学科魔法士の迷宮冒険記(最終版)

九語 夢彦

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3章 迷宮防衛都市

3章ー7:異世界混血児の宿命と、【逢魔が時】

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 目的地の依頼所へ続く街路をてくてく進む命彦達の視界に、前方から歩いて来る1組の夫婦の姿が映った。
「あら、目が緑色で青い髪? 亜人かしら? 見た目は人間そっくりだけど……」
「耳を見ればわかるぞ? うろこがある。多分【人魚マーメイド】族の女性だ」
 ゆっくりとこちらへ歩いて来る、日傘を差す1組の若い夫婦。
 どうやら魚人種魔獣【人魚】族の女性と、日本人男性の夫婦らしい。
 本来は下半身が魚体ぎょたいである筈のマーメイドだが、種族的に魔法に長けているため、精霊儀式魔法《人化の儀》を限定的に使い、下半身を人間の足腰に再構築して、歩いている様子であった。
 夫婦の後ろには保育園の団体よろしく、十数人の幼児が手を繋いで歩いている。耳に母親と同じ鱗が見えるため、全員2人の子どもであろう。マーメイドは亜人種族でも、特に子の多い種族であった。
 すれ違う夫婦と子ども達を見て、メイアが小声で言う。
「子だくさんで幸せそうね、あの一家は?」
『ええ。他人にとやかく言われるのはあの者達も心外でしょうが……できればいつまでもむつまじく過ごして欲しいものです』
「ああ。家族全員ですこやかに過ごしてほしいもんだよ。そしてできれば、あの子達が異世界混血児としての恵まれた力を活かし、学科魔法士としてこの街を守ってほしい」
 マーメイドの一家を見送りつつ、命彦が祈るように紡いだ言葉に、ミサヤとメイアもコクリと首を振った。
 亜人と地球人類との間に生まれた子ども、異世界混血児。
 亜人が多く住むため、日本の迷宮防衛都市では思いのほか亜人と日本人との婚姻が多く、異世界混血児が多数生まれていた。
 実は亜人を多く保護している地球の国では、亜人と自国民との婚姻が積極的に進められており、異世界混血児を生むことが国策で推進されている。
 こうした国における亜人達の価値は、異世界の情報源であることに加えてもう1つ、優れた魔法的素養を有する異世界混血児を生み出すことにもあった。
 亜人は地球人類よりも、身体能力や感覚器官が発達していることが多いが、特に人類と差があるのが魔法能力の高さであり、異世界混血児は親である亜人の力を受け継ぐため、普通の地球人類よりも魔法能力が優れている。
 つまり、異世界混血児を学科魔法士として多く育成すれば、普通の地球人類の魔法士達よりも、質の高い戦力を確保できるわけである。
 早い話が、国防戦力の効率的拡充のために、亜人との婚姻は推進されていた。
 日本も消極的ではあるが、亜人と自国民との婚姻を後押ししており、亜人と結婚した日本人は、色々と経済的特典が付いた。
 勿論、この特典は多くの異世界混血児を生み、育ててもらうためのモノである。
 命彦の言葉は、こうした打算的事情を背景にしたモノであるが、切実に祈願していることでもあった。
「魔獣達が出現してから世界的に人口が激減した。多子化を促進する医療技術も確立されたが、それも現状維持がやっとだ。魔獣達の出現が続く限り、人口が減ることはあっても増えることはねえ。【魔晶】がある限り、地球人類の人口が全盛期まで戻ることはもはやあり得んだろう。だからこそ、亜人の力がいる」
「そうね。亜人はその生涯で多くの子を産むわ。しかも、その子ども達は優れた力を持つ者が多い。現状維持にせよ人口増加にせよ、次世代の魔法士達が高い自衛能力、防衛戦力を持つことが前提よ? その意味では、こういう言い方は嫌だけど……亜人達の産む子ども、特に異世界混血児は、人類側の防衛戦力の底上げに必要不可欠の要素だわ」
『亜人も馬鹿ではありません。それが自分達に求められている役割だと理解した上で、この地球に暮らしている筈です。実際、日本に住む亜人達は都市へと溶け込めるように自ら努力し、自分達へ求められる役割も受け入れている。言い方程度にいちいち気を遣わずともいいでしょう。亜人達も全て承知した上で、一緒に生活しているのですから』
 命彦達はそう話し合い、マーメイドの力をぐ子ども達から、前方へと視線を戻した。

 【魔晶】と魔獣達の出現によって、人口減少が加速した地球各国では、日本が確立した多能性万能細胞作製技術を活用し、少子化の抑制と多子化の促進が積極的に行われ、不妊症にも終止符が打たれていた。
 日本も他国と同様の道を選択し、自国が開発した医療技術で少子化問題を解決したが、そこからさらに日本は1歩踏み込み、一部の魔法先進国と同様に多子化政策を積極的に推進して、魔法士の量産と早期育成に力を注いだのである。
 魔法の源泉たる力、魔力は、魂ある全ての生物に宿る力であり、魔法の素養は、あらゆる生物、あらゆる人々の内に、等しく宿っていた。
 しかし魔法的素養の高さ、魔法の才覚については、残酷過ぎる個人差があり、数週間の基礎訓練で魔力を目覚めさせ、初歩の魔法を使い始める子もいれば、10年近く修練してやっと魔力が目覚め、初歩の魔法を使う子もいたのである。
 魔法士を増やすことは前提としても、国としてはより短期間で、しかも効率よく、優れた魔法士を増やしたかった。
 そのために、魔法的素養の高い子ども、具体的に言うと、基心外精霊を簡単に認識したり、魔力を増やす修練もせずに常人の倍ほどの魔力量を生まれつき持っていたり、消費した魔力がすぐに回復したりする、高い魔法能力を秘めた子ども達にこそ、多く生まれて欲しいのである。
 こうした魔法能力に優れた子どもを増やす1番手っ取り早い方法が、亜人との婚姻、混血であった。
 特定の修練を積むことで初めて魔力が目覚め、魔法を使う力を得る地球人類とは違い、魔法が当たり前にある異世界で生まれた亜人は、先天的に魔力が目覚めており、それこそ生まれた時からでも、使おうと思えば初歩の魔法が使える。
 地球人類にも、亜人を凌駕する高い魔法能力を持つ者はちらほらいるが、平均的に見ると、どうしても亜人達の方が、地球人類よりも高い魔法能力を持っていた。
 亜人と地球人類との間に生まれた異世界混血児達も、親の持つ高い魔法能力を受け継ぎやすく、特に母親が亜人の子どもは、身体的特徴が母親である亜人側に寄るため、親譲りの高い魔法能力を受け継いでいることが、極めて多かったのである。
 日本は、亜人を積極的に保護する国の1つではあるが、同様の姿勢を示す他国のように、亜人と自国民との婚姻を促進させる、見合いじみた政策は取っておらず、亜人と国民との関わりについては、個人の好きにさせていた。
 しかし、高い魔法能力を持つ子どもを生んだ家庭には、日本政府が生まれた子どもの人数に応じて、経済面で相当の補助を行うという、多子化政策上の補助制度があるため、魔法能力の高い子を多く生む意味で、亜人と日本人の婚姻を消極的に促進している。
 これをつつましいと捉えるのか、狡猾と捉えるのかは人に寄るが、当人達が幸せであり、また国益からみても良い結果が得られるのであれば、それでいいのでは、というのが今の日本人の一般的見解であった。

 マーメイド一家を見送った後も、歩き続ける命彦達。
 目的地である依頼所、【魔法喫茶ミスミ】を視界の端に捉え、命彦達が少し歩みを早めたその時であった。
 頭上高くに投影されていた平面映像が、突然警報を発して切り替わる。
 命彦達も思わずその場で立ち止まり、平面映像を見上げた。
 耳に心地よい流行歌を歌う亜人の女性歌手達の映像から、報道番組の女性司会者の映像へと画面が切り替わる。
『この時間は、昨今話題の3人組亜人歌手、【精霊歌姫エレメンタルディーバ】の特集番組をお送りしておりましたが、先ほど迷宮速報が入りましたので、速報を優先してお伝えします』
 厳しい表情を浮かべる女性司会者から、迷宮速報という言葉が出た瞬間であった。
 周囲の喧騒がシンッと静まり返る。女性司会者の声が街に響いた。
『先週から【魔晶】の異常が確認されておりました、関東迷宮【巨人の洞窟】と、九州迷宮【妖魔の火山】において、本日午後2時50分頃、国家魔法士員会は【逢魔おうまとき】の発生を認定したとのことです。繰り返します。本日の……』
 女性司会者の言葉に衝撃を受けたのか、静まり返っていた周囲の人々がざわめき始める。
 空間に投影されていた平面映像が、女性司会者から切り替わって、どこかの迷宮防衛都市の、【迷宮外壁】近くまで押し寄せる魔獣達の群れを映し出した。
 映像は、関東迷宮【巨人の洞窟】と隣接する、関東地方の迷宮防衛都市のモノらしい。
 命彦は周囲の騒ぎも意に介さず、空に投影された映像の、地面を埋め尽くす魔獣達の姿を、ミサヤと一緒に見ていた。
「ミサヤの懸念、見事に当たっちまったようだぞ? 今年初めての【逢魔が時】の発生だ。それも関東と九州、2つの迷宮で同時にだとさ?」
『そうですね。まあ、何がしかややこしい事態が起こっているとは思っていましたが、まさか懸念した通り、本当に【逢魔が時】が起こるとは……しかも、2つの迷宮で同時にですか。さすがに私もこれは想定外でした。確か日本では初めてのことですね、複数の迷宮で同時に【逢魔が時】が発生したのは?』
「ああ。日本では複数の迷宮で、1カ月置きに連続で【逢魔が時】が発生したことはあったが、海外みたく複数の迷宮でほぼ同時に【逢魔が時】が発生したことはねえ。国家魔法士委員会も対応するのは今回が初めての筈だ」
 命彦は、心配そうに顔をり付けて来るミサヤに触れて、重いため息をついた。
 【逢魔が時】。それは年に数回ある、【魔晶】の異常暴走現象のことであった。
 月に1度くらいの頻度で、3000体前後の魔獣を地球に召喚する【魔晶】が暴走して、1日に1度という極めて短期間で、しかも不特定多数の魔獣達を連続して召喚し、迷宮から魔獣があふれて、迷宮防衛都市へと津波のように押し寄せて来る。
 それが、【逢魔が時】という災厄であった。
 【逢魔が時】は、人類と魔獣との戦争、まさに国家的非常事態に分類される災害である。
 不定期に発生し、放置しておけば数十万単位の魔獣達が押し寄せて来る【逢魔が時】は、世界各地の迷宮でも多数発生しており、自国内にある幾つかの迷宮で、これが同時多発的に発生した国は、国家の滅亡と言ってもいいほどの、壊滅的被害を出していた。
 無論、実際に滅んだ国もある。
 数カ月置きに発生したかと思えば、1度の発生でおぞましい数の魔獣を召喚し、翌年まで発生が止まったりと、発生の周期が読みにくく、出現する魔獣の戦力にも激しい差があるため、【逢魔が時】への対処は常に慎重さと敏速さが求められた。
 相手が生物であり、しかも複数の魔獣種族が入り混じるため、進攻して来る魔獣達の行動が予測しにくく、人的・物的被害を皆無でやり過ごすことが難しい。
 必ずどこかで被害が出てしまう、極めて面倒で対応の難しい災害。
 それこそ、【逢魔が時】の恐ろしさである。
 月に1度くらいの頻度で魔獣達を召喚していた【魔晶】が、召喚頻度を急激に増やして、1日に1度まで魔獣の召喚頻度が増えると、【逢魔が時】の発生が国に認定された。
 今回はその【逢魔が時】が、日本で初めて、複数の迷宮で同時に発生したわけである。
 見かけとしては落ち着いているものの、命彦はジワジワと自分の心に湧いて来る怖れを感じていた。
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