第四の生命体#2 奪取

岬 実

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Day40-⑥ ドロナ・ポータント

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 トレーラーはイオタ達から離れた道路を並走し始めると、コンテナの側面をおもむろに上へスライドさせた。
 中に積まれていたのは、棚に整然と格納されている幾つもの大型ドローン。その全てが、箱形のミサイル砲か重機関銃を装備している。

「オイオイ、ドローン空母だと!? 不良のクセに金持ちだな!」
勇示ゆうじ、あんなのが有るなんて聞いてねーぞ」

 カールが驚き、イオタは文句を付ける。勇示ゆうじの声が、車のスピーカーから響いた。

『知らねー事は教えらんねーな。直近で用意したんだろ。それよりすめらぎ、次の交差点を左に行けば林道が有るから、そこを真っ直ぐ行っても目的地に着く』
「はいっ!」

 ドローン達が飛び立ち、イオタ達の車に迫る。

「あ、ええっと……」

 カールがすめらぎを見ながらしどろもどろし、勇示ゆうじがそれをフォローした。
 
すめらぎ、ミサイルにロックされない様に出来るだけ蛇行しろ。機銃はイオタの馬鹿達が何とかしてくれる』
「承知しました!」

 勇示ゆうじが言った事を、イオタがカールに翻訳した。

「……って事が言いたかったんだろ?」
「そうそう。俺も日本語を喋れればなぁ。それよりデイブレイク、そっち側のドローンを頼む。俺はこっちのをやる!」

 カールは一〇〇式ひゃくしきで上下左右に狙いを変え、機銃を装備している物に細かく乱射しながらドローンに応戦する。

「デイブレイク、隙を見てプロペラを撃て! 一ヶ所でも壊せば飛べなくなる筈だ!」
「応!」

 しかし、ドローン達は銃口を向けられた途端に射線から大きく退き、重機関銃の発砲は中断するが、ことごとくイオタ達の弾は当たらない。
 やがて車は林道に入り、未舗装の道路を土や砂を巻き上げながら疾走する。
 しかしドローン達は、道を飛ぶ機体は少数で、多くは木々の間を縫って高速飛行している。尚更イオタとカールの弾は、木と言う盾に遮られてしまう。
 反対に、ドローンが放つ銃弾は単発射撃ではあるがチラホラ車体に命中する。

「リロード! ああクソ、全然当たんねーよ! 思ったより性能が良いな!」

 カールは愚痴を言いながら弾倉を取り替える。

「デイブレイク、弾幕をすぼめる撃ち方をするぞ! 纏まった所にグレネードを撃て!」

 カールが提案したその瞬間、ミサイル発射器を装備した2機のドローンが上空に移動し、2発ずつミサイルを放った。
 ミサイルは、車の進行方向の両脇の木に命中。道路側に向かって倒れて来る。

「まずい、伏せろ!」

 すめらぎはシートを倒して足でハンドルを操作し、カールは頭を押さえてうずくまる。しかしイオタは逆に立ち上がり、突撃銃を倒れて来た木に向ける。

「木を倒す、か? 良いアイディアだな」

 イオタは言いながらプロミネンスを発射する。その弾は倒木がクロスした正にその時、交差した所に寸分違わず命中し、木を指向性の爆風で払い退けると共に両断した。
 続けてイオタはプロミネンスを一個、回転を加えて上空に放り投げると、素早くプロミネンスを再装填し、拳銃との2挺銃で、投げたプロミネンスに向かって構える。

「今だな」

 ほぼ同時、拳銃の方を、グレネード発射器に一瞬遅れて発砲する。
 発射したプロミネンスは、投げたプロミネンスの薬莢部分に着弾。金属流を発生させ、投げた側のプロミネンスの弾を発射。その弾頭に、拳銃弾が命中して起爆。
 結果、発生したVの字の爆発が追い縋るドローン達を襲う。
 ドローン達は回避し切れない物が多数。掠めただけでも飛行不能になり、墜落する。
 また、プロミネンスの爆風で複数の樹木が焼き切れ、今度はドローン達に倒れ掛かる。
 ドローンは回避する為、急ブレーキや急旋回で姿勢を崩す。

「カール!」
「ああ! 今度こそ任せろ!」

 イオタとカールは銃を連発モードに切り替え、ドローンそれぞれのプロペラ部分に弾を撃ち込む。
 撃ち漏らしたドローンは無く、またミサイル発射器に被弾した機体は大爆発を起こし、誘爆も相まって全てのドローンは撃墜された。

「やれやれ……」

 再び一〇〇式ひゃくしきのリロードをしながら、カールはシートにもたれ掛かった。

「ワイ等に掛かって来る死にたがりは、まだ居そうでヤンスか、勇示ゆうじあにィ」
『おお、この際、親分まで徹底的に叩き潰してやるぇい、イオタの馬鹿。って、チンピラに対抗してヤクザの真似事をせんで宜しい』

 シートを起こし、すめらぎは「くす……」と笑った。

「借りた弾の代金は、俺じゃなくて軍隊に請求してくれよ?」

 カールは辺りを見回しながら釘を刺した。
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