120 / 137
終章 決戦
終章-9:軍と警察と依頼所、事情聴取と許可要請
しおりを挟む
開発棟を出た命彦は、【精霊本舗】の店舗棟2階に行き、食堂を通り過ぎて会議室を目指し、廊下を歩いた。
2階も人の気配がまばらであり、宴会の用意で従業員のほとんどが地下階に行っていることがうかがえる。
2階の会議室は4室あったが、そのうち2室が今は従業員の子ども達のための保育施設へ改装されていた。
命彦は舞子を連れて、電灯の消えた保育施設と廊下を隔てて対面にある会議室へと入室する。
会議室には、自分のポマコンで報道番組を見ていたメイアがおり、入室した命彦に言った。
「あら、親方との話はもう済んだの? 意外と早かったわね。もう少しかかるようだったら、呼び出そうと思ってたんだけど」
「俺の魔法具の製作依頼と、舞子の契約の話だけだ。30分もありゃ十分終わるさ。そっちも宴会の用意は終わったのか? 時間通りに始められそうか?」
「少し微妙ね? 私がする分の仕事は終わったけど、宴会料理の仕込みが一度手を止めたせいで、少し遅れてるらしいわ。午後6時にお店を閉めて、すぐ始められるかどうかは料理次第ね? 空太達の親による事情聴取の時間も、どのくらいで終わるのか不透明だから、開宴が多少遅れるくらいの方が、私達にとっては都合がいいんだけど……あ、そうそう。私や勇子、空太の家族も、決起会に参加したいって言ってるんだけど、いいかしら?」
「参加するのは別に構わんが、めでたい宴席じゃねえぞ? 戦うための士気高揚を目的とした宴会だ。それは知ってるのか?」
「知ってるわ、私から話したもの。暗い報道ばかりが耳に入るから、きっと皆も息抜きがしたいのよ……」
メイアが、自分が見ていたポマコンの平面映像に視線を戻しつつ、憂鬱そうに言う。
「暗い報道、ですか?」
「あんまり聞きたくねえ情報ってことだろ」
命彦と舞子は顔を見合わせ、メイアの見る平面映像を一緒に見た。
平面映像には、都市自衛軍や都市警察の魔法士達と魔法機械達が、塀のように高い土塁を築き、迫る魔獣の群れと激しく戦闘している場面が映っていた。
メイアが口を開く。
「思ったよりも戦力の消耗が激しいみたい。魔獣の数が多過ぎるのよ。警察の魔法士達が30分くらい前から軍の魔法士に合流して戦闘へ加わり、防衛線の戦力は増えてるのに、魔獣の討滅時間は短縮するどころか少しずつ延長していってるんですって」
「それってもしかして、防衛線の戦力が増えた分以上に、魔獣側の戦力が増えてるってことですか?」
舞子がメイアを見る。メイアは平面映像を見たまま、小さく首を縦に振った。
「そういうことでしょうね。この報道番組に招かれてる軍の関係者の話じゃ、明日の明け方まで防衛線が維持できるかどうかは、微妙らしいわ。魔獣側の勢力がこれ以上増えたら、多分本格的にマズいと思う。あと、さっき報道されてたんだけど、眷霊種魔獣による都市の被害結果がようやく集計されて、死者が63人、重軽傷者が3396人確認されたらしいわね? 人通りの多い時間帯に、眷霊種魔獣が都市に入り込んで戦闘を起こしたにしては、人的被害が奇跡的に抑制されてるって、軍の関係者があんた達のこと褒めてたわよ?」
死者が出ているため、褒められた嬉しさを堪えつつ、舞子が少し頬を震わせて問い返す。
「ほ、報道番組で私達個人についての言及があったんですか?」
「まさか。最初に魔獣を発見し、対処した一般の魔法士達と、軍や警察の魔法士が到着するまで、眷霊種魔獣をその場に引き止めた一般の魔法士は、魔法士としての責務をよく果たしたって、一般の魔法士括りで褒められただけよ」
「そ、そうですか」
舞子が苦笑していると、会議室の扉が開いた。勇子と空太が会議室に入室する。
「うーい、遅れたわ」
「命彦はもういるかい? あ、いたいた、舞子も一緒か。親方との話はもう済んだ?」
「ああ。空乃さんと拳人さんは?」
命彦が問い返すと、勇子達に続いて、迷彩柄の〈迷宮衣〉を着る都市自衛軍の魔法士と思しき女性と、濃紺色の〈迷宮衣〉を着る都市警察と思しき男性が、会議室に入室した。
「今、来ましたよーってね? ご無沙汰だったわね、まーちゃん」
「失礼する。ふむ、二度も倒れたというワリには元気そうだ、安心したぞ。まー坊」
「空乃さん、拳人さん、ご足労いただきありがとうございます」
命彦が軍の女性魔法士である空太の母親と、警察の男性魔法士である勇子の父親に頭を下げる。
すると、その2人の後ろからもう2人、梢とミツバが現れた。命彦がフッと笑う。
「梢さん達も一緒だったのかよ?」
「当然よ。依頼所は今後、義勇魔法士部隊を組織して、軍や警察に手を貸すからね?」
「特別に事情聴取に立ち合わせてもらったんですよ」
「そうだったのか。色々と手間が省ける」
梢とミツバに笑顔を返し、命彦が会議室の扉を閉めると、空太の母親が言う。
「それじゃあ、早速聞き取りを始めましょうか? 私達がここにいられる時間も限られてるしね、鬼土警視長?」
「うむ。これでも忙しい身の上だ、早く終わらせよう」
2人の言葉で室内の全員が椅子に座り、事情聴取が始まった。
5分ほどの質疑応答で自分の知る眷霊種魔獣についての情報を話した命彦に、空太の母親が難しい顔で問う。
「それじゃあ、眷霊種魔獣が商業地区に突然出現した目的は、メイアちゃんとまーちゃんの殺害、及び捕食ということでいいのね?」
「はい。眷霊種魔獣自身が思念でそう語っていました」
「私も、自分のことを主菜と呼ぶ、眷霊種魔獣の思念を聞いています」
「ふーむ。眷霊種魔獣は、形はどうあれ他者の命を奪うことを特に好む。自分達以外の生物は全て餌であり、遊び道具という認識を持つ上、一度決めた獲物はとことんまで追い回し、必ず捕食する習性を持っている。軍や警察の魔法士による横槍で、楽しみを邪魔されたのだから、もう一度まー坊達の前に現れる可能性は極めて高いぞ?」
勇子の父親が腕組みして考え込む。その横で、空太の母親が命彦にもう一度問うた。
「そこも気がかりですが、私はもう1つ、どうやって眷霊種魔獣が、まーちゃん達が神霊魔法や源伝魔法の使い手と知ったのか、それも気がかりです。もう一度聞きますがまーちゃん、眷霊種魔獣はまーちゃん達の戦闘を見ていた者から、記憶を転写したと言ったのですね? 奪ったとは言わずに?」
「はい。転写したと言っていました。これは俺の主観ですが、記憶を転写させてくれた相手を、自分と同格と見ている節がありました」
命彦の言葉に、空太の母親が考え込む。
「主観的判断で物事を考えるのは危険ですが、関東と九州にも2体ずつ現れていますし……関西でも眷霊種魔獣の2体目について、真剣に警戒しといた方がいいかもしれませんよ、鬼土警視長?」
「うむ。しかし、仮に2体いたとすれば、どうして1体だけが表立って行動しているのだろうか?」
「それは分かりません。ですが、眷霊種魔獣が1体だけだと想定して動き、2体目が出現した時の部下達の動揺を考えると、最初から2体いると想定して警戒している方がよいと思います」
「むむ、確かに」
まだ判断を迷っている様子の勇子の父親へ、命彦が言う。
「必要とあれば、戦闘時の俺の記憶を見せますが?」
「いや、それは不要だ」
「私も遠慮しておきましょう。今のまーちゃんの記憶には、魅絃さんを傷付けられた時の憤怒の念がこびり付いている筈。私達が記憶を読む時にその感情にあてられることもあり得ます。戦場へ出て、部下の命を預かる立場ですからね? 戦闘前に冷静さを欠く要因は、できる限り排除したいのですよ」
「しかし、それでは俺の発言の信憑性が……」
「そこは子どもの頃から知っている、ワシらのまー坊への評価で、発言の真偽を判断している。都市の危機を分かっていて、わざわざ嘘をつく愚か者でもあるまい?」
「それはまあ、そうですが」
「眷霊種魔獣が出現すれば、どうせすぐに分かることです。この際、些事は省略しましょう」
そう言ってくすくす笑う軍と警察の高官2人。
会議室の空気が一瞬緩んだこの時に、命彦は自分の本題を切り出した。
「分かりました。……では、俺を信頼してくださっているお2人に、1つ許可をいただきたい。依頼所所長代理の梢さんからも、許可が欲しい」
「許可? どういうこと、命彦?」
梢の問いに対し、命彦は空太の母親と勇子の父親を見つつ答えた。
「俺とメイアは、義勇魔魔法士登録をして戦場へ出るつもりです。そうすると、眷霊種魔獣と俺達が再戦する可能性も相当高いでしょう。この時に、義勇魔法士に与えられた持ち場、任務を放棄して、眷霊種魔獣と全力で戦える許可が欲しいのです」
「ふむ、そういうことか。一度負けた相手に、もう一度仇討ちを挑むと?」
「はい。一度負けたからこそ、次は勝てます。いや、勝ちます。そのための用意を、今していますので」
命彦の感情の込められた言葉を聞き、空太の母親が言う。
「義勇魔法士として戦場に出る以上、その戦場における自分の持ち場、任務を設定される。たとえ都市防衛にどれほど益をもたらそうとも、任務を放り出した義勇魔法士には重罰が科される。しかし、軍や警察、あるいは依頼所のいずれかから、その場で別の任務を設定されれば、現場判断と言う形で、最初の任務を放棄しても不問とされる。事前に私達から独断行動の許可を得ておき、戦場で自分達に都合のいい任務を、梢ちゃんに作ってもらうつもりね?」
「ご明察です。依頼所の所長は、自分の依頼所に所属する義勇魔法士達を率いる立場にあり、今の梢さんは依頼所の所長代理、その立場を承継している。義勇魔法士に割り振られた任務を、現場判断で書き換えることが許されています。しかし、軍や警察の判断が当然優先されますから、いざ新しい任務を梢さんが創出しても、それがその場で許可されるかどうかは不透明です。であれば、最初から軍や警察の許可をもらっておけばいいと、そう思いました。勿論、これは祖父ちゃん達の受け売りですが」
命彦の言葉を聞いて、空太の母親と勇子の父親が頭痛を堪えるように、頭を押さえた。
「そう言えば昔、刀士先生や結絃先生も都市自衛軍を抜けた後、軍と警察の高官を抱き込んで、独断行動の事前許可をもらってから、眷霊種魔獣や高位魔獣とよく戦ってたわね? 弟子のまーちゃんにもそういう方法を教えていたとは……やれやれ」
空太の母親が呆れたように言う横で、勇子の父親が問う。
「まー坊、もしワシらが、事前許可を出さんかったらどうするつもりだ?」
「他の方から事前許可を得られるよう、手を尽くします。幸い、店が取引している方は軍や警察にも多いので、誰か一人くらいは許可を出してくださるでしょう」
笑顔で言う命彦の据わった眼を見て、命彦の決意と覚悟が想像以上に固いことを、その場にいる全員が知った。
絶対に戦うと、命彦の笑顔が告げている。その笑顔を見て、メイアだけがクスリと笑っていた。
空太の母親が苦笑して言う。
「止めるだけ無駄、という顔をしてますね……どういう手を使っても、許可を得るつもりですか。いいでしょう。都市自衛軍に関しては、私が許可を与えます」
「いいのか、風羽一佐?」
勇子の父親が慌てて問うと、空太の母親が命彦を見て答えた。
「まーちゃんがここまで軍や警察から許可を取ろうとしているのは、自分が重罰を受けることで、家の歴史や師の顔、お店の看板に泥を塗ることを、避けたいがためです。加えて言えば、自分と付き合いがある全ての者達、私達のことまでも考えて、許可を得ようとしている。重罰を受けることに対して、まーちゃん自身は屁とも思っていません。ただその一方、自分が重罰を受けることで、周りに出る影響や不利益は物凄く気にしている」
「う、むう」
「16歳の子どもがそこまで気を遣って、母親を傷付けた眷霊種魔獣を必死に討滅しようとしているのですよ? 多少応援してあげても罰は当たりません。まあ、条件は付けますが」
「条件、とは?」
途端に表情を硬くした命彦。その命彦の横にいたメイアが神妙に問うと、空太の母親はすぐに答えた。
「軍と警察に〈転移結晶〉を30ずつ寄付すること。これを許可を与える条件とします」
この空太の母親の発言に、勇子と空太、舞子が凍り付いた。空太が命彦を庇うように言う。
「か、母さん! それはあんまりだよ! 〈転移結晶〉は1つ100万円もする魔法具だ。それを軍と警察にそれぞれ30個ずつ寄付しろって、6000万円寄付しろと言ってるのと同じだよ!」
「ほ、法外です……」
舞子も条件に驚き、命彦と空太の母親を心配そうに交互に見る。
「ほんまやで! 足元見過ぎやわ!」
勇子も立って怒りを露にすると、勇子の父親が口を開いた。
「黙っとれアホ娘。……いいだろ、ワシもそれで手を打とう。警察もその条件を呑むのであれば、許可を出す」
「オトンまで同意しおったっ! 人格腐っとんちゃうんか!」
「じ、実の父親に対して腐っとるだと、こんのアホ娘が! ワシらは軍や警察のモンとして、まー坊と話しとるんや! 果たすべき責務がある、組織人として守るべき一線があるんや! 公私混同はでけんと、いつも家で言うとるやろが!」
警視長という顔が剥がれ、素が出たらしい勇子の父親が、激しい剣幕と関西弁で勇子を叱る。
しかし勇子は言い返した。
「ちょっとくらいええやんけ! 命彦は都市防衛に役立つことをしようっちゅうねんで!」
「それは理解していますが、三葉市の防衛という見地から見て、どういう結果をもたらすのかはまだ未知数です。許可を出す以上、私達には許可した責任が伴う。成功と失敗の双方の可能性を見て、保障が必要でしょう?」
空太の母親は酷く冷静に言い、命彦をまっすぐに見た。
「で、どうですかまーちゃん。この条件、呑めますか?」
命彦はメイアや梢、ミツバと顔を見合わせ、笑顔を浮かべて頭を下げた。
「ありがとうございます。お気遣い感謝します、空乃さん、拳人さん。こちらは条件を呑みます」
「「ま、命彦!」」
勇子と空太が唖然とし、舞子も絶句する。その3人を無視して、空太の母親は椅子から立ち上がった。
「決まりね? 梢ちゃん、あとは任せたわ。行きましょうか、鬼土警視長?」
「ああ。……後始末はワシらがしてやる。やれるだけやってみい、まー坊」
「はい」
「眷霊種魔獣が出現したとミツバから報告を受けて、消耗の低い魔法士を選んで討伐部隊を編成するのに、最短で9分。作戦行動を伝え、必要武装を揃えるのにも凡そ9分。私達の権限で与えられる時間は計18分だけです。それ以上かかる場合、我々が加勢し、まーちゃん達は我々の指揮下に入ってもらいます。いいですね?」
「戦闘を認めていただけるだけでも、助かります。重ね重ね、ありがとうございました。魔法具の用意ができ次第、お送りしますね」
会議室を出て行く都市自衛軍と都市警察の高官2人に、命彦は深々と頭を下げた。
2階も人の気配がまばらであり、宴会の用意で従業員のほとんどが地下階に行っていることがうかがえる。
2階の会議室は4室あったが、そのうち2室が今は従業員の子ども達のための保育施設へ改装されていた。
命彦は舞子を連れて、電灯の消えた保育施設と廊下を隔てて対面にある会議室へと入室する。
会議室には、自分のポマコンで報道番組を見ていたメイアがおり、入室した命彦に言った。
「あら、親方との話はもう済んだの? 意外と早かったわね。もう少しかかるようだったら、呼び出そうと思ってたんだけど」
「俺の魔法具の製作依頼と、舞子の契約の話だけだ。30分もありゃ十分終わるさ。そっちも宴会の用意は終わったのか? 時間通りに始められそうか?」
「少し微妙ね? 私がする分の仕事は終わったけど、宴会料理の仕込みが一度手を止めたせいで、少し遅れてるらしいわ。午後6時にお店を閉めて、すぐ始められるかどうかは料理次第ね? 空太達の親による事情聴取の時間も、どのくらいで終わるのか不透明だから、開宴が多少遅れるくらいの方が、私達にとっては都合がいいんだけど……あ、そうそう。私や勇子、空太の家族も、決起会に参加したいって言ってるんだけど、いいかしら?」
「参加するのは別に構わんが、めでたい宴席じゃねえぞ? 戦うための士気高揚を目的とした宴会だ。それは知ってるのか?」
「知ってるわ、私から話したもの。暗い報道ばかりが耳に入るから、きっと皆も息抜きがしたいのよ……」
メイアが、自分が見ていたポマコンの平面映像に視線を戻しつつ、憂鬱そうに言う。
「暗い報道、ですか?」
「あんまり聞きたくねえ情報ってことだろ」
命彦と舞子は顔を見合わせ、メイアの見る平面映像を一緒に見た。
平面映像には、都市自衛軍や都市警察の魔法士達と魔法機械達が、塀のように高い土塁を築き、迫る魔獣の群れと激しく戦闘している場面が映っていた。
メイアが口を開く。
「思ったよりも戦力の消耗が激しいみたい。魔獣の数が多過ぎるのよ。警察の魔法士達が30分くらい前から軍の魔法士に合流して戦闘へ加わり、防衛線の戦力は増えてるのに、魔獣の討滅時間は短縮するどころか少しずつ延長していってるんですって」
「それってもしかして、防衛線の戦力が増えた分以上に、魔獣側の戦力が増えてるってことですか?」
舞子がメイアを見る。メイアは平面映像を見たまま、小さく首を縦に振った。
「そういうことでしょうね。この報道番組に招かれてる軍の関係者の話じゃ、明日の明け方まで防衛線が維持できるかどうかは、微妙らしいわ。魔獣側の勢力がこれ以上増えたら、多分本格的にマズいと思う。あと、さっき報道されてたんだけど、眷霊種魔獣による都市の被害結果がようやく集計されて、死者が63人、重軽傷者が3396人確認されたらしいわね? 人通りの多い時間帯に、眷霊種魔獣が都市に入り込んで戦闘を起こしたにしては、人的被害が奇跡的に抑制されてるって、軍の関係者があんた達のこと褒めてたわよ?」
死者が出ているため、褒められた嬉しさを堪えつつ、舞子が少し頬を震わせて問い返す。
「ほ、報道番組で私達個人についての言及があったんですか?」
「まさか。最初に魔獣を発見し、対処した一般の魔法士達と、軍や警察の魔法士が到着するまで、眷霊種魔獣をその場に引き止めた一般の魔法士は、魔法士としての責務をよく果たしたって、一般の魔法士括りで褒められただけよ」
「そ、そうですか」
舞子が苦笑していると、会議室の扉が開いた。勇子と空太が会議室に入室する。
「うーい、遅れたわ」
「命彦はもういるかい? あ、いたいた、舞子も一緒か。親方との話はもう済んだ?」
「ああ。空乃さんと拳人さんは?」
命彦が問い返すと、勇子達に続いて、迷彩柄の〈迷宮衣〉を着る都市自衛軍の魔法士と思しき女性と、濃紺色の〈迷宮衣〉を着る都市警察と思しき男性が、会議室に入室した。
「今、来ましたよーってね? ご無沙汰だったわね、まーちゃん」
「失礼する。ふむ、二度も倒れたというワリには元気そうだ、安心したぞ。まー坊」
「空乃さん、拳人さん、ご足労いただきありがとうございます」
命彦が軍の女性魔法士である空太の母親と、警察の男性魔法士である勇子の父親に頭を下げる。
すると、その2人の後ろからもう2人、梢とミツバが現れた。命彦がフッと笑う。
「梢さん達も一緒だったのかよ?」
「当然よ。依頼所は今後、義勇魔法士部隊を組織して、軍や警察に手を貸すからね?」
「特別に事情聴取に立ち合わせてもらったんですよ」
「そうだったのか。色々と手間が省ける」
梢とミツバに笑顔を返し、命彦が会議室の扉を閉めると、空太の母親が言う。
「それじゃあ、早速聞き取りを始めましょうか? 私達がここにいられる時間も限られてるしね、鬼土警視長?」
「うむ。これでも忙しい身の上だ、早く終わらせよう」
2人の言葉で室内の全員が椅子に座り、事情聴取が始まった。
5分ほどの質疑応答で自分の知る眷霊種魔獣についての情報を話した命彦に、空太の母親が難しい顔で問う。
「それじゃあ、眷霊種魔獣が商業地区に突然出現した目的は、メイアちゃんとまーちゃんの殺害、及び捕食ということでいいのね?」
「はい。眷霊種魔獣自身が思念でそう語っていました」
「私も、自分のことを主菜と呼ぶ、眷霊種魔獣の思念を聞いています」
「ふーむ。眷霊種魔獣は、形はどうあれ他者の命を奪うことを特に好む。自分達以外の生物は全て餌であり、遊び道具という認識を持つ上、一度決めた獲物はとことんまで追い回し、必ず捕食する習性を持っている。軍や警察の魔法士による横槍で、楽しみを邪魔されたのだから、もう一度まー坊達の前に現れる可能性は極めて高いぞ?」
勇子の父親が腕組みして考え込む。その横で、空太の母親が命彦にもう一度問うた。
「そこも気がかりですが、私はもう1つ、どうやって眷霊種魔獣が、まーちゃん達が神霊魔法や源伝魔法の使い手と知ったのか、それも気がかりです。もう一度聞きますがまーちゃん、眷霊種魔獣はまーちゃん達の戦闘を見ていた者から、記憶を転写したと言ったのですね? 奪ったとは言わずに?」
「はい。転写したと言っていました。これは俺の主観ですが、記憶を転写させてくれた相手を、自分と同格と見ている節がありました」
命彦の言葉に、空太の母親が考え込む。
「主観的判断で物事を考えるのは危険ですが、関東と九州にも2体ずつ現れていますし……関西でも眷霊種魔獣の2体目について、真剣に警戒しといた方がいいかもしれませんよ、鬼土警視長?」
「うむ。しかし、仮に2体いたとすれば、どうして1体だけが表立って行動しているのだろうか?」
「それは分かりません。ですが、眷霊種魔獣が1体だけだと想定して動き、2体目が出現した時の部下達の動揺を考えると、最初から2体いると想定して警戒している方がよいと思います」
「むむ、確かに」
まだ判断を迷っている様子の勇子の父親へ、命彦が言う。
「必要とあれば、戦闘時の俺の記憶を見せますが?」
「いや、それは不要だ」
「私も遠慮しておきましょう。今のまーちゃんの記憶には、魅絃さんを傷付けられた時の憤怒の念がこびり付いている筈。私達が記憶を読む時にその感情にあてられることもあり得ます。戦場へ出て、部下の命を預かる立場ですからね? 戦闘前に冷静さを欠く要因は、できる限り排除したいのですよ」
「しかし、それでは俺の発言の信憑性が……」
「そこは子どもの頃から知っている、ワシらのまー坊への評価で、発言の真偽を判断している。都市の危機を分かっていて、わざわざ嘘をつく愚か者でもあるまい?」
「それはまあ、そうですが」
「眷霊種魔獣が出現すれば、どうせすぐに分かることです。この際、些事は省略しましょう」
そう言ってくすくす笑う軍と警察の高官2人。
会議室の空気が一瞬緩んだこの時に、命彦は自分の本題を切り出した。
「分かりました。……では、俺を信頼してくださっているお2人に、1つ許可をいただきたい。依頼所所長代理の梢さんからも、許可が欲しい」
「許可? どういうこと、命彦?」
梢の問いに対し、命彦は空太の母親と勇子の父親を見つつ答えた。
「俺とメイアは、義勇魔魔法士登録をして戦場へ出るつもりです。そうすると、眷霊種魔獣と俺達が再戦する可能性も相当高いでしょう。この時に、義勇魔法士に与えられた持ち場、任務を放棄して、眷霊種魔獣と全力で戦える許可が欲しいのです」
「ふむ、そういうことか。一度負けた相手に、もう一度仇討ちを挑むと?」
「はい。一度負けたからこそ、次は勝てます。いや、勝ちます。そのための用意を、今していますので」
命彦の感情の込められた言葉を聞き、空太の母親が言う。
「義勇魔法士として戦場に出る以上、その戦場における自分の持ち場、任務を設定される。たとえ都市防衛にどれほど益をもたらそうとも、任務を放り出した義勇魔法士には重罰が科される。しかし、軍や警察、あるいは依頼所のいずれかから、その場で別の任務を設定されれば、現場判断と言う形で、最初の任務を放棄しても不問とされる。事前に私達から独断行動の許可を得ておき、戦場で自分達に都合のいい任務を、梢ちゃんに作ってもらうつもりね?」
「ご明察です。依頼所の所長は、自分の依頼所に所属する義勇魔法士達を率いる立場にあり、今の梢さんは依頼所の所長代理、その立場を承継している。義勇魔法士に割り振られた任務を、現場判断で書き換えることが許されています。しかし、軍や警察の判断が当然優先されますから、いざ新しい任務を梢さんが創出しても、それがその場で許可されるかどうかは不透明です。であれば、最初から軍や警察の許可をもらっておけばいいと、そう思いました。勿論、これは祖父ちゃん達の受け売りですが」
命彦の言葉を聞いて、空太の母親と勇子の父親が頭痛を堪えるように、頭を押さえた。
「そう言えば昔、刀士先生や結絃先生も都市自衛軍を抜けた後、軍と警察の高官を抱き込んで、独断行動の事前許可をもらってから、眷霊種魔獣や高位魔獣とよく戦ってたわね? 弟子のまーちゃんにもそういう方法を教えていたとは……やれやれ」
空太の母親が呆れたように言う横で、勇子の父親が問う。
「まー坊、もしワシらが、事前許可を出さんかったらどうするつもりだ?」
「他の方から事前許可を得られるよう、手を尽くします。幸い、店が取引している方は軍や警察にも多いので、誰か一人くらいは許可を出してくださるでしょう」
笑顔で言う命彦の据わった眼を見て、命彦の決意と覚悟が想像以上に固いことを、その場にいる全員が知った。
絶対に戦うと、命彦の笑顔が告げている。その笑顔を見て、メイアだけがクスリと笑っていた。
空太の母親が苦笑して言う。
「止めるだけ無駄、という顔をしてますね……どういう手を使っても、許可を得るつもりですか。いいでしょう。都市自衛軍に関しては、私が許可を与えます」
「いいのか、風羽一佐?」
勇子の父親が慌てて問うと、空太の母親が命彦を見て答えた。
「まーちゃんがここまで軍や警察から許可を取ろうとしているのは、自分が重罰を受けることで、家の歴史や師の顔、お店の看板に泥を塗ることを、避けたいがためです。加えて言えば、自分と付き合いがある全ての者達、私達のことまでも考えて、許可を得ようとしている。重罰を受けることに対して、まーちゃん自身は屁とも思っていません。ただその一方、自分が重罰を受けることで、周りに出る影響や不利益は物凄く気にしている」
「う、むう」
「16歳の子どもがそこまで気を遣って、母親を傷付けた眷霊種魔獣を必死に討滅しようとしているのですよ? 多少応援してあげても罰は当たりません。まあ、条件は付けますが」
「条件、とは?」
途端に表情を硬くした命彦。その命彦の横にいたメイアが神妙に問うと、空太の母親はすぐに答えた。
「軍と警察に〈転移結晶〉を30ずつ寄付すること。これを許可を与える条件とします」
この空太の母親の発言に、勇子と空太、舞子が凍り付いた。空太が命彦を庇うように言う。
「か、母さん! それはあんまりだよ! 〈転移結晶〉は1つ100万円もする魔法具だ。それを軍と警察にそれぞれ30個ずつ寄付しろって、6000万円寄付しろと言ってるのと同じだよ!」
「ほ、法外です……」
舞子も条件に驚き、命彦と空太の母親を心配そうに交互に見る。
「ほんまやで! 足元見過ぎやわ!」
勇子も立って怒りを露にすると、勇子の父親が口を開いた。
「黙っとれアホ娘。……いいだろ、ワシもそれで手を打とう。警察もその条件を呑むのであれば、許可を出す」
「オトンまで同意しおったっ! 人格腐っとんちゃうんか!」
「じ、実の父親に対して腐っとるだと、こんのアホ娘が! ワシらは軍や警察のモンとして、まー坊と話しとるんや! 果たすべき責務がある、組織人として守るべき一線があるんや! 公私混同はでけんと、いつも家で言うとるやろが!」
警視長という顔が剥がれ、素が出たらしい勇子の父親が、激しい剣幕と関西弁で勇子を叱る。
しかし勇子は言い返した。
「ちょっとくらいええやんけ! 命彦は都市防衛に役立つことをしようっちゅうねんで!」
「それは理解していますが、三葉市の防衛という見地から見て、どういう結果をもたらすのかはまだ未知数です。許可を出す以上、私達には許可した責任が伴う。成功と失敗の双方の可能性を見て、保障が必要でしょう?」
空太の母親は酷く冷静に言い、命彦をまっすぐに見た。
「で、どうですかまーちゃん。この条件、呑めますか?」
命彦はメイアや梢、ミツバと顔を見合わせ、笑顔を浮かべて頭を下げた。
「ありがとうございます。お気遣い感謝します、空乃さん、拳人さん。こちらは条件を呑みます」
「「ま、命彦!」」
勇子と空太が唖然とし、舞子も絶句する。その3人を無視して、空太の母親は椅子から立ち上がった。
「決まりね? 梢ちゃん、あとは任せたわ。行きましょうか、鬼土警視長?」
「ああ。……後始末はワシらがしてやる。やれるだけやってみい、まー坊」
「はい」
「眷霊種魔獣が出現したとミツバから報告を受けて、消耗の低い魔法士を選んで討伐部隊を編成するのに、最短で9分。作戦行動を伝え、必要武装を揃えるのにも凡そ9分。私達の権限で与えられる時間は計18分だけです。それ以上かかる場合、我々が加勢し、まーちゃん達は我々の指揮下に入ってもらいます。いいですね?」
「戦闘を認めていただけるだけでも、助かります。重ね重ね、ありがとうございました。魔法具の用意ができ次第、お送りしますね」
会議室を出て行く都市自衛軍と都市警察の高官2人に、命彦は深々と頭を下げた。
0
あなたにおすすめの小説
外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!
武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。
しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。
『ハズレスキルだ!』
同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。
そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』
ガチャと異世界転生 システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!
よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。
獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。
俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。
単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。
ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。
大抵ガチャがあるんだよな。
幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。
だが俺は運がなかった。
ゲームの話ではないぞ?
現実で、だ。
疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。
そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。
そのまま帰らぬ人となったようだ。
で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。
どうやら異世界だ。
魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。
しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。
10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。
そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。
5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。
残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。
そんなある日、変化がやってきた。
疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。
その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
異世界で穴掘ってます!
KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語
剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜
みっちゃん
ファンタジー
俺こと「天城剣介」は22歳の日に交通事故で死んでしまった。
…しかし目を覚ますと、俺は知らない女性に抱っこされていた!
「元気に育ってねぇクロウ」
(…クロウ…ってまさか!?)
そうここは自分がやっていた恋愛RPGゲーム
「ラグナロク•オリジン」と言う学園と世界を舞台にした超大型シナリオゲームだ
そんな世界に転生して真っ先に気がついたのは"クロウ"と言う名前、そう彼こそ主人公の攻略対象の女性を付け狙う、ゲーム史上最も嫌われている悪役貴族、それが
「クロウ•チューリア」だ
ありとあらゆる人々のヘイトを貯める行動をして最後には全てに裏切られてザマァをされ、辺境に捨てられて惨めな日々を送る羽目になる、そう言う運命なのだが、彼は思う
運命を変えて仕舞えば物語は大きく変わる
"バタフライ効果"と言う事を思い出し彼は誓う
「ザマァされた後にのんびりスローライフを送ろう!」と!
その為に彼がまず行うのはこのゲーム唯一の「バグ技」…"剣ぺろ"だ
剣ぺろと言う「バグ技」は
"剣を舐めるとステータスのどれかが1上がるバグ"だ
この物語は
剣ぺろバグを使い優雅なスローライフを目指そうと奮闘する悪役貴族の物語
(自分は学園編のみ登場してそこからは全く登場しない、ならそれ以降はのんびりと暮らせば良いんだ!)
しかしこれがフラグになる事を彼はまだ知らない
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜
沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。
数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる