目が覚めたら、妹の彼氏とつきあうことになっていた件

水野七緒

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第6話

4・「あの日」の続報

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 たっぷり沈黙したあと、俺の口からこぼれたのは「え、マジで」だった。

「おう、マジマジ……つーか、その前にまずは『怪談話』をしたほうがいいよな」

 怪談? 場所が西階段なだけに?

「いや、ギャグじゃねぇから。……あのよ、今、1年の間でこんな怪談話が広まってるの、知ってるか?」

 八尾の話によると「西階段の一番上の踊り場から、男の叫び声が聞こえる。けれども、実際に行ってみるとそこには誰もいない」というものらしい。

「その噂が広まったのは1ヶ月近く前。つーことで、出所を探ってみたんだ。そしたら、大元は俺のバイト仲間と同クラの女子の体験談だったみたいでさ」

 なんでもその日、彼女は好きな男子に告白するために3階の踊り場付近で待機していたらしい。

「すると、最上階の踊り場から言い争うような声が聞こえてきたんだと。『飛び降りるぞ』みたいな物騒なやりとりがあって、そのあと2年の男子生徒がひとりだけ下りてきて……さらにそのあと、残された男子生徒の『バカ野郎、うわああああ』って声が聞こえてきたらしい」
「へ、へぇ」

 なんとなく、どこかで聞いたことのある展開だけど──それで?

「あまりにもすごい声だったから、彼女は驚いて駆けつけたわけだ。少し前に『飛び降りるぞ』って発言もあったから放っておけなかったんだろうな。ところが、声が聞こえたはずの最上階には──」
「誰もいなかった?」
「そのとおり」

 なるほど、そりゃ噂になるわ。どう考えてもホラーだもんな。

「どう思う? この話」
「どうもこうも──叫んだのは、たぶんこっちの世界の俺だろ」

 で、そのあと忽然こつぜんと消えちまった。
 ああ、くそ……嫌な展開だ。

「じゃあ、お前も俺の考察に同意するよな?」
「う……」
「こっちのお前は、青野とケンカした勢いで、本当に踊り場から飛び降りた。なのに、下に着地することなく姿を消した。それが意味するところは?」
「……わかってる」

 それが、俺たちが入れ替わるきっかけになった可能性は高い。
 しょうがねぇ、それは認めてやる。
 けど、俺の考察も聞いてくれないか。

「たしかに、飛び降りるのはきっかけになったかもしれねぇ……つーか、少なくともこっちの俺にとってはそうだったんだろうよ」

 けどさ、俺もそうだとは限らないよな?

「というと?」
「俺自身は『踊り場から飛び降りる』なんて行為は絶対にしない。そんな度胸ねーもん。でも、俺はこっちの世界に来ちまった。つまり……」
「つまり?」
「3つの可能性が考えられるんだよ」
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