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Day40-⑱ ルダンテ・クン
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カールと皇が後にした冷凍室で、イオタは一壊の歯車を床に置き、代わりに純金アステリオスの剣を手にして、両腕を広げて敵に歩み寄って行く。
そこで、勇示が通信を入れた。
『時間稼ぎは良いがよ、一応言っとくが、そこがマイナス40度だって事を忘れるなっ。汗をかけば凍傷になるし、息をするだけで呼吸器が傷んで来るっ』
「だったら、なるべく動かず遊んでやろう。どうせカウンターでしか攻撃のチャンスは無いんだ、多分」
『また何か思い付いたかっ? んっ?』
勇示が少々の期待を込めた質問をした時、純金アステリオスは今度は、真っ二つになった首無しの冷凍牛を持ち、軽く素振りをして手に馴染む位置を確かめている。
「ふん……、あれだけデカくて重そうな物は防御出来ないな……」
純金アステリオスは、ハンマー投げの要領で回転しながら距離を詰めて来る。
「スライディングーー」
たった一歩で加速し、宣言通りスライディングで純金アステリオスの下半身を通り抜け、すぐさま立ち上がると両手で剣を構えた。
「スリ抜けブレーキ立ち上がり振り向き唐竹スラッシュー!」
振り向き様の唐竹割りで、純金アステリオスの手首を目掛けて斬り付けた。
鈍い金属音が部屋に響き、牛肉を握っている手首を切断寸前にまで追い込んだ。
「少し浅かったか。ならもう一回!」
反撃の後ろ蹴りをしゃがんで避け、拳銃を撃ちながらの移動で再び距離を離す。
対して、純金アステリオスは弾の雨を透過能力で素通りさせつつ、肉塊を横に構えて殴り付ける。
次の瞬間、イオタは滑り込みの体勢で倒れ込むと同時に肉を回避し、滑らずその場で立ち上がってF-2000を両手で構えた。
「スライディング・スリ抜けブレーキ立ちあがり振り向き唐竹スラッシュと見せ掛けたF-2000乱射!」
空振りで姿勢を崩した所に弾倉が空になるまで撃ち込まれた、密接しての2秒間の連射は、純金アステリオスの体を大きく凹ませるに至った。そして、すぐその場から離れるイオタ。
純金アステリオスはイオタが銃器しか武器を持っていない上に、のんびりと弾倉を取り替えている事を確認すると、冷凍牛の両端を持った。
『剣はっ?』
「そこだよ」
イオタが戦鎚を拾いながら純金アステリオスを指差すのと、投げ付けようと身を反らした敵の胸元から切っ先が突き出てくるのは同時だった。
「ウ、ウオ……、ゴゴ……」
苦悶の声を上げて純金アステリオスは肉を落とし、その場にうずくまった。そして、体から透過した剣が騒がしい音を立てて床に転がる。
「ブヒヒヒ……。『同じ手は二度も食わない』とは有りがちだがよ、そう簡単に同じ手を使うのは有り得ないんだよ」
『よう、イオタの馬鹿。カールは無事に回収出来たぜっ? 後はソイツを始末するだけだっ』
「ようし、クライマックスと行くか……」
純金アステリオスは剣を拾うと、その柄尻で床を何度も何度も叩いて、直立すると今度は足で床を一打した。
「そろそろ殺して欲しいだろ? 付いて来い」
イオタは純金アステリオスを顎で使った。
そこで、勇示が通信を入れた。
『時間稼ぎは良いがよ、一応言っとくが、そこがマイナス40度だって事を忘れるなっ。汗をかけば凍傷になるし、息をするだけで呼吸器が傷んで来るっ』
「だったら、なるべく動かず遊んでやろう。どうせカウンターでしか攻撃のチャンスは無いんだ、多分」
『また何か思い付いたかっ? んっ?』
勇示が少々の期待を込めた質問をした時、純金アステリオスは今度は、真っ二つになった首無しの冷凍牛を持ち、軽く素振りをして手に馴染む位置を確かめている。
「ふん……、あれだけデカくて重そうな物は防御出来ないな……」
純金アステリオスは、ハンマー投げの要領で回転しながら距離を詰めて来る。
「スライディングーー」
たった一歩で加速し、宣言通りスライディングで純金アステリオスの下半身を通り抜け、すぐさま立ち上がると両手で剣を構えた。
「スリ抜けブレーキ立ち上がり振り向き唐竹スラッシュー!」
振り向き様の唐竹割りで、純金アステリオスの手首を目掛けて斬り付けた。
鈍い金属音が部屋に響き、牛肉を握っている手首を切断寸前にまで追い込んだ。
「少し浅かったか。ならもう一回!」
反撃の後ろ蹴りをしゃがんで避け、拳銃を撃ちながらの移動で再び距離を離す。
対して、純金アステリオスは弾の雨を透過能力で素通りさせつつ、肉塊を横に構えて殴り付ける。
次の瞬間、イオタは滑り込みの体勢で倒れ込むと同時に肉を回避し、滑らずその場で立ち上がってF-2000を両手で構えた。
「スライディング・スリ抜けブレーキ立ちあがり振り向き唐竹スラッシュと見せ掛けたF-2000乱射!」
空振りで姿勢を崩した所に弾倉が空になるまで撃ち込まれた、密接しての2秒間の連射は、純金アステリオスの体を大きく凹ませるに至った。そして、すぐその場から離れるイオタ。
純金アステリオスはイオタが銃器しか武器を持っていない上に、のんびりと弾倉を取り替えている事を確認すると、冷凍牛の両端を持った。
『剣はっ?』
「そこだよ」
イオタが戦鎚を拾いながら純金アステリオスを指差すのと、投げ付けようと身を反らした敵の胸元から切っ先が突き出てくるのは同時だった。
「ウ、ウオ……、ゴゴ……」
苦悶の声を上げて純金アステリオスは肉を落とし、その場にうずくまった。そして、体から透過した剣が騒がしい音を立てて床に転がる。
「ブヒヒヒ……。『同じ手は二度も食わない』とは有りがちだがよ、そう簡単に同じ手を使うのは有り得ないんだよ」
『よう、イオタの馬鹿。カールは無事に回収出来たぜっ? 後はソイツを始末するだけだっ』
「ようし、クライマックスと行くか……」
純金アステリオスは剣を拾うと、その柄尻で床を何度も何度も叩いて、直立すると今度は足で床を一打した。
「そろそろ殺して欲しいだろ? 付いて来い」
イオタは純金アステリオスを顎で使った。
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