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第2話
13・帰宅
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なんだか釈然としないまま、俺は図書室をあとにした。
もちろん、身だしなみはきちんと調えた。制服のシャツなんて半分くらいズボンから引っ張り出されていて、とてもじゃないけどそのまま出られるような状態じゃなかったし。
くそ、額田のヤツ。次会ったらマジで許さねぇ。
とは言え、あいつをとっちめるにはどうすればいいいんだ? 暴力はダメ、つーかあいつに力で勝てるとは限らないし。
(さっきも、押し返せなかったもんな)
外見は俺よりヒョロッとしているのに、なんなんだ、あいつ。もしかして、武道とか護身術的なものでも習ってんのかな。だったら、俺も習ってみようかな。理由が「男に襲われかけたから」ってのは情けない気もするけれど。
そんなこんなでようやく帰宅すると、先に帰っていたナナセが「お兄ちゃん!」といつになく真剣な面持ちで駆け寄ってきた。
「お兄ちゃん、自分の名前言える?」
「……は?」
「だから名前! お兄ちゃんの!」
「──星井夏樹だけど」
「じゃあ、私の名前は?」
「星井ナナセ」
「今日のお昼ごはんは?」
「唐揚げ定食大盛り」
「最近よく聞く音楽は?」
「えっ……ええと『水上サーカス』とか『なーごん』とか?」
「なんだ、大丈夫じゃん」
ナナセは力まかせに俺の背中を叩くと、スマホに何やら打ち込みはじめた。
「痛って……なんだよ、いきなり」
「だって青野がヘンなメッセージを送ってくるから」
えっ、青野が?
もちろん、身だしなみはきちんと調えた。制服のシャツなんて半分くらいズボンから引っ張り出されていて、とてもじゃないけどそのまま出られるような状態じゃなかったし。
くそ、額田のヤツ。次会ったらマジで許さねぇ。
とは言え、あいつをとっちめるにはどうすればいいいんだ? 暴力はダメ、つーかあいつに力で勝てるとは限らないし。
(さっきも、押し返せなかったもんな)
外見は俺よりヒョロッとしているのに、なんなんだ、あいつ。もしかして、武道とか護身術的なものでも習ってんのかな。だったら、俺も習ってみようかな。理由が「男に襲われかけたから」ってのは情けない気もするけれど。
そんなこんなでようやく帰宅すると、先に帰っていたナナセが「お兄ちゃん!」といつになく真剣な面持ちで駆け寄ってきた。
「お兄ちゃん、自分の名前言える?」
「……は?」
「だから名前! お兄ちゃんの!」
「──星井夏樹だけど」
「じゃあ、私の名前は?」
「星井ナナセ」
「今日のお昼ごはんは?」
「唐揚げ定食大盛り」
「最近よく聞く音楽は?」
「えっ……ええと『水上サーカス』とか『なーごん』とか?」
「なんだ、大丈夫じゃん」
ナナセは力まかせに俺の背中を叩くと、スマホに何やら打ち込みはじめた。
「痛って……なんだよ、いきなり」
「だって青野がヘンなメッセージを送ってくるから」
えっ、青野が?
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