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第7話
8・1番休憩(その1)
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人の噂も七十五日──というのは、あくまで噂の内容が更新されないことが前提らしい。
釣り銭が合わない状況は、あいかわらず続いていた。しかも、俺がバイトリーダーの日限定というのも変わっていない。
しつこいようだけど、俺自身は一切釣り銭には触れていない。坂沼がとんでもない嘘をついたせいで、今はヘルプでレジに入ることすら禁止されているのだ。
なのに、周囲からは疑いの目を向けられる。最近ではちょっと釣り銭が合わないだけで、一部のバイト仲間から「あれ、今日のバイトリーダーって若井だっけ」なんて声があがる始末だ。
それでも、俺は堂々と振る舞った。
ここで背中を丸めるのだけは、絶対に嫌だった。
だって、ここで屈したらくだらない噂を認めることになるだろう?
それだけは嫌だ。絶対に許せない。
なのに、大学の友人たちからは「お前痩せた?」と言われるようになった。
「そんなことないと思うけど」
「いやいや、絶対痩せたって」
「そうそう、頬とか絶対痩けたよな?」
そんなはずはない。
だって、メシは3食きっちり食っている。
以前のような無茶苦茶なシフトも入れられていないから、休みも適宜とれているはずだ。
釈然としないまま、バイト先に向かう。今日は21時であがれる上に、リーダー業務をやらなくてもいい日だ。
「若井、1番入って」
バイトリーダーからの指示が出たのは、ドリンク業務について2時間経ってからだった。ここで30分休憩したあとは、21時までまたドリンク業務を担当するか、洗浄業務にまわされるはずだ。
さて、何を飲もう。
休憩時間は、好きなドリンクを無料で頼むことができる。
迷った末、俺は新商品の「マシュマロ・チョコラテ」を頼むことにした。ホットのほうがうまそうだったけど、店内は暖かくて汗をかいていたからアイスドリンクにしてもらった。
グラスを受け取り、バックヤードのドアに手をかける。
(……は?)
ドアが、開かない。どうやら鍵がかかっているらしい。
中からは坂沼さんの笑い声が聞こえてきた。
カッとなった俺は、力まかせに何度もドアノブを引っ張った。
けれども、内側から鍵をかけられているのだ。その程度でドアが開くはずがない。
ノックもしてみたが、当然無視された。
気づけば、休憩に入ってからすでに15分が過ぎていた。30分あったはずの休憩時間は、もう半分も残されていない。
(ふざけんなよ、この野郎)
ドアを蹴飛ばしたい衝動に駆られたものの、ギリギリのところで踏みとどまる。沸騰した心を抱えたまま、俺は従業員用の出入口に手をかけた。
釣り銭が合わない状況は、あいかわらず続いていた。しかも、俺がバイトリーダーの日限定というのも変わっていない。
しつこいようだけど、俺自身は一切釣り銭には触れていない。坂沼がとんでもない嘘をついたせいで、今はヘルプでレジに入ることすら禁止されているのだ。
なのに、周囲からは疑いの目を向けられる。最近ではちょっと釣り銭が合わないだけで、一部のバイト仲間から「あれ、今日のバイトリーダーって若井だっけ」なんて声があがる始末だ。
それでも、俺は堂々と振る舞った。
ここで背中を丸めるのだけは、絶対に嫌だった。
だって、ここで屈したらくだらない噂を認めることになるだろう?
それだけは嫌だ。絶対に許せない。
なのに、大学の友人たちからは「お前痩せた?」と言われるようになった。
「そんなことないと思うけど」
「いやいや、絶対痩せたって」
「そうそう、頬とか絶対痩けたよな?」
そんなはずはない。
だって、メシは3食きっちり食っている。
以前のような無茶苦茶なシフトも入れられていないから、休みも適宜とれているはずだ。
釈然としないまま、バイト先に向かう。今日は21時であがれる上に、リーダー業務をやらなくてもいい日だ。
「若井、1番入って」
バイトリーダーからの指示が出たのは、ドリンク業務について2時間経ってからだった。ここで30分休憩したあとは、21時までまたドリンク業務を担当するか、洗浄業務にまわされるはずだ。
さて、何を飲もう。
休憩時間は、好きなドリンクを無料で頼むことができる。
迷った末、俺は新商品の「マシュマロ・チョコラテ」を頼むことにした。ホットのほうがうまそうだったけど、店内は暖かくて汗をかいていたからアイスドリンクにしてもらった。
グラスを受け取り、バックヤードのドアに手をかける。
(……は?)
ドアが、開かない。どうやら鍵がかかっているらしい。
中からは坂沼さんの笑い声が聞こえてきた。
カッとなった俺は、力まかせに何度もドアノブを引っ張った。
けれども、内側から鍵をかけられているのだ。その程度でドアが開くはずがない。
ノックもしてみたが、当然無視された。
気づけば、休憩に入ってからすでに15分が過ぎていた。30分あったはずの休憩時間は、もう半分も残されていない。
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ドアを蹴飛ばしたい衝動に駆られたものの、ギリギリのところで踏みとどまる。沸騰した心を抱えたまま、俺は従業員用の出入口に手をかけた。
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