目が覚めたら、妹の彼氏とつきあうことになっていた件

水野七緒

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第5話

2・夢? 妄想?

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「うわあああっ」

 悲鳴をあげて、俺は勢いよく頭をあげた。
 やばいやばい、なに今の。
 夢? 妄想? それにしてはあまりにもリアルすぎて、心臓がバクバクいってんだけど。

「……星井?」

 向かいに座っていた山本が、ぽかんと口をあけて俺を見ている。手には食べかけの唐揚げ。そうだ、ここは学食で、俺らは昼飯を食っていたところだ。

「どうした? いきなり大声だして」
「えっ……ああ、いや、その……」

 恐る恐る周囲を見まわすと、いくつもの緑色の目が一斉に逸らされる。
 気まずい。それにめちゃくちゃ恥ずかしい。
 それでもなんとか平静を装って、俺は右手のスプーンを持ち直した。

「悪い、大声あげて」
「それはかまわないけど……マジでどうした?」
「いや、ちょっと……ウトウトしてたというか……」

 それにしても、さっきのはなんだったんだろう。
 ただの夢にしてはかなりリアルで、右足には未だ床を蹴ったときの感触が残っている。それと、宙に投げ出されたときの心許なさ。あのザワザワ感が、まだ腹のあたりにまとわりついている。

(そういえば、前に「西階段の踊り場」を見たのもここだったよな)

 学食でこんなふうにメシを食っているとき、ノイズ入りの映像として「西階段の踊り場」が浮かんできたんだった。
 ってことは、今回のこの白昼夢も何か関係がある感じなのか?
 たとえば──こっちの俺が実際にやらかしたこと、とか?

(だとしたら、すげーな)

 ケンカの勢いで飛び降りるなんて、そうそうできることじゃない。もしかして、こっちの俺、メンヘラ気味なとこがあるのかな。

(とりあえず八尾に報告するか)

 ほぼ具なしのカレーをかきこみながら、俺は親友の顔を思い浮かべた。
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