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第6話
13・違和感(その2)
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うん? どうかしたのか?
怪訝に思いながらも大ぶりな唐揚げを咀嚼していると、ナツさんは「あー」と情けない声をあげた。
「それ……おばちゃんの唐揚げ……」
「はい、まあ」
うちの母親が作ったものですから。それが何か?
そう聞き返そうとしたところで、ようやく俺は理解した。ナツさんが、俺の唐揚げを狙っていたことに。
(だったら「食べたい」って言えばいいのに)
どういうわけか、今日のナツさんは涙目で俺の口元を見つめるばかり。
その視線に居心地の悪さを覚えた俺は、仕方なく残り1個を差し出した。
「よかったらどうぞ」
「──へっ?」
「唐揚げ、食べたいんでしょう」
そのとたん、曇っていたナツさんの表情がぱあっと晴れた。
「いいの!?」
「ええ、まあ……」
「じゃあ、もらう! いただき──」
「なっちゃん」
星井の、ひやりとした声が割り込んできた。
「それ、青野の唐揚げだよ? 最後の1個だよ? きっと食べるの楽しみに取っておいたやつだよ? それでも食べるの?」
まあ、そのとおりではあるんだけど。悲しそうに眉をさげるナツさんの前では、肯定するのもいささか心苦しい。
「いいよ、べつに。俺、もう3個は食べてるし」
「ほんと!? だったら──」
「なっちゃん」
再び、星井がナツさんの名前を呼んだ。
ナツさんは、ビクッと背中を跳ねさせると「うーうー」と短く唸って唸って、さんざん唸った末、悲しそうに俺の手を押しやった。
「これは青野が食べて」
「ですが……」
「大丈夫、我慢する……オレ『星井夏樹』だから」
──うん?
「オレは星井夏樹……星井夏樹……星井夏樹……」
なるほど──なんとなくわかってきた。
俺は、星井を見た。星井は、海外ドラマの主人公よろしく、気取ったように軽く肩をすくめて見せた。
怪訝に思いながらも大ぶりな唐揚げを咀嚼していると、ナツさんは「あー」と情けない声をあげた。
「それ……おばちゃんの唐揚げ……」
「はい、まあ」
うちの母親が作ったものですから。それが何か?
そう聞き返そうとしたところで、ようやく俺は理解した。ナツさんが、俺の唐揚げを狙っていたことに。
(だったら「食べたい」って言えばいいのに)
どういうわけか、今日のナツさんは涙目で俺の口元を見つめるばかり。
その視線に居心地の悪さを覚えた俺は、仕方なく残り1個を差し出した。
「よかったらどうぞ」
「──へっ?」
「唐揚げ、食べたいんでしょう」
そのとたん、曇っていたナツさんの表情がぱあっと晴れた。
「いいの!?」
「ええ、まあ……」
「じゃあ、もらう! いただき──」
「なっちゃん」
星井の、ひやりとした声が割り込んできた。
「それ、青野の唐揚げだよ? 最後の1個だよ? きっと食べるの楽しみに取っておいたやつだよ? それでも食べるの?」
まあ、そのとおりではあるんだけど。悲しそうに眉をさげるナツさんの前では、肯定するのもいささか心苦しい。
「いいよ、べつに。俺、もう3個は食べてるし」
「ほんと!? だったら──」
「なっちゃん」
再び、星井がナツさんの名前を呼んだ。
ナツさんは、ビクッと背中を跳ねさせると「うーうー」と短く唸って唸って、さんざん唸った末、悲しそうに俺の手を押しやった。
「これは青野が食べて」
「ですが……」
「大丈夫、我慢する……オレ『星井夏樹』だから」
──うん?
「オレは星井夏樹……星井夏樹……星井夏樹……」
なるほど──なんとなくわかってきた。
俺は、星井を見た。星井は、海外ドラマの主人公よろしく、気取ったように軽く肩をすくめて見せた。
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