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Day40-⑦ ドゥルネス
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山合の、多少の修繕を施しているが廃屋同然の屋敷。そこが、今回のギャングの拠点であった。
奥まった部屋で、一人の男が机の上に手を組んで座っていた。
男は、目付きが悪いものの体格は標準的、生白い肌の、覇気の無い顔付きの中年である。
廊下から駆け足の音が響き、強めにノックがされる。
「入れ」
「失礼します、ボス!」
入室許可を受けるや飛び込む様に若い男が入って来て、荒い息を整える。それを待って、ボスは口を開いた。
「……奴等を倒したか?」
「いえ、イオタに送った連中がほぼ全滅しました!」
「!?」
ボスは、しかめっ面を若い男に向けた。
「なな……? ドローン空母まで有って、何をやってんだアイツ等は……。殺されたいのか、イオタとか言う奴に……」
「いや、軍人が居るからか数人焼け死んだ他は重傷なだけですが、いつ死んでも不思議じゃ……。一応、警察と救急隊も来てますが。いやそれより、間も無くここに到着します!」
ボスは、背もたれに寄り掛かって腕組みをした。
「ここまでだな。全員に退却命令を伝えろ。あと『イオタに出会った時は、命が惜しければ死ぬ気で戦うか、必死で命乞いしろ』と言え」
「はい!」
若い男が返事をした瞬間、窓の外の風景に、疾走する半壊状態の無人の車が現れた。
何人かの見張りから機銃掃射を受けるが車はスピードを緩めず、進路上の見張り達を跳ねるか踏み潰し、建物に突っ込んで来る。
「来たな!?」
二人が咄嗟に床に伏せた直後、イオタの車は建物の玄関に突入し、大きな階段を駆け上がる。最後には階段をジャンプ台として壁や天井を突き破りつつ跳び上がり、床をブチ抜いて一階に落下し、炎上し出した。
ボスの部屋は被害を免れてはいるが、それ等の衝撃で地震の様に建物は揺れ、小物等は倒れるか床に散乱し、二人には埃が降り掛かる。
揺れが収まったのを確かめ、二人は身を起こす。
「ボス? 怪我は?」
「大丈夫だ。それより逃げるぞ」
「はい。撤退指示は今スマホで伝えます」
部下は手早く『総員撤退。イオタに遭遇した場合、第一に降伏し、拒否されそうな時だけ戦え』と打ち、送信した。
ボスは足元に忍ばせていた大型バッグからそれぞれ型の違う短機関銃を2挺取り出し、片方を部下に渡しつつ自らも装備する。
「良し……、行くぞ」
「はい」
ボスと部下は、その部屋を後にした。
奥まった部屋で、一人の男が机の上に手を組んで座っていた。
男は、目付きが悪いものの体格は標準的、生白い肌の、覇気の無い顔付きの中年である。
廊下から駆け足の音が響き、強めにノックがされる。
「入れ」
「失礼します、ボス!」
入室許可を受けるや飛び込む様に若い男が入って来て、荒い息を整える。それを待って、ボスは口を開いた。
「……奴等を倒したか?」
「いえ、イオタに送った連中がほぼ全滅しました!」
「!?」
ボスは、しかめっ面を若い男に向けた。
「なな……? ドローン空母まで有って、何をやってんだアイツ等は……。殺されたいのか、イオタとか言う奴に……」
「いや、軍人が居るからか数人焼け死んだ他は重傷なだけですが、いつ死んでも不思議じゃ……。一応、警察と救急隊も来てますが。いやそれより、間も無くここに到着します!」
ボスは、背もたれに寄り掛かって腕組みをした。
「ここまでだな。全員に退却命令を伝えろ。あと『イオタに出会った時は、命が惜しければ死ぬ気で戦うか、必死で命乞いしろ』と言え」
「はい!」
若い男が返事をした瞬間、窓の外の風景に、疾走する半壊状態の無人の車が現れた。
何人かの見張りから機銃掃射を受けるが車はスピードを緩めず、進路上の見張り達を跳ねるか踏み潰し、建物に突っ込んで来る。
「来たな!?」
二人が咄嗟に床に伏せた直後、イオタの車は建物の玄関に突入し、大きな階段を駆け上がる。最後には階段をジャンプ台として壁や天井を突き破りつつ跳び上がり、床をブチ抜いて一階に落下し、炎上し出した。
ボスの部屋は被害を免れてはいるが、それ等の衝撃で地震の様に建物は揺れ、小物等は倒れるか床に散乱し、二人には埃が降り掛かる。
揺れが収まったのを確かめ、二人は身を起こす。
「ボス? 怪我は?」
「大丈夫だ。それより逃げるぞ」
「はい。撤退指示は今スマホで伝えます」
部下は手早く『総員撤退。イオタに遭遇した場合、第一に降伏し、拒否されそうな時だけ戦え』と打ち、送信した。
ボスは足元に忍ばせていた大型バッグからそれぞれ型の違う短機関銃を2挺取り出し、片方を部下に渡しつつ自らも装備する。
「良し……、行くぞ」
「はい」
ボスと部下は、その部屋を後にした。
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