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第4話
10・釈然としない
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星井に対する疑問が解決しないまま、昼休みが訪れた。
メドゥーサ女に捕まったナツさんをなんとか説得しなければ──そんな使命感のもと、まずは彼にメッセージを送る。
──「今日の放課後、会えませんか?」
すぐに既読がついて、ポコンと返信が表示された。
──「なんで?」
なんで……「なんで」?
一瞬、頭のなかが真っ白になる。なぜ動揺しているのか、自分でもよくわからないまま、俺は返答となるメッセージを入力した。
──「話があります」
既読。でも、返信はない。
仕方なく、追加でメッセージを送ってみた。
──「30分くらいでいいです」
──「時間は合わせます」
──「20分でもいいです」
3件とも既読はすぐについた。なのに、やっぱり返信だけが届かない。
迷った末に、俺はとっておきのメッセージを送った。
──「パンケーキおごります」
ようやく返信が表示された。
──「行ってあげてもいいよ」
めちゃくちゃ上から目線。それなのに、俺はホッと胸をなで下ろした。
よかった、これでナツさんを説得できる。
(絶対、何がなんでもメドゥーサ女と別れさせないと)
スマホを机に伏せたところで、星井が購買から戻ってきた。
「どう? なっちゃんに声かけた?」
「放課後、会うことになった」
「へぇ、さすがじゃん」
星井はニヤリと笑うと、買ってきたばかりの惣菜パンの封を切った。
「まあ、でも当然か。なっちゃん、青野からの誘いは基本断らないもんね」
何気ないその言葉に、心臓が跳ねる。
(そうだ、それだ)
さっき、頭が真っ白になった理由。
俺は、ナツさんに誘いを渋られるとは思っていなかった。なにか用事でもない限り、ふたつ返事でOKをもらえると思い込んでいたのだ。
なんてことだろう、思いあがりも甚だしい。
その一方で、なんとなく釈然としない思いもある。
だって、これまでのナツさんならひょいひょい応じてくれたはずだ。それこそ、パンケーキで釣る必要なんてなかったはずなのだ。
(つまり、それだけ本気ってことか?)
今はあのメドゥーサ女に夢中で、恋人とそっくりなだけの俺のことなんてどうでも良くなったってことだろうか。
なんとなくモヤつくものを覚えていると、惣菜パンをかじっていた星井が「ねえ」と声をかけてきた。
「放課後、私も一緒に行っていい?」
「いいけど、星井にはおごらないよ」
「それくらいわかってるし。ていうか、おごってなんて一言も言ってないじゃん」
まあ、そうだけど。
心のなかでそう返して、俺も母さんが作ってくれた弁当に箸をつけた。
今日のメインは、大きめな唐揚げだ。以前、ナツさんがうちに泊まりにきたときに「おいしいおいしい」といくつも頬張っていたやつ。
今、ここにナツさんが遊びに来たらひとつくらい譲るのに。
そんなことを考えながら、にんにくの効いた唐揚げをかみしめる。
その後、最後の最後まで唐揚げをひとつだけ残しておいたけれど、結局は俺の腹のなかにおさまってしまった。
それでもなお、俺は認めたくなかったんだ。
あの人が、俺よりもメドゥーサ女を優先させているだなんて。
メドゥーサ女に捕まったナツさんをなんとか説得しなければ──そんな使命感のもと、まずは彼にメッセージを送る。
──「今日の放課後、会えませんか?」
すぐに既読がついて、ポコンと返信が表示された。
──「なんで?」
なんで……「なんで」?
一瞬、頭のなかが真っ白になる。なぜ動揺しているのか、自分でもよくわからないまま、俺は返答となるメッセージを入力した。
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仕方なく、追加でメッセージを送ってみた。
──「30分くらいでいいです」
──「時間は合わせます」
──「20分でもいいです」
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迷った末に、俺はとっておきのメッセージを送った。
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ようやく返信が表示された。
──「行ってあげてもいいよ」
めちゃくちゃ上から目線。それなのに、俺はホッと胸をなで下ろした。
よかった、これでナツさんを説得できる。
(絶対、何がなんでもメドゥーサ女と別れさせないと)
スマホを机に伏せたところで、星井が購買から戻ってきた。
「どう? なっちゃんに声かけた?」
「放課後、会うことになった」
「へぇ、さすがじゃん」
星井はニヤリと笑うと、買ってきたばかりの惣菜パンの封を切った。
「まあ、でも当然か。なっちゃん、青野からの誘いは基本断らないもんね」
何気ないその言葉に、心臓が跳ねる。
(そうだ、それだ)
さっき、頭が真っ白になった理由。
俺は、ナツさんに誘いを渋られるとは思っていなかった。なにか用事でもない限り、ふたつ返事でOKをもらえると思い込んでいたのだ。
なんてことだろう、思いあがりも甚だしい。
その一方で、なんとなく釈然としない思いもある。
だって、これまでのナツさんならひょいひょい応じてくれたはずだ。それこそ、パンケーキで釣る必要なんてなかったはずなのだ。
(つまり、それだけ本気ってことか?)
今はあのメドゥーサ女に夢中で、恋人とそっくりなだけの俺のことなんてどうでも良くなったってことだろうか。
なんとなくモヤつくものを覚えていると、惣菜パンをかじっていた星井が「ねえ」と声をかけてきた。
「放課後、私も一緒に行っていい?」
「いいけど、星井にはおごらないよ」
「それくらいわかってるし。ていうか、おごってなんて一言も言ってないじゃん」
まあ、そうだけど。
心のなかでそう返して、俺も母さんが作ってくれた弁当に箸をつけた。
今日のメインは、大きめな唐揚げだ。以前、ナツさんがうちに泊まりにきたときに「おいしいおいしい」といくつも頬張っていたやつ。
今、ここにナツさんが遊びに来たらひとつくらい譲るのに。
そんなことを考えながら、にんにくの効いた唐揚げをかみしめる。
その後、最後の最後まで唐揚げをひとつだけ残しておいたけれど、結局は俺の腹のなかにおさまってしまった。
それでもなお、俺は認めたくなかったんだ。
あの人が、俺よりもメドゥーサ女を優先させているだなんて。
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