たかが、恋

水野七緒

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第3話

12・なぜ?

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 恋、恋──恋。
 それは、そんなに大事なことなのだろうか。

(どうせ、いつか別れるのに?)

 どんなに胸を焦がしたところで、結局は無駄になってしまうのに。

(ああ、でも……)

 じゃあ、どうして私は間中くんの頼みを引き受けたんだろう。
 彼の勢いに押されたから?
 結麻ちゃんの内面を好きになってくれたことが嬉しかったから?
 でも、もし間中くんと結麻ちゃんとうまくいったとして、ふたりはいつか結婚するのだろうか。

「……しないな」

 そんなの想像できない。つまり、私たちが頑張っていることも、いつかは全部無駄になるのだ。

(なのに、どうして……)

 深々とため息をついたところで、チャイムが鳴った。
 本日最後の、午後4時30分のチャイム。
 放課後の委員会活動はこれで終了、もちろん図書室も閉室だ。
 活動日誌を書いて鍵をかけると、職員室の図書委員専用ボックスに鍵を戻した。
 校舎を出ると、グラウンドからかけ声のようなものが聞こえてきた。「ファイトー、オー!」みたいな、よくあるやつ。たぶん、野球部かサッカー部だ。
 正門を出ると、グラウンド沿いに小道が続いている。いつもの私なら、夕焼けに照らされたその道を、脇目も振らずに通りぬけている。
 でも、今日はなんとなくグラウンドに目を向けてみた。
 サッカー部は、2チームに分かれて試合をしているみたいだ。

(あれかな……12番)

 間中くんは、青の「12」のゼッケンをつけている。そのそばには白の「2」番。ぴったりくっついて間中くんの動きを制限しようとしている。
 味方同士でパスをまわしているなか、間中くんは何度もフィールドの空いているところに走りだそうとしている。
 けれども、白の2番がきっちりついていくので、いつまでたっても間中くんはボールをもらえない。

(これか)

 瞬発力がどうのって言っていたの、あの「2番」から逃げるためのものなのか。けれども、今見ている感じでは「ぜんぜんダメ」──間中くんはマークをちっとも振り切れていない。

(トレーニング、ちゃんとやっているのかな)

 もしかしてサボってるんじゃないのかな。
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