バンド･フランコ

 イオタ達が食事を摂っている店の向かい側に、一台のワゴン車が静かに停車した。中に数人の男が乗っており、メンバーの一人がスマホのカメラをズームにして店内の様子を伺う。
 最も奥の席にてイオタ達は皿を空にし終え、何事か談笑している。

「デイブレイクの野郎を確認。データに無い男と女が一人ずつ。一見丸腰だがバッグが二つ。多分、ピストル位はそれに入ってる。それと――」

 イオタの足元に置いてある袋を見る。

「足元の袋に何かが……、牛乳瓶か? が何本か」

 今度はイオタは、スマホを何事か操作し、それが済むと一行は会計をし始めた。
 ここで、リーダー格の男が指示を下す。

「分かった、今がチャンスだ。行くぞ!」
『応!』

 声を揃えて返事をし、手に手に銃を持って男達は車から降りる。
 しかし正にその瞬間、イオタの車が勢い良く現れ、ゴムが擦れる音を立てつつ、男達の前を遮る形で店の前に急停止した。
 また、先頭の男は撥ね飛ばされて動かなくなった。

「運転手が居ない!?」

 誰かが驚く暇も有らばこそ、イオタ達は車に、皇すめらぎが運転席に、イオタとカールが後部座席にいそいそと乗り込む。
 イオタは窓越しに手招きし、間を置かずに発車した。

「くそ! 追うぞ、早く乗れ! 待機してる奴等も呼ぶんだ!」

 リーダーが指示する頃には、イオタの車は角を曲がって姿を消していた。

「全員乗ったな! 出せ!」
「ああ! あっ」

 運転手が安全確認の為に後ろを向いた時、声を上げた。
 リーダーも仲間達も釣られて背後を向いた時、イオタの車は目の前に迫っていた。

「!? 一周して来ただと!」

 間髪入れず、イオタの車の体当たりが命中した。金属が軋む音、ガラスが割れる音が辺りに響き渡る。
 体当たりを受けた車は押し出され、道路脇の朽ちかけていた街灯にボンネットから突っ込んだ。
 男が一人、フロントガラスを突き破って道路に頭から着地し、道路に血を広がらせながら痙攣を始める。

「ブヒヒヒヒ……」

 イオタは彼等の様を半ば真顔で嘲笑いつつ、皇すめらぎに対して前方を指差す。
 皇すめらぎは頷き、周囲の安全確認をし、車を発進させ、その場から立ち去った。