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二章 人間での生活
第十話 公爵と話した話
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場所は俺と公爵が出会った場所。そこで簡易テントを張り,俺たちは状況整理をしていた。
「つまり,あんたらはここで魔物に襲われた,と」
俺が公爵に尋ねる。すると公爵は無言でうなずいた。そして事の顛末を話し始める。
「ああそうじゃ。あれは確か鮮血の悪魔ブラットデーモンじゃったかな。あやつは物理攻撃が効かない恐ろしい敵じゃった」
それを聞いた騎士団員が驚く。
「まさかここら辺に鮮血の悪魔ブラットデーモンが出たのですか。それはかなりの問題です。急いで騎士団本部に報告しないと」
そういうと騎士の一人が一礼した後,どこかへ走り出していった。どうやら騎士団の本部に報告に行くようだ。そこまで危険な魔物だと思っていなかった俺は騎士に聞いてみることにする。
「そんなにやばい魔物なのか?」
「はい。鮮血の悪魔ブラッド・デーモンは代表的な悪魔の一種,で悪魔の中では弱い方ですが,そのランクはB+です。個体によりますが過去にはLv100も確認されたこともあるですよ」
「100か。俺たちがかなう相手じゃないな」
「ですがこの辺りには出ない,というかエンラルドで確認されることがほぼないので今まで忘れられていたのですが,まさか出現するとは」
そこで今まで連と騎士団との会話を見ていたメアリーちゃんが口をはさむ。
「それで,誰が私を助けてくれたんですの?」
ある意味それはみんなが知りたいことであった。公爵家の馬車が魔物に襲われていて,それを救ったものが分からないのはある意味恐怖であった。
「分からないんじゃよ。あの時,鮮血の悪魔ブラッド・デーモンに襲われたとき,儂含め戦えるものは全員外に出て戦って負け,気絶していたからの」
そこで騎士団の人が言う。
「鮮血の悪魔ブラッド・デーモンがいたのに公爵様が生きているということは,その助けた人,,または集団は鮮血の悪魔ブラッド・デーモンと同等以上の強さを持っているということですもんね」
「ああ,そうじゃ。なんとしてもコネを繋げておきたいのじゃがな」
でも本当に誰なんだろうな。Lv100を倒してしまう人物か。全く思いつかないな。それにそんな人物なら自ら言ってくるはずだ。そうなると悪魔の気まぐれで見逃したと考えるのが妥当か?
そして話は俺たちの招待の話になった。
「俺たちは召喚された異世界人だ。勇者とか呼ばれているな」
それを聞いた公爵は目を丸くした。今まで感情を表に出さない公爵であったがこれには動揺を隠せないようだ。
「そうじゃったのか。君たちが勇者一行じゃったのか。これはこれは失礼をしたの」
そう言って公爵はお辞儀をする。
「いや,いい。俺たちは何もしていないからな」
「して,君たちは何をしにここへ来たのかな」
「ベルセルクの異変を調査しに,だな。国から命令されているから秘密にしれおいてくれると助かるが」
「そうかそうか。それはご苦労なこった。それでは私も一緒に行かせてもらおうかの」
「一緒に,か」
「そうじゃ。儂はベルセルクの領主じゃからの」
「そうなのか」
これはすごい運だな。まさに世間は狭いとでもいうのか。
「勇者が来るという話は知らんかったがこれも何かの縁じゃ。一緒に行こうかの。それともこんなおいぼれと一緒は嫌かのう」
「それはないな」
そう言って俺は公爵の体を見る。もちろん変な意味ではない。単純に公爵の体に興味が出たのだ。さきほど戦えると言っていた通り髪こそ白髪だが体は全く老いぼれていないように見えた。これは俺でもかなうかわからないな。
「そうか。それではしばらくよろしくの。儂はケルロ・ベルセルク。公爵じゃ」
「俺は連だ。他のメンバーは直接会った時でも」
「そうか。それではさっそく出発と言いたいところじゃが,少し待ってくれるかの。儂の騎士がまだ倒れて居ての」
そういうと公爵は周りを見渡した。まだ起きていない騎士も多数いるようだ。公爵の言うとおりこのまま出発はできそうにない。
「わかった。ここからどう頑張ってもつくのは明日になりそうだからゆっくりでいい」
「助かるのう」
そして俺たちと公爵のベルセルクまでの短い旅が始まった。
ちなみに公爵とは国王の次にえらい役職である。連たちはこの国の役職など教えてもらったことがないので,いつか知ったときはたいそう驚くだろう。
ふと倒れた騎士が俺の目にはいる。これは,ひどいな。騎士でもこんなになる化けものにもし俺たちが戦ったとして大丈夫なのか。
だが本人も自覚していないようだが,連にとって守りたいものがまた増えてしまったなとも思った。そしてふと見れば立夏が手を振りながらこちらに向かって走ってきた。
「ねえ連。私大発見したんだよ。誰がここを救ったのかわかるかもしれないよ」
その姿がなぜか可愛くて俺は孫を見るおじいちゃんのような気持ちになる。
「そうかそうか」
「もー。全然聞いてないでしょ。でも言うね。きっとびっくりして腰を抜かしちゃうよ。えっとね,私が周りを調べていたら少しだけだけど何かが燃えた跡があったの。これって絶対手がかりよ」
ああ,今日も立夏は可愛いな。俺は立夏の頭を思わず撫でてしまう。
「ふぇ? いきなり何するのよ。せっかく報告してたのになー。まあ,これも悪くはない,かな」
遠くで騎士の出発の準備ができたぞー,という声がする。
「さ,行こうか」
俺がそういうと二人は歩いていく。
「つまり,あんたらはここで魔物に襲われた,と」
俺が公爵に尋ねる。すると公爵は無言でうなずいた。そして事の顛末を話し始める。
「ああそうじゃ。あれは確か鮮血の悪魔ブラットデーモンじゃったかな。あやつは物理攻撃が効かない恐ろしい敵じゃった」
それを聞いた騎士団員が驚く。
「まさかここら辺に鮮血の悪魔ブラットデーモンが出たのですか。それはかなりの問題です。急いで騎士団本部に報告しないと」
そういうと騎士の一人が一礼した後,どこかへ走り出していった。どうやら騎士団の本部に報告に行くようだ。そこまで危険な魔物だと思っていなかった俺は騎士に聞いてみることにする。
「そんなにやばい魔物なのか?」
「はい。鮮血の悪魔ブラッド・デーモンは代表的な悪魔の一種,で悪魔の中では弱い方ですが,そのランクはB+です。個体によりますが過去にはLv100も確認されたこともあるですよ」
「100か。俺たちがかなう相手じゃないな」
「ですがこの辺りには出ない,というかエンラルドで確認されることがほぼないので今まで忘れられていたのですが,まさか出現するとは」
そこで今まで連と騎士団との会話を見ていたメアリーちゃんが口をはさむ。
「それで,誰が私を助けてくれたんですの?」
ある意味それはみんなが知りたいことであった。公爵家の馬車が魔物に襲われていて,それを救ったものが分からないのはある意味恐怖であった。
「分からないんじゃよ。あの時,鮮血の悪魔ブラッド・デーモンに襲われたとき,儂含め戦えるものは全員外に出て戦って負け,気絶していたからの」
そこで騎士団の人が言う。
「鮮血の悪魔ブラッド・デーモンがいたのに公爵様が生きているということは,その助けた人,,または集団は鮮血の悪魔ブラッド・デーモンと同等以上の強さを持っているということですもんね」
「ああ,そうじゃ。なんとしてもコネを繋げておきたいのじゃがな」
でも本当に誰なんだろうな。Lv100を倒してしまう人物か。全く思いつかないな。それにそんな人物なら自ら言ってくるはずだ。そうなると悪魔の気まぐれで見逃したと考えるのが妥当か?
そして話は俺たちの招待の話になった。
「俺たちは召喚された異世界人だ。勇者とか呼ばれているな」
それを聞いた公爵は目を丸くした。今まで感情を表に出さない公爵であったがこれには動揺を隠せないようだ。
「そうじゃったのか。君たちが勇者一行じゃったのか。これはこれは失礼をしたの」
そう言って公爵はお辞儀をする。
「いや,いい。俺たちは何もしていないからな」
「して,君たちは何をしにここへ来たのかな」
「ベルセルクの異変を調査しに,だな。国から命令されているから秘密にしれおいてくれると助かるが」
「そうかそうか。それはご苦労なこった。それでは私も一緒に行かせてもらおうかの」
「一緒に,か」
「そうじゃ。儂はベルセルクの領主じゃからの」
「そうなのか」
これはすごい運だな。まさに世間は狭いとでもいうのか。
「勇者が来るという話は知らんかったがこれも何かの縁じゃ。一緒に行こうかの。それともこんなおいぼれと一緒は嫌かのう」
「それはないな」
そう言って俺は公爵の体を見る。もちろん変な意味ではない。単純に公爵の体に興味が出たのだ。さきほど戦えると言っていた通り髪こそ白髪だが体は全く老いぼれていないように見えた。これは俺でもかなうかわからないな。
「そうか。それではしばらくよろしくの。儂はケルロ・ベルセルク。公爵じゃ」
「俺は連だ。他のメンバーは直接会った時でも」
「そうか。それではさっそく出発と言いたいところじゃが,少し待ってくれるかの。儂の騎士がまだ倒れて居ての」
そういうと公爵は周りを見渡した。まだ起きていない騎士も多数いるようだ。公爵の言うとおりこのまま出発はできそうにない。
「わかった。ここからどう頑張ってもつくのは明日になりそうだからゆっくりでいい」
「助かるのう」
そして俺たちと公爵のベルセルクまでの短い旅が始まった。
ちなみに公爵とは国王の次にえらい役職である。連たちはこの国の役職など教えてもらったことがないので,いつか知ったときはたいそう驚くだろう。
ふと倒れた騎士が俺の目にはいる。これは,ひどいな。騎士でもこんなになる化けものにもし俺たちが戦ったとして大丈夫なのか。
だが本人も自覚していないようだが,連にとって守りたいものがまた増えてしまったなとも思った。そしてふと見れば立夏が手を振りながらこちらに向かって走ってきた。
「ねえ連。私大発見したんだよ。誰がここを救ったのかわかるかもしれないよ」
その姿がなぜか可愛くて俺は孫を見るおじいちゃんのような気持ちになる。
「そうかそうか」
「もー。全然聞いてないでしょ。でも言うね。きっとびっくりして腰を抜かしちゃうよ。えっとね,私が周りを調べていたら少しだけだけど何かが燃えた跡があったの。これって絶対手がかりよ」
ああ,今日も立夏は可愛いな。俺は立夏の頭を思わず撫でてしまう。
「ふぇ? いきなり何するのよ。せっかく報告してたのになー。まあ,これも悪くはない,かな」
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