41 / 116
二章
041 迷宮産装備
しおりを挟む
休憩後、八層に降りた俺達は再びマイアの選択したルートを進んでいく。
度々魔物と遭遇するが、問題無く倒す事ができている。ソルジャークラブの討伐も慣れてきた感じだ。
暫く進んだら行き止まりだったが、また宝箱を発見した。
先程はカイト達の鍵を使用したから、今度はこちらの手持ちの鍵を使用する。
「ラキシスお願い」
「はーい」
ラキちゃんが宝箱を開けると、前衛職が履いてそうな普通のブーツだった。
シューレースは無いがバックルが付いているので蹴りをしてもすっぽ抜ける事はなさそうだ。
「おお、装備品が出たの初めて見た」
「あたいも」
「なんだブーツかあ。先日新調したばっかなんだよなー」
カイトは 「これ跳躍力上昇が付いてんだぜ」 と自慢げに足を上げブーツを見せてくれた。
「おっさんの靴、もう結構ガタが来てっから、おっさん買ったらどうだ?」
宝箱を覗き込んでいたリンメイが俺に向かって言った。
そういえば俺の安全靴、結構傷んでいたんだった。
そろそろこちらの世界の履物にも慣れないといけない頃合いかもしれない。
「あっ、じゃ俺が買い取るって事でいいかな?」
「「「いいよー」」」
低層の装備品は大した効果も無い事を皆知っているので、二つ返事で了承してくれた。
と言う事で俺が箱からブーツを取り出した。装備品は取り出した人の寸法になってしまうからだ。
「おお! 本当に俺の足にピッタリの寸法になった」
「「おおー」」
俺だけでなくリンメイやラキちゃんも驚いている。どういう仕組みなのか知らないが、本当に便利な仕様だなー。
俺は急いで鞄に仕舞う。
「よし、おっけーだ」
「じゃ、さっきの所まで戻りましょ」
それから俺達は少し前の分岐点の十字路まで戻り、別の道を進んだのだが、直ぐに行き止まりとなってしまった。
そのため、今日はこれで帰る事になった。
十字路が見えてきた辺りで、先行しているリンメイが 『待て』 のハンドサインをした。
その後こちらに戻ってくる。
「さっきの十字路に他のパーティが潜んでいる。怪しい」
「冒険者狩りかもしれねーな」
下り階段からそれほど遠くないので普通の冒険者パーティがこちらに警戒している可能性もあるが、用心に越した事は無い。
いつでも攻撃できるように警戒しながら近づく事にした。
牽制でジェシカが一発、火球の魔法を十字路付近に放つ。
攻撃魔法によりこちらにバレていると分かった連中が声を上げながら出てきた。
「おいおい、随分なご挨拶だな」
「よう。俺達にも女の子分けてくれよ」
ニヤニヤしながら出てきたそいつらは、先程の階段付近で見かけたパーティだった。
こいつら、このルートが行き止まりだと知ってて待ち伏せしやがったな。
「チッ、やっぱり冒険者狩りかよ」
俺達も戦闘態勢に入る。
向こうも攻撃魔法士がいるようで、爆炎魔法をぶっ放してきた。
だがこちらもジェシカによる水属性の防壁魔法とラキちゃんの結界魔法により問題無く防ぐ。
厄介な事に弓持ちもいやがるが、矢はカイトが盾で難なく弾いた。
向こうの前衛はその隙に近寄ってきたのでこちらも応戦する。
俺は左手で三本のアイアンニードルの針を投擲する。
「こんなの当たるかよ!」
向こうが剣で弾いて躱す瞬間を狙って俺は雷魔法を放った。
針は刺さっていないにも関わらず、雷魔法が敵を直撃する。
「ぐわぁっ!」
「雷には側撃ってのがあるんだよ!」
どうやらそいつの後方にいた一人にも運よく針が当たったようで、二人に雷魔法が直撃した。
透かさず俺はマヒ状態となった二人に止めを刺す。
カイトはギフトを発動したのか恐ろしい速度で移動し、攻撃魔法士まで一気に距離を詰めて仕留めていた。
続けて、隣であたふたしていた弓術士も仕留めにかかったようだ。
リンメイの方は 【剛力】 ギフト持ちであろう斧戦士と戦っているが、まだ沈める事ができていない。
どうやら後ろに控える回復魔法士が透かさず回復をしているからのようだ。
「リンメイ!」
俺はリンメイに声を掛けた後、回復魔法士に向かってアイアンニードルの針を投擲をする。
リンメイは俺の針の軌道を読み取ったのか一瞬死角を作ってくれて、見事当てる事ができた。
透かさず雷魔法をお見舞いする。
「おおっ!? おっさん今のなんだ?」
「ふっふー! 俺の必殺技だ」
「いいなソレ!」
なんとリンメイは双剣のうち片方を斧戦士に向けてぶん投げてしまった。
意表を突かれて躱す事のできなかった斧戦士の肩口に突き刺さってしまう。
「こうか?」
――ビシッ! ピキッパキッ!
なんと刺さった剣からバラの花のような氷魔法が発生して片腕を機能させなくしてしまった。
上手く決まってリンメイは大喜びだ。
「なっ!? いきなり技盗むなよ!」
「おっさんのモノはあたいのモノってね! ケチケチすんなよっ!」
そう言い、リンメイは可愛らしくウィンクした。なんというジャイアニズム!
それから動けなくなった斧戦士と回復魔法士を仕留めて、この戦いは無事に終わらせる事ができた。
冒険者狩りの死体を漁るかはパーティのリーダーに任せる。
ムジナ師匠はこいつらに徳を積ませるためだよと普通にやってるが、どうも俺は抵抗あるんだよねぇ……。
などと思っていたらリンメイさん、もう既に何かゴソゴソしてるじゃありませんかー!
何か見つけたようで、 「おっ、良いモノ持ってんじゃねーか」 ってすっごい無垢な笑顔で微笑んでいらっしゃる。
もー……、うちの可愛いジャイアンには敵わないな。
カイト達は過去に冒険者狩りに荷物全部ぶちまけて逃げた経緯があるせいか、 「こいつらに盗られた分は取り返すぜ!」 と息巻いて金品だけは持ち帰るようだ。
仕方がないので俺は冒険者証だけ回収する事にした。その後ラキちゃんと二人で終わるのを待つ。
ジェシカに、漁る意思の無いパーティメンバーは分配から外すと言われたが、構わないと伝えた。
リンメイには 「何やってんだよもー!」 と怒られてしまったが、俺達は冒険者狩りは漁らない事にしてんだって伝えたら、 「しょうがないなもー」 と言って手に入れたアイテムや金品をカイト達に渡していた。
なんかゴメンよ。でもありがとう。
何だかんだで合わせてくれるリンメイは本当に良い子だと心から思った。
それから俺達はこれといった問題も無く、エントランスホールまで戻ってくることができた。
そしてギルドで今回の獲得物を清算する前に、耐性ブローチ(弱)の所有権を決めるくじ引きをする事に。
結果、当たりを引いたのはラキちゃんだった。
「やったー!」
「おめでとう!」 「やったな!」
「ありがとう!」
俺とリンメイの祝福にラキちゃんは満面の笑顔で答えてくれた。
それからギルドで精算し、一人頭の報酬を分配した。俺とラキちゃんはそれぞれアイテムや装備を購入したので足が出てしまった分は支払った。
そうそう、俺の買い取ったブーツにはちょっとした珍しい効果が付いていた。魔力を込めると片足二歩ずつだけ液面を歩行できるというもの。
一度使用すると数秒のクールタイムが必要なので連続使用はできない。そのため、一回に使用できるのは両足使って四歩までだ。
カイト達は 「二歩じゃなー」 と笑ってたが、俺としては結構使える気がした。
四歩なら普通の川などは身体強化すれば十分に渡りきれるからだ。
リンメイは効果が見えていたようで、 「結構いいだろ」 とコッソリ耳打ちしてくれた。
ありがとうリンメイ。君が勧めてくれたから手に入れる事ができたよ。
カイト達は俺達パーティが十分戦力になると判断してくれたのか、十層目指して明日も一緒にどうかと誘ってくれた。
俺達はありがたく了承し、明日はもう少し早めに出発しようと待ち合わせの時間を決めて、今日は解散した。
帰り道、ラキちゃんが突然改まって俺に話しかけてきた。
「お兄ちゃんこれあげる!」
それは先程ラキちゃんが勝ち取った炎の耐性ブローチ(弱)だった。
「えっ!? いいの? どうして?」
「お兄ちゃん欲しかったんじゃないの?」
ラキちゃんは不安げな顔をしてしまったので、慌てて俺が欲しかった理由を伝える事にした。
「実はね、俺もラキちゃんにあげたくて欲しかったんだ。このブローチの宝石、ラキちゃんの目の色と同じだったからさ、きっとラキちゃんに似合うんじゃないかなと思ったんだよ」
「そうだったんだ……。えへへ、ありがとう! ……でもね、私はお兄ちゃんが燃えちゃうの見たくないから貰って欲しいなー」
ああ、俺はこの前ギリメカリスのブレス食らったからなあ……。
どうやら、俺もラキちゃんもお互いにプレゼントしたくて手に入れたかったようだね。
でも俺としては折角ラキちゃんがクジで勝ち取ったんだから、ラキちゃんに付けてて貰いたい。
そんな事を伝えようとしたら、
「しょうがねえなー。じゃ、ラキにはコレやるよ」
そう言ってリンメイは全く同じ炎の耐性ブローチ(弱)をラキちゃんに手渡した。
えっ!? 何で持ってんだ?
「じゃーん! 実はあたいのもある」
「あっ! もしかして!」
リンメイは ニシシ と笑いながら人差し指でシーのポーズをとった。
冒険者狩りを漁った時に抜いてたのか!
カイト達に他のアイテムを渡す事により、まんまと彼らを出し抜いたようだ。全くもうこの子は……。
「丁度二個あったからさ、二人とも欲しがってたようだし頂いて来たんだけど、ラキが運よく引き当てたから丁度お揃いになったな」
「そうだな。――ブーツの件も含めて、ありがとうリンメイ!」
「皆でお揃い嬉しいな! リンメイお姉ちゃんありがとう!」
「おう!」
リンメイのおかげで全員に炎の耐性ブローチ(弱)が行き渡る事が可能になったので、ラキちゃんからの気持ちを受け取る事にした。
「じゃ折角だし頂くね。ラキちゃんありがとう!」
そう言いラキちゃんから一つ受け取る。
「どういたしまして!」
こうして思いがけず炎の耐性ブローチ(弱)を全員が装備する事となった。
度々魔物と遭遇するが、問題無く倒す事ができている。ソルジャークラブの討伐も慣れてきた感じだ。
暫く進んだら行き止まりだったが、また宝箱を発見した。
先程はカイト達の鍵を使用したから、今度はこちらの手持ちの鍵を使用する。
「ラキシスお願い」
「はーい」
ラキちゃんが宝箱を開けると、前衛職が履いてそうな普通のブーツだった。
シューレースは無いがバックルが付いているので蹴りをしてもすっぽ抜ける事はなさそうだ。
「おお、装備品が出たの初めて見た」
「あたいも」
「なんだブーツかあ。先日新調したばっかなんだよなー」
カイトは 「これ跳躍力上昇が付いてんだぜ」 と自慢げに足を上げブーツを見せてくれた。
「おっさんの靴、もう結構ガタが来てっから、おっさん買ったらどうだ?」
宝箱を覗き込んでいたリンメイが俺に向かって言った。
そういえば俺の安全靴、結構傷んでいたんだった。
そろそろこちらの世界の履物にも慣れないといけない頃合いかもしれない。
「あっ、じゃ俺が買い取るって事でいいかな?」
「「「いいよー」」」
低層の装備品は大した効果も無い事を皆知っているので、二つ返事で了承してくれた。
と言う事で俺が箱からブーツを取り出した。装備品は取り出した人の寸法になってしまうからだ。
「おお! 本当に俺の足にピッタリの寸法になった」
「「おおー」」
俺だけでなくリンメイやラキちゃんも驚いている。どういう仕組みなのか知らないが、本当に便利な仕様だなー。
俺は急いで鞄に仕舞う。
「よし、おっけーだ」
「じゃ、さっきの所まで戻りましょ」
それから俺達は少し前の分岐点の十字路まで戻り、別の道を進んだのだが、直ぐに行き止まりとなってしまった。
そのため、今日はこれで帰る事になった。
十字路が見えてきた辺りで、先行しているリンメイが 『待て』 のハンドサインをした。
その後こちらに戻ってくる。
「さっきの十字路に他のパーティが潜んでいる。怪しい」
「冒険者狩りかもしれねーな」
下り階段からそれほど遠くないので普通の冒険者パーティがこちらに警戒している可能性もあるが、用心に越した事は無い。
いつでも攻撃できるように警戒しながら近づく事にした。
牽制でジェシカが一発、火球の魔法を十字路付近に放つ。
攻撃魔法によりこちらにバレていると分かった連中が声を上げながら出てきた。
「おいおい、随分なご挨拶だな」
「よう。俺達にも女の子分けてくれよ」
ニヤニヤしながら出てきたそいつらは、先程の階段付近で見かけたパーティだった。
こいつら、このルートが行き止まりだと知ってて待ち伏せしやがったな。
「チッ、やっぱり冒険者狩りかよ」
俺達も戦闘態勢に入る。
向こうも攻撃魔法士がいるようで、爆炎魔法をぶっ放してきた。
だがこちらもジェシカによる水属性の防壁魔法とラキちゃんの結界魔法により問題無く防ぐ。
厄介な事に弓持ちもいやがるが、矢はカイトが盾で難なく弾いた。
向こうの前衛はその隙に近寄ってきたのでこちらも応戦する。
俺は左手で三本のアイアンニードルの針を投擲する。
「こんなの当たるかよ!」
向こうが剣で弾いて躱す瞬間を狙って俺は雷魔法を放った。
針は刺さっていないにも関わらず、雷魔法が敵を直撃する。
「ぐわぁっ!」
「雷には側撃ってのがあるんだよ!」
どうやらそいつの後方にいた一人にも運よく針が当たったようで、二人に雷魔法が直撃した。
透かさず俺はマヒ状態となった二人に止めを刺す。
カイトはギフトを発動したのか恐ろしい速度で移動し、攻撃魔法士まで一気に距離を詰めて仕留めていた。
続けて、隣であたふたしていた弓術士も仕留めにかかったようだ。
リンメイの方は 【剛力】 ギフト持ちであろう斧戦士と戦っているが、まだ沈める事ができていない。
どうやら後ろに控える回復魔法士が透かさず回復をしているからのようだ。
「リンメイ!」
俺はリンメイに声を掛けた後、回復魔法士に向かってアイアンニードルの針を投擲をする。
リンメイは俺の針の軌道を読み取ったのか一瞬死角を作ってくれて、見事当てる事ができた。
透かさず雷魔法をお見舞いする。
「おおっ!? おっさん今のなんだ?」
「ふっふー! 俺の必殺技だ」
「いいなソレ!」
なんとリンメイは双剣のうち片方を斧戦士に向けてぶん投げてしまった。
意表を突かれて躱す事のできなかった斧戦士の肩口に突き刺さってしまう。
「こうか?」
――ビシッ! ピキッパキッ!
なんと刺さった剣からバラの花のような氷魔法が発生して片腕を機能させなくしてしまった。
上手く決まってリンメイは大喜びだ。
「なっ!? いきなり技盗むなよ!」
「おっさんのモノはあたいのモノってね! ケチケチすんなよっ!」
そう言い、リンメイは可愛らしくウィンクした。なんというジャイアニズム!
それから動けなくなった斧戦士と回復魔法士を仕留めて、この戦いは無事に終わらせる事ができた。
冒険者狩りの死体を漁るかはパーティのリーダーに任せる。
ムジナ師匠はこいつらに徳を積ませるためだよと普通にやってるが、どうも俺は抵抗あるんだよねぇ……。
などと思っていたらリンメイさん、もう既に何かゴソゴソしてるじゃありませんかー!
何か見つけたようで、 「おっ、良いモノ持ってんじゃねーか」 ってすっごい無垢な笑顔で微笑んでいらっしゃる。
もー……、うちの可愛いジャイアンには敵わないな。
カイト達は過去に冒険者狩りに荷物全部ぶちまけて逃げた経緯があるせいか、 「こいつらに盗られた分は取り返すぜ!」 と息巻いて金品だけは持ち帰るようだ。
仕方がないので俺は冒険者証だけ回収する事にした。その後ラキちゃんと二人で終わるのを待つ。
ジェシカに、漁る意思の無いパーティメンバーは分配から外すと言われたが、構わないと伝えた。
リンメイには 「何やってんだよもー!」 と怒られてしまったが、俺達は冒険者狩りは漁らない事にしてんだって伝えたら、 「しょうがないなもー」 と言って手に入れたアイテムや金品をカイト達に渡していた。
なんかゴメンよ。でもありがとう。
何だかんだで合わせてくれるリンメイは本当に良い子だと心から思った。
それから俺達はこれといった問題も無く、エントランスホールまで戻ってくることができた。
そしてギルドで今回の獲得物を清算する前に、耐性ブローチ(弱)の所有権を決めるくじ引きをする事に。
結果、当たりを引いたのはラキちゃんだった。
「やったー!」
「おめでとう!」 「やったな!」
「ありがとう!」
俺とリンメイの祝福にラキちゃんは満面の笑顔で答えてくれた。
それからギルドで精算し、一人頭の報酬を分配した。俺とラキちゃんはそれぞれアイテムや装備を購入したので足が出てしまった分は支払った。
そうそう、俺の買い取ったブーツにはちょっとした珍しい効果が付いていた。魔力を込めると片足二歩ずつだけ液面を歩行できるというもの。
一度使用すると数秒のクールタイムが必要なので連続使用はできない。そのため、一回に使用できるのは両足使って四歩までだ。
カイト達は 「二歩じゃなー」 と笑ってたが、俺としては結構使える気がした。
四歩なら普通の川などは身体強化すれば十分に渡りきれるからだ。
リンメイは効果が見えていたようで、 「結構いいだろ」 とコッソリ耳打ちしてくれた。
ありがとうリンメイ。君が勧めてくれたから手に入れる事ができたよ。
カイト達は俺達パーティが十分戦力になると判断してくれたのか、十層目指して明日も一緒にどうかと誘ってくれた。
俺達はありがたく了承し、明日はもう少し早めに出発しようと待ち合わせの時間を決めて、今日は解散した。
帰り道、ラキちゃんが突然改まって俺に話しかけてきた。
「お兄ちゃんこれあげる!」
それは先程ラキちゃんが勝ち取った炎の耐性ブローチ(弱)だった。
「えっ!? いいの? どうして?」
「お兄ちゃん欲しかったんじゃないの?」
ラキちゃんは不安げな顔をしてしまったので、慌てて俺が欲しかった理由を伝える事にした。
「実はね、俺もラキちゃんにあげたくて欲しかったんだ。このブローチの宝石、ラキちゃんの目の色と同じだったからさ、きっとラキちゃんに似合うんじゃないかなと思ったんだよ」
「そうだったんだ……。えへへ、ありがとう! ……でもね、私はお兄ちゃんが燃えちゃうの見たくないから貰って欲しいなー」
ああ、俺はこの前ギリメカリスのブレス食らったからなあ……。
どうやら、俺もラキちゃんもお互いにプレゼントしたくて手に入れたかったようだね。
でも俺としては折角ラキちゃんがクジで勝ち取ったんだから、ラキちゃんに付けてて貰いたい。
そんな事を伝えようとしたら、
「しょうがねえなー。じゃ、ラキにはコレやるよ」
そう言ってリンメイは全く同じ炎の耐性ブローチ(弱)をラキちゃんに手渡した。
えっ!? 何で持ってんだ?
「じゃーん! 実はあたいのもある」
「あっ! もしかして!」
リンメイは ニシシ と笑いながら人差し指でシーのポーズをとった。
冒険者狩りを漁った時に抜いてたのか!
カイト達に他のアイテムを渡す事により、まんまと彼らを出し抜いたようだ。全くもうこの子は……。
「丁度二個あったからさ、二人とも欲しがってたようだし頂いて来たんだけど、ラキが運よく引き当てたから丁度お揃いになったな」
「そうだな。――ブーツの件も含めて、ありがとうリンメイ!」
「皆でお揃い嬉しいな! リンメイお姉ちゃんありがとう!」
「おう!」
リンメイのおかげで全員に炎の耐性ブローチ(弱)が行き渡る事が可能になったので、ラキちゃんからの気持ちを受け取る事にした。
「じゃ折角だし頂くね。ラキちゃんありがとう!」
そう言いラキちゃんから一つ受け取る。
「どういたしまして!」
こうして思いがけず炎の耐性ブローチ(弱)を全員が装備する事となった。
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
社畜の異世界再出発
U65
ファンタジー
社畜、気づけば異世界の赤ちゃんでした――!?
ブラック企業に心身を削られ、人生リタイアした社畜が目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界。
前世では死ぬほど働いた。今度は、笑って生きたい。
けれどこの世界、穏やかに生きるには……ちょっと強くなる必要があるらしい。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
生まれ変わったら飛べない鳥でした。~ドラゴンのはずなのに~
イチイ アキラ
ファンタジー
生まれ変わったら飛べない鳥――ペンギンでした。
ドラゴンとして生まれ変わったらしいのにどうみてもペンギンな、ドラゴン名ジュヌヴィエーヴ。
兄姉たちが巣立っても、自分はまだ巣に残っていた。
(だって飛べないから)
そんなある日、気がつけば巣の外にいた。
…人間に攫われました(?)
転生したみたいなので異世界生活を楽しみます
さっちさん
ファンタジー
又々、題名変更しました。
内容がどんどんかけ離れていくので…
沢山のコメントありがとうございます。対応出来なくてすいません。
誤字脱字申し訳ございません。気がついたら直していきます。
感傷的表現は無しでお願いしたいと思います😢
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
ありきたりな転生ものの予定です。
主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。
一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。
まっ、なんとかなるっしょ。
底辺から始まった俺の異世界冒険物語!
ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。
しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。
おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。
漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。
この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――
男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…
アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。
そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる