モフモフ野郎と俺の朝ごはん

水野七緒

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第8話

2・神森の言い分(その2)

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違う? 何が?
あいつのアレが同情じゃなけりゃ、一体なんだっていうんだよ。
つい声がとがってしまう俺に、神森はまたもや「んー」とうなり声をあげた。

「これ、前にも言ったかもしれないんだけど。尊くんが、叶斗くんを助けたいって言ってきたとき、俺は一度止めてるのね」
「……止める?」
「そう、止めてるの。そんなの叶斗くんは望んでないからって。バレたら、絶対キレられるって」

まあ、そのとおりだ。
実際ぶち切れて、あいつを追い出したわけだし。

「でもさ、俺のその意見に対して、尊くんは首を傾げたんだよね。『まったく意味がわからない』って感じでさ」

こんなふうに、と神森は実際に首を傾げてみせた。

「で、そのあとこう言ったの。『お前は、友人が困っているとき手を貸さないのか?』って」

俺は、視線を落とした。
そのときの大賀の表情を、声を、俺はたやすく想像することができた。

(ああ、くそ)

真顔で首を傾げるあいつ。
淡々とした口調のあいつ。
表情よりも感情豊かな尻尾も、たぶんこのときは動いていない。
だって──

「わかる? 尊くんにとって、叶斗くんは『友達』なんだよ。『友達』だから『助けたい』──ただそれだけなんだよ」
「……」
「たしかに、尊くんは天才で神童で、人間だったときから別格な存在だったけどさ。だからって俺たちに『手を差し伸べなければ』なんて思っていない。単純に『友達だから心配』で『心配だから手を貸したい』ってだけなんだよ」
「……っ、それは……」

わかる、わかるけど!

「それが余計なお世話だって言ってんだろ!」

ああ、ダメだ。
やっぱり感情がついてきてくれない。
ちっぽけな俺は、あいつの純粋な善意をどうしても受け入れることができない。
頑なに耳を閉ざし「そんなの知らない、聞いてない!」と地団駄を踏んでしまうんだ。

「呆れてるだろ」
「ん?」
「俺のこと……頑固でちっちゃいヤツだって」

情けねぇ。
ほんと情けねぇ。
けれど、神森は空気が読めなさそうで、実はめちゃくちゃ読めるヤツだ。

「そんなこと思ってないって」
「……嘘つけ」
「ほんとほんと。だって知ってるもーん。叶斗くんにとって、尊くんは誰よりも特別な存在だって」
「……っ、うるせぇ!」

前言撤回。
こいつ、やっぱ空気読めねーわ。

「あいつは特別なんかじゃねぇ。ただの元ライバルだ!」
「ハイハイ、ライバル、ライバル」

くそ、バカにしやがって。
腹立ちまぎれに、まだ半分以上残っているカップ麺に箸を突っ込む。
汁を吸って2倍くらいの太さになった麺は、ふにゃふにゃでひどく不味くて、なんだか俺は泣きたくなってしまった。
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