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第一章 弘樹,転生す
第五話 スライムを倒してしまった件
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ーーーズドーン。
そんな音とともに大きな音がする。ふと音のなった方を見ればそこには巨大なスライムが二体。今の大きな音はその片方,ゴールデンスライムが放った水魔法がもう片方の紫のスライムにあたった音だった。だが紫のスライムに聞いている様子はない。
すさまじいな。さすがエリアボス。その強さも桁外れだ。俺はあいつとは戦いたくないよ。
「ですね。もしあのスライムに何も知らずに戦っていたかと思うと,震えが止まりません」
今俺は今エリアボスと金色のスライムの戦いを見ていた。その戦いはすさまじい物だった。なぜ,そんなことになったか。それは三十分ほど前までさかのぼる。
◇
じゃあ,エリアボスを出現させることはできるか。
「はい?」
だからエリアボスをだよ
「不可能ではないと思いますが」
そうか。どうすればいい。できるだけ具体的に頼む。
「どうするって,魔素を放出すればいいと思いますが」
そうか。魔素か。ていうか魔素ってなんだ。文字的に魔法を使うために必要な感じか。だけどそれはMPだよな。
「魔素とはMPが外に放出されると発生します。他にも色々な方法で発生しますがそれは今はいいでしょう。そして,魔物は魔素があれば出現します」
なるほど。つまりMPを放出するんだな
「はい。ですが何をするんですか」
エリアボスを出現させる。そして,あの化けものにぶつける。我ながらさえてるぜ。
「なっ。そんなこと成功するわけが」
それを聞いた弘樹は不覚にも笑う。
ない,と言い切れるか。できないだろう。不可能じゃないからな。そして不可能じゃないことは可能だ。つまりできるんだよ。
「ですが」
これは決定事項だ。サポートよろしくな。
「分かりましたよ。まったく,人使いが荒い」
で,そのエリアボスをポップさせるのに必要な魔素ってどのくらいだ。今の俺にあるので足りるといいんだけど。
「ボスによります。ですがここの魔物の強さから予想すると500くらいですかね」
つまり俺が500MPくらいここで放出すればエリアボスは生まれるのか。
「そういうことになりますね。ですがエリアボスをポップさせるということは前代未聞です。かなりのリスクが伴います」
そこは大丈夫。俺,運はいいから。じゃあ行くぞ,MP放出。
その瞬間,弘樹のMPが500減り,あたりは魔素であふれかえった。そして俺の魔素が一気に何かに吸収されると,俺の近くにエリアボスが現れる。それは巨大な紫色のスライムだった。大きさは金色のスライムにも劣らないだろう。だが運悪く,紫のスライムが最初に攻撃対象にしたのは金色のスライムではなく魔素を放出したばかりで疲れていたトカゲであった。
「やばいーーーー」
なぜかわからないけど俺の方に来やがった。それにこいつめっちゃ強いぞ。口から毒っぽいブレスしてくるし。スライムのくせして移動速いし。
「だから言ったんじゃないですか。魔物を操ることなんてそれ専用のスキルがなくちゃ無理です」
いんや,行けるね。別にあやつらなくていい。あのスライムとやり合ってくれればいいんだからな。このまま金色のスライムのところまで行く。そうすればあいつのターゲットは俺じゃなくなるはずだ。
「マスターらしいです。一応論理は通っているところが何とも言えませんね。分かりました。サポートします」
ところで紫のスライムの強さはどのくらいなんだろう。俺は紫のスライム,通称ポイズンスライム(弘樹命名)に追いかけられている間に気になったので聞いてみた。
「さきほど私が鑑定しましたが,失敗しました。よってあの金色のスライムと同等だとかんがえられます」
よし。あの金色のスライムと同じくらいの強さってわけだな。ピンチはチャンスだ。こいつをあの金のスライムのところに連れて行けば何とかなる。あとは俺次第ってことか。
そう思うと,弘樹は今まで傍観をしていた金色のスライムの方へ速度を上げて走り出した。すると金のスライムもやってきて弘樹に攻撃を仕掛けてきた。
挟み撃ちかよ。これはよけるのが大変そうだ。だが,これは
「予想どうり」
そして弘樹は金色のスライムのところまで来た。どうやら紫のスライムが放った魔法が金色の方にあたったらしく今はスライム同士のにらみ合いになった。あとは俺が逃げ出すだけ。そうすればこいつらは勝手にドンパチやってくれるだろう。
そう思うと,弘樹は全力で逃げ出す。今両スライムの注意は自分と色の違うスライムに移っていた。弘樹が安全なところまで逃げ出した,その瞬間スライム同士のバトルが始まった。
それはまさに一進一退だった。
お互いが自分の最も強い攻撃をし,相手はただただ耐えるという感じだった。そして冒頭に戻る。
これはすごいな。俺なんかは決して入ってはいけない戦いだな。そして,ここでこのくらいの強さのある魔物がいるんなら地上にはもっと強い奴がわんさかいるんだろうな。
そんなことを考えていた時,
「スライムの衰弱により,一部解析が成功しました」
おお,常に試してくれていたのか。それはありがたい。早速確認しよう。流石,鑑定である。出会ってからの年月は一日もないが,こいつはもう俺の相棒だな。鑑定に失望されないように頑張らなくちゃ。
「鑑定結果,出します」
ゴールデンスライムLv45
HP 400/28000
MP 100/3400
スキル 魔物生み出しLv4
炎耐性Lv7
ポイズンスライムLv30
HP 300/40000
MP 150/30000
スキル 毒使いLv9
炎耐性Lv6
なるほど。俺,命名の才能あるんじゃね。って俺と相性悪いな。さすがスライム。炎はほぼ効かないってわけか。じゃあこのままおとなしくどっちかが勝つまで待ちますか。そして,勝った方をぶちのめす。ふふ,令和の孔明と呼んでくれ。
そんなことを考えていた俺に,俺の相棒は恐ろしいことを提案してきた。
「いま攻撃を開始することをおすすめします。いま攻撃すれば大量の経験値を得られます」
まじか。なかなかひどいことを提案してきたな。どちらも衰弱している今が経験値を得るチャンスなのはあっているが。だが一理あるのも事実。漁夫の利,狙っちゃうか。
だが,今の俺にはスライムに効く攻撃がない。ましてやHP400位を一気に削れるようなものは思いつかない。
なぁ,どんな攻撃をすればいいんだ。俺の攻撃はつうじないと思うのだが
「一つだけ,いい攻撃があります。炎まといです」
だがあれは効かなかったぞ
「今までどうりなら,です」
つまり?
「はい。簡単なことですが,炎まといを打った後で炎まといをうつのです」
つまり二重にするってことか
「二重に限る必要はありません。三重でも四重でも理論上はいけます。ただ,使うごとにダメージが大きくなるので注意です」
確かに危険な手ではあるがやってみる価値はあるな。よし,やってみよう。とりあえず四重で行こう。念のためだ。
そう思い弘樹は魔法を唱える。
「炎まとい」
もういちど。
「炎まとい」
もう一回。
「炎まとい」
まだまだ。
「炎まとい」
四重の炎まといを受けた俺の体はすさまじく燃えていた。
すごい。ものすごい熱量だ。すごく暑いが強くなった気がする。これでスライムたちを殺せそうだ。そればかりか今ならどんな敵だって殺せる気がするぞ。さて,俺を弱者と思い見過ごしてた罪は重い。さあ,反撃の時だ。
「マスター,それ最初から一回かけてるので五重になってますよ。それに私は三重でも四重でも理論上いけると言っただけ実際にでできるとは言ってないのですが⋯⋯」
ん? なんか言ったか。まあ,いいか。
弘樹は難聴系主人公である。
「いえ,何も。マスター,注意してください。攻撃力は上がっているとはいえマスターの防御力は紙です。相手の攻撃が当たれば大変なことになりますかと」
おいそういうのは早く言えよ。ていうか誰かに直接言われると悲しいな。まあいい。やることは変わらない。まず,急いで接近,そして思いっきり体当たりだ。よし,俺ならいける。絶対いける。まずは紫のポイズンから。
そういうと弘樹はスライムたちに思いっきり接近する。
く,さすがにこっちにも攻撃の余波が来るか。
俺が近づくにつれ,スライム同士の戦いの余波を受けるようになっていく。だがそのかいあって俺はぐんぐん近づいていく。
「毒,きます」
「分かった」
回避,成功。だが,速く決めなければ。これはなかなかきついぞ。
「敵,残り三十メートル」
「よし,一気に行くぞ」
二十,十,五,一,ゼロ。
ぶつかるーッ。
ーーージュ――,ドカン。
俺が紫のスライムにぶつかった瞬間,スライムは周りの物を巻き込んで爆発した。
うわぁ。スライム,ぶつかったとたん爆発したぞ。こそれに,俺もろに浴びたけど大丈夫か。
「水蒸気爆発ですね。マスターが一気にスライムを気化させたため爆発しました」
「大丈夫か,俺。俺の防御力,相当ないんだけど」
「それに関しては」
『レベルアップしました。レベルが七上がりました。炎魔法中級を手に入れました。スキル管理を手に入れました』
レベルアップしたのか。しかもかなり略されたし。
「それが爆発を食らっても大丈夫な理由です。爆発によって減ったHPよりレベルアップでえられたHPの方が多かったんです」
なるほど。じゃあ,レベルアップしてなかったらかなり危なかったのか。
「大丈夫です。細かいことは気にしなくていいでしょう。それよりレベルアップで気になることはありませんか」
なんか話をそらされた気もするが。それより気になることか。炎魔法中級についてだな。もしかして新しい魔法,使えるのか。
「鑑定します」
炎魔法中級Lv1
かなりの炎魔法を使える。ファイアレイン,ファイアブレス,炎装,炎操作,炎耐性を使えるようになる。
おお,かなりの種類の魔法を使えるようになったな。早速試してみるか。あ,そういえば今炎まとい中だから魔法使ってもあまり火力は出ないのか。
「炎まとい中は炎魔法の威力も大幅に上がります」
便利だな。じゃあさっそく,ファイアブレスを使うか。
「ファイアブレス」
「ですが,使用はお勧めできませ⋯⋯」
「え」
その瞬間,俺の口から炎が吐き出された。それは見ただけで金色のスライムを倒すには過剰と言える,極大の炎柱だった。そしてその炎はスライムが生み出した魔物を焼き払い,スライムのHPをゼロにしても威力を失わず,広がっていた草原を焼き払い,ついでにその時ポップした魔物を消し去り,草原を荒れ地に変えてしまうのであった。
その光景を見ていた弘樹はだただひと言
「まじかい」
とつぶやくのだった。
そんな音とともに大きな音がする。ふと音のなった方を見ればそこには巨大なスライムが二体。今の大きな音はその片方,ゴールデンスライムが放った水魔法がもう片方の紫のスライムにあたった音だった。だが紫のスライムに聞いている様子はない。
すさまじいな。さすがエリアボス。その強さも桁外れだ。俺はあいつとは戦いたくないよ。
「ですね。もしあのスライムに何も知らずに戦っていたかと思うと,震えが止まりません」
今俺は今エリアボスと金色のスライムの戦いを見ていた。その戦いはすさまじい物だった。なぜ,そんなことになったか。それは三十分ほど前までさかのぼる。
◇
じゃあ,エリアボスを出現させることはできるか。
「はい?」
だからエリアボスをだよ
「不可能ではないと思いますが」
そうか。どうすればいい。できるだけ具体的に頼む。
「どうするって,魔素を放出すればいいと思いますが」
そうか。魔素か。ていうか魔素ってなんだ。文字的に魔法を使うために必要な感じか。だけどそれはMPだよな。
「魔素とはMPが外に放出されると発生します。他にも色々な方法で発生しますがそれは今はいいでしょう。そして,魔物は魔素があれば出現します」
なるほど。つまりMPを放出するんだな
「はい。ですが何をするんですか」
エリアボスを出現させる。そして,あの化けものにぶつける。我ながらさえてるぜ。
「なっ。そんなこと成功するわけが」
それを聞いた弘樹は不覚にも笑う。
ない,と言い切れるか。できないだろう。不可能じゃないからな。そして不可能じゃないことは可能だ。つまりできるんだよ。
「ですが」
これは決定事項だ。サポートよろしくな。
「分かりましたよ。まったく,人使いが荒い」
で,そのエリアボスをポップさせるのに必要な魔素ってどのくらいだ。今の俺にあるので足りるといいんだけど。
「ボスによります。ですがここの魔物の強さから予想すると500くらいですかね」
つまり俺が500MPくらいここで放出すればエリアボスは生まれるのか。
「そういうことになりますね。ですがエリアボスをポップさせるということは前代未聞です。かなりのリスクが伴います」
そこは大丈夫。俺,運はいいから。じゃあ行くぞ,MP放出。
その瞬間,弘樹のMPが500減り,あたりは魔素であふれかえった。そして俺の魔素が一気に何かに吸収されると,俺の近くにエリアボスが現れる。それは巨大な紫色のスライムだった。大きさは金色のスライムにも劣らないだろう。だが運悪く,紫のスライムが最初に攻撃対象にしたのは金色のスライムではなく魔素を放出したばかりで疲れていたトカゲであった。
「やばいーーーー」
なぜかわからないけど俺の方に来やがった。それにこいつめっちゃ強いぞ。口から毒っぽいブレスしてくるし。スライムのくせして移動速いし。
「だから言ったんじゃないですか。魔物を操ることなんてそれ専用のスキルがなくちゃ無理です」
いんや,行けるね。別にあやつらなくていい。あのスライムとやり合ってくれればいいんだからな。このまま金色のスライムのところまで行く。そうすればあいつのターゲットは俺じゃなくなるはずだ。
「マスターらしいです。一応論理は通っているところが何とも言えませんね。分かりました。サポートします」
ところで紫のスライムの強さはどのくらいなんだろう。俺は紫のスライム,通称ポイズンスライム(弘樹命名)に追いかけられている間に気になったので聞いてみた。
「さきほど私が鑑定しましたが,失敗しました。よってあの金色のスライムと同等だとかんがえられます」
よし。あの金色のスライムと同じくらいの強さってわけだな。ピンチはチャンスだ。こいつをあの金のスライムのところに連れて行けば何とかなる。あとは俺次第ってことか。
そう思うと,弘樹は今まで傍観をしていた金色のスライムの方へ速度を上げて走り出した。すると金のスライムもやってきて弘樹に攻撃を仕掛けてきた。
挟み撃ちかよ。これはよけるのが大変そうだ。だが,これは
「予想どうり」
そして弘樹は金色のスライムのところまで来た。どうやら紫のスライムが放った魔法が金色の方にあたったらしく今はスライム同士のにらみ合いになった。あとは俺が逃げ出すだけ。そうすればこいつらは勝手にドンパチやってくれるだろう。
そう思うと,弘樹は全力で逃げ出す。今両スライムの注意は自分と色の違うスライムに移っていた。弘樹が安全なところまで逃げ出した,その瞬間スライム同士のバトルが始まった。
それはまさに一進一退だった。
お互いが自分の最も強い攻撃をし,相手はただただ耐えるという感じだった。そして冒頭に戻る。
これはすごいな。俺なんかは決して入ってはいけない戦いだな。そして,ここでこのくらいの強さのある魔物がいるんなら地上にはもっと強い奴がわんさかいるんだろうな。
そんなことを考えていた時,
「スライムの衰弱により,一部解析が成功しました」
おお,常に試してくれていたのか。それはありがたい。早速確認しよう。流石,鑑定である。出会ってからの年月は一日もないが,こいつはもう俺の相棒だな。鑑定に失望されないように頑張らなくちゃ。
「鑑定結果,出します」
ゴールデンスライムLv45
HP 400/28000
MP 100/3400
スキル 魔物生み出しLv4
炎耐性Lv7
ポイズンスライムLv30
HP 300/40000
MP 150/30000
スキル 毒使いLv9
炎耐性Lv6
なるほど。俺,命名の才能あるんじゃね。って俺と相性悪いな。さすがスライム。炎はほぼ効かないってわけか。じゃあこのままおとなしくどっちかが勝つまで待ちますか。そして,勝った方をぶちのめす。ふふ,令和の孔明と呼んでくれ。
そんなことを考えていた俺に,俺の相棒は恐ろしいことを提案してきた。
「いま攻撃を開始することをおすすめします。いま攻撃すれば大量の経験値を得られます」
まじか。なかなかひどいことを提案してきたな。どちらも衰弱している今が経験値を得るチャンスなのはあっているが。だが一理あるのも事実。漁夫の利,狙っちゃうか。
だが,今の俺にはスライムに効く攻撃がない。ましてやHP400位を一気に削れるようなものは思いつかない。
なぁ,どんな攻撃をすればいいんだ。俺の攻撃はつうじないと思うのだが
「一つだけ,いい攻撃があります。炎まといです」
だがあれは効かなかったぞ
「今までどうりなら,です」
つまり?
「はい。簡単なことですが,炎まといを打った後で炎まといをうつのです」
つまり二重にするってことか
「二重に限る必要はありません。三重でも四重でも理論上はいけます。ただ,使うごとにダメージが大きくなるので注意です」
確かに危険な手ではあるがやってみる価値はあるな。よし,やってみよう。とりあえず四重で行こう。念のためだ。
そう思い弘樹は魔法を唱える。
「炎まとい」
もういちど。
「炎まとい」
もう一回。
「炎まとい」
まだまだ。
「炎まとい」
四重の炎まといを受けた俺の体はすさまじく燃えていた。
すごい。ものすごい熱量だ。すごく暑いが強くなった気がする。これでスライムたちを殺せそうだ。そればかりか今ならどんな敵だって殺せる気がするぞ。さて,俺を弱者と思い見過ごしてた罪は重い。さあ,反撃の時だ。
「マスター,それ最初から一回かけてるので五重になってますよ。それに私は三重でも四重でも理論上いけると言っただけ実際にでできるとは言ってないのですが⋯⋯」
ん? なんか言ったか。まあ,いいか。
弘樹は難聴系主人公である。
「いえ,何も。マスター,注意してください。攻撃力は上がっているとはいえマスターの防御力は紙です。相手の攻撃が当たれば大変なことになりますかと」
おいそういうのは早く言えよ。ていうか誰かに直接言われると悲しいな。まあいい。やることは変わらない。まず,急いで接近,そして思いっきり体当たりだ。よし,俺ならいける。絶対いける。まずは紫のポイズンから。
そういうと弘樹はスライムたちに思いっきり接近する。
く,さすがにこっちにも攻撃の余波が来るか。
俺が近づくにつれ,スライム同士の戦いの余波を受けるようになっていく。だがそのかいあって俺はぐんぐん近づいていく。
「毒,きます」
「分かった」
回避,成功。だが,速く決めなければ。これはなかなかきついぞ。
「敵,残り三十メートル」
「よし,一気に行くぞ」
二十,十,五,一,ゼロ。
ぶつかるーッ。
ーーージュ――,ドカン。
俺が紫のスライムにぶつかった瞬間,スライムは周りの物を巻き込んで爆発した。
うわぁ。スライム,ぶつかったとたん爆発したぞ。こそれに,俺もろに浴びたけど大丈夫か。
「水蒸気爆発ですね。マスターが一気にスライムを気化させたため爆発しました」
「大丈夫か,俺。俺の防御力,相当ないんだけど」
「それに関しては」
『レベルアップしました。レベルが七上がりました。炎魔法中級を手に入れました。スキル管理を手に入れました』
レベルアップしたのか。しかもかなり略されたし。
「それが爆発を食らっても大丈夫な理由です。爆発によって減ったHPよりレベルアップでえられたHPの方が多かったんです」
なるほど。じゃあ,レベルアップしてなかったらかなり危なかったのか。
「大丈夫です。細かいことは気にしなくていいでしょう。それよりレベルアップで気になることはありませんか」
なんか話をそらされた気もするが。それより気になることか。炎魔法中級についてだな。もしかして新しい魔法,使えるのか。
「鑑定します」
炎魔法中級Lv1
かなりの炎魔法を使える。ファイアレイン,ファイアブレス,炎装,炎操作,炎耐性を使えるようになる。
おお,かなりの種類の魔法を使えるようになったな。早速試してみるか。あ,そういえば今炎まとい中だから魔法使ってもあまり火力は出ないのか。
「炎まとい中は炎魔法の威力も大幅に上がります」
便利だな。じゃあさっそく,ファイアブレスを使うか。
「ファイアブレス」
「ですが,使用はお勧めできませ⋯⋯」
「え」
その瞬間,俺の口から炎が吐き出された。それは見ただけで金色のスライムを倒すには過剰と言える,極大の炎柱だった。そしてその炎はスライムが生み出した魔物を焼き払い,スライムのHPをゼロにしても威力を失わず,広がっていた草原を焼き払い,ついでにその時ポップした魔物を消し去り,草原を荒れ地に変えてしまうのであった。
その光景を見ていた弘樹はだただひと言
「まじかい」
とつぶやくのだった。
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