ある日,トカゲに転生~ダンジョン暮らしの少年は外の世界の強さが分からない~

ルー

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二章 人間での生活

第十二話 ギルマスに疑われた件

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 俺は今ギルドに報告に来ていた。
「へ? こんなにもとってきたんですか? これ雑草混ざってたりしてませんか」

 ギルドに戻ってきた俺は受付譲さんに驚かれるを通り越して疑われていた。
「してないですよ」

 俺はなんとか弁明するが全く信じてもらえていないようだ。

「えっと,これ全部薬草なんですね。それでは鑑定してきますのでしばらくお待ちください」

 受付譲さんは少しの薬草を持つとそう言ってギルドの奥まで走って行ってしまった。どうやら鑑定を使って確認するようだ。

 俺以外にも鑑定できる人がいるんだな。

(そりゃそうですよ。ただレベルは低いんじゃないですか)
あれ,でもシーにはレベルなんてなかったような。

 そんなことを考えていると受付譲さんが帰ってきた。そしてその後ろにはいかついおじさんが立っている

 そしてその男は俺の前に立った。身長は二メートルを超えるだろうか。ただ立っているだけで威圧感がある。

「おい,あの頑固のギルマスが出てきたぞ」
「なんだなんだ。まさかあの冒険者何かやらかしたのか」

 周りからは冷やかしの声が聞こえる。どうやらこの人がこのギルドのマスターのようだ。だがその冒険者たちもギルマスがひとにらみすると一気に静かになった。

 もしかしてこのギルマスが外に出てくることは珍しいのかも知れない。

 そんなことをのんきに考えているとギルマスが口を開いた。

「おいお前」
「はい」
「お前すごい量の薬草を採ってきただろう」
「はい」
「どこで手に入れた」
「はい?」
「悪いことは言わねぇからどこで買ってきたかいえ」

 あそうか。俺があまりにもたくさんの薬草を持ってきたからこのギルマスは俺がどこかから買ってきたと思っているんだ。

「えっと,俺はこれを今日採取してきました」
そういうとギルマスの顔が曇った。
「そうか,あくまで白を切るか。ならこっちにも考えがある」
どうしよう。すごく誤解されている気がするけど。ほんとに俺は薬草を採ってきたのに。

 そう思って弘樹が何とか誤解を解こうとするが話はさらに厄介な方へ進んでいく。

「今から俺と決闘しろ。もしお前が俺に勝てたらお前の実力を認める。もし負けたらおめぇの冒険者証ははく奪だ」

「そんな。俺はまだ冒険者になってすぐなんですよ」
「だから何だ。違反したものは罰す。それがギルマスとしての職務だ」

 ねえ,どうしよう。絶対何か誤解してるよね。決闘なんてやだよ。
(大丈夫です,弘樹。相手はそんなに強くありません。どうせ今まで戦いをしていなかった人なのでしょう。ここは弘樹の強さをみせつけてしまいましょう)

 そっか。あんまり強くないのか。それなら俺でも勝てるかも。だけど俺がこの決闘で勝ってもあまり利益がないな。

「分かりました。その決闘を受けましょう。ですがもし俺が勝った時にも何か下さい」
その瞬間周りから笑いが漏れてきた。

「おいあいつ馬鹿だろ。あのギルマスの決闘に乗るなんて」
「だな。あいつはギルマスの強さを知らないのか」

 そんな声が聞こえてくるが俺の気持ちは変わらない。シーいわく弱いらしいし大丈夫なはずだ。弘樹は見ず知らずの冒険者よりシーの言うことを信じる。

「そうか。何か報酬か。そうだな,お前が勝った時にはギルマス権限でお前を冒険者ランクBにしてやるよ」
「いいんですか。ありがとうございます」
「それじゃ,決闘場に行こうか」

 そしてギルマスはカウンターから出てくると決闘上のある所へと歩き始めた。

 ここでもギルドの設備は変わらないんだな。
(そうですね。左に練習場兼決闘上。右に酒場ですもんね)

 そう話しているうちに決闘場に着いた。そこはただの空き地に四角く線が書いてあるような場所だった。もっとコロシアムのような場所を想像していたので少し残念だ。そんなことを思っているとギルマスが剣を投げてきた。

「お前の使う武器は剣でいいな」

 剣を使ったことのない俺はどうしようか考える。今までの戦闘と言えば龍でしかやったことがない。だから剣なんてあってもうまく使える気がしない。人の時に使える武器と言ったら,日本で習った柔道かな。これでもなかなか強かったんだし剣よりはましだろう。

「えっと,俺は剣は使いません。素手で行きます」
「そうか」

 ふと周りを見るとそこには俺とギルマスの話を聞いていた他の冒険者が周りに集まっていた。酒を片手に持っていることから俺たちの試合を見ながらいっぱいやるんだろう。ギルマスは決闘上の四角形の端にいく。決闘場のルールが分からないので俺もギルマスと同じように端に行く。

「なあ,お前。名前は何て言う」
ギルマスが聞いてきた。
「弘樹です」

「そうか。俺はガルムだ」
「よろしくお願いします」
「なあ,なぜ俺との試合を受けたんだ」

 俺はその質問の意味が分からなかった。

「俺はこの辺りではかなりの腕利きだ。それは周りの反応から見えも分かるだろう。対してお前はEランク冒険者だ。なぜ負けるとわかっている試合をわざわざ受ける。俺は仕事上お前を罰さないといけないがもしお前が最初に認めていれば説教だけで終わったんだぞ」

 ああそういうことか,と納得する。そして俺は本心を伝える。
「それはですね,俺は負けないからです。そして俺はBランクになりたい。だからあなたの決闘を受けました。そして何度も言いますが俺は不正なんてしていません。これで十分ですか」

「俺に勝つ,か。面白い。それじゃあ始めようか」
そういうとガルムは剣先を弘樹に向けた。

「誰か審判をしてくれ」
そういうと冒険者の誰かが名乗りを上げた。そしてガルムが言う。

「これより俺と弘樹の決闘を始める。勝利条件はどちらかが降参するか気絶するまでだ。いいな弘樹」
「分かりました」
「それじゃあ審判,頼む」

そういわれた審判は大きく息を吸い言う。
「これよりガルドさん対弘樹の試合を始める。それでははじめ」

 こうして俺とガルムの決闘が始まった。
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