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第二章
2-11 異様な調合表
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小さな空間。机も椅子も何もかもが風化しており、ぼろぼろとささくれ立っている。
どうやって持ち運んだのか不明だが、ベッドのような物や大きな棚のような物もある。
すっからかんの上に土ぼこりにまみれ、カビや苔、小さなキノコも生えているようだが。
だが、中に入るのはなぜだか知らないが俺の心が警鐘を鳴らし躊躇わせた。
ここに入ってはいけない。
そんな漠然としているが奇妙な感覚が俺の心を支配する。
しかし。
甘かった。
部屋に入るのを躊躇いつっかえていた俺を不審に思ったのか、フロードが背中を押し出してきたのだ。
小さな手から感じられる万力のような力。一切の抵抗を許すことなく俺は中へと足を踏み込んでしまった。
俺のお供なんじゃなかったのか! と抗議の声を上げたい。
だがその気持ちはより強い感情に即上書きされることになった。
その感情は恐怖。
「うおぅ!?」
特段部屋に変わった様子はない。
はずなんだが、全身を子虫が這いまわるような錯覚に襲われ肌が粟立つ。
気味が悪い。
まるで先ほどのブレディアスドラゴンの胃袋の中に足を踏み入れてしまったかのような。
いや、そうだとしてもここまではならないだろう。
「御主人、一体どうされ…………こ、これはなんでござるか!?」
フロードも足を踏み込み、やはり異変を感じたのか黒目をぎょろぎょろと動かし部屋を確認した。
といっても気になるのは一カ所だけで特に何もない部屋だ。
そう。
一カ所だけ非常に気になるのは、
「これは早く出たほうがいいでござるな。あの机のものだけ回収しておきましょうか」
「そ、そ、そ、そうだねね。うぅ。なにこれ……。こ、こ、怖い。でも、あれれも何となく怖いよよ……」
机の上にあるのは二つのものだけ。
周りが完全に風化し寂れているというのに、その二つだけはまるで新品同様といえるような気配を放っている。
一つ目は紙切れ。
何の素材かは分からないが、端がささくれたりすらしていない。
土ぼこりは積もっているようだが、明らかにこの部屋で異質のものだ。
二つ目は……まるで吸い込まれそうな気持ちにさせられる黒紫色をした珠……が紙切れの上に乗っている。
うねる様に内部の色彩が動き、目が釘付けとなって動かせなくなってしまうほど。
先ほどのブレディアスドラゴンの脇に落ちていた珠とは比較にならない何かを感じる珠。
というよりこの部屋から感じる薄気味の悪さはおそらくこれが原因。
絶対やばい。
第六感が俺にそう告げ、この部屋から叩き出そうとしている。
「そうでござるな……。しかし、ここまできて手ぶらで帰るというわけにもいかんのでござらんか?」
「う、うん……。分かった。なんか高く売れそうな気がするし……」
母上の形見としてニチェリア姉さんが受け継いだ指輪の事が思い出される。
いつも嬉しそうな顔をしてそれを眺めていた。
確かエメラルドかなんかだったと思うけど、凄くきれいで女性は宝石に目がないって言ってた。
だから凄く値段も高いものなんだって。
父上からのプレゼントとして母上が大切にしていたものを、ニチェリア姉さんがもらい受けた。
俺にはほぼ全くといっていいほど残っていない母上の記憶。
それでもその手のぬくもりだけはなんとなく覚えているような気がする。
そんな母上の命と引き換えるようにして俺は生まれたというのに、異端として育ち家を追い出されてしまった。
なんだか申し訳ないような気がして涙がにじむ。
けれど!
だからこそ、俺は頑張っていかなければいけない。
チラとフロードに目を向ける。
仲間も増えた。これからだ。絶対になり上がって兄さんたちを見返してみせる!
少し気合が入り、再度今の状況に向き合う。
とてつもなく興味を惹かれる珠。
美しさ、という観点からみれば、今眼前に佇んでいる黒紫の珠は、ニチェリア姉さんが受け継いだエメラルドの指輪とは比較にならないほどの価値を感じる。
俺は成長すると誓ったのにこんなとこで怖気付いていてたまるか!
「よし!」
「御主人、決心がついたでござるか? 小生がとってきてもいいでござるがな……なぜか御主人を求めているような気がしてならんのです」
「そ、そう言われると何となく怖いなぁ……。でも、大丈夫。取って来るから」
結論から言えば珠も紙も取ったところで何かが起きたりということはなかった。
それでも何かが起きるんじゃないかと思い、部屋から全力で走って逃げたけど。
くそ重いおもりをまるで感じないほどだったのは、火事場の馬鹿力というやつ?
フロードも俺の様子を見てか慌てた様子で逃げてくれたのが面白かった。
ゲロロと鳴き、逃げつつも俺の事に気を配ってくれていたのは流石だと言える。
二人で腰を下ろし、両手を地について小さく笑みを交わす。
「はぁ、はぁ、はぁ……ははは」
「御主人が突然走り出すから何かあるのかと思ったでござる。慌てず動じず冷静に、それが小生のモットーだったのでござるが」
「あはははは。フロードが慌てた様子だったのが面白かったよ! ま、なんだかそれでもスマートに逃げていたけどね」
「うむ……。動転したら御主人を守れぬでござるからな。それよりも……結局何だったんでござるか?」
フロードに言われて改めて持っているものに目を落としてみた。
黒紫の珠はまるで手に吸い付くように馴染み、心が吸い込まれそうになるが、それ以外はよく分からないので調合台にしまう。
大きさは指で輪っかを作ったくらいの大きさなので、仕切りのある場所にすっぽりとはまった。
で!
紙が問題だ。
俺には見覚えがある……というよりは馴染みの深い雰囲気を放つ内容。
調合の内容が書かれていたのだから。
いや、しかし、これは…………。
『?????』
効能
??????????????????????????????????????
必要物
ドラゴンの魔漏結晶――ドラゴンの死後脊髄を通る純魔力が自然と滲みだし、悠久とも言える時間を経て集まり結晶化したもの。
覇女の封魂核――この黒紫の珠。
フェンリルの血漿――魔狼フェンリルの血液を血漿と血球に分離したうちの血漿。それ以外は不必要。
真魔飽和水――純水に通常の飽和魔力量を超える濃度で魔力を蓄えさせた水。
調合法
フェンリルの血漿中の水分を完全分離し真魔飽和水と置換する。それが常態化するまで、4℃の真空空間内で48時間馴染ませる必要がある。
できた溶液とドラゴンの魔漏結晶の微細粉末を44:13の割合で混ぜ合わせ66℃の低温で加熱し発生する気体を凝集させ、真空中に置いた封魂核に少しずつー―
基礎調合とはまるで比較にならない量の文字がびっしりと埋め尽くされているので当然省略。
さらには調合用の器具のデザインも描かれており、ところどころ意味の分からない数式のような物が走り書きされていた。
どう見ても尋常じゃないことが分かる調合法に、俺はフロードと顔を見合わせゴクリと喉を鳴らすしかなかった。
どうやって持ち運んだのか不明だが、ベッドのような物や大きな棚のような物もある。
すっからかんの上に土ぼこりにまみれ、カビや苔、小さなキノコも生えているようだが。
だが、中に入るのはなぜだか知らないが俺の心が警鐘を鳴らし躊躇わせた。
ここに入ってはいけない。
そんな漠然としているが奇妙な感覚が俺の心を支配する。
しかし。
甘かった。
部屋に入るのを躊躇いつっかえていた俺を不審に思ったのか、フロードが背中を押し出してきたのだ。
小さな手から感じられる万力のような力。一切の抵抗を許すことなく俺は中へと足を踏み込んでしまった。
俺のお供なんじゃなかったのか! と抗議の声を上げたい。
だがその気持ちはより強い感情に即上書きされることになった。
その感情は恐怖。
「うおぅ!?」
特段部屋に変わった様子はない。
はずなんだが、全身を子虫が這いまわるような錯覚に襲われ肌が粟立つ。
気味が悪い。
まるで先ほどのブレディアスドラゴンの胃袋の中に足を踏み入れてしまったかのような。
いや、そうだとしてもここまではならないだろう。
「御主人、一体どうされ…………こ、これはなんでござるか!?」
フロードも足を踏み込み、やはり異変を感じたのか黒目をぎょろぎょろと動かし部屋を確認した。
といっても気になるのは一カ所だけで特に何もない部屋だ。
そう。
一カ所だけ非常に気になるのは、
「これは早く出たほうがいいでござるな。あの机のものだけ回収しておきましょうか」
「そ、そ、そ、そうだねね。うぅ。なにこれ……。こ、こ、怖い。でも、あれれも何となく怖いよよ……」
机の上にあるのは二つのものだけ。
周りが完全に風化し寂れているというのに、その二つだけはまるで新品同様といえるような気配を放っている。
一つ目は紙切れ。
何の素材かは分からないが、端がささくれたりすらしていない。
土ぼこりは積もっているようだが、明らかにこの部屋で異質のものだ。
二つ目は……まるで吸い込まれそうな気持ちにさせられる黒紫色をした珠……が紙切れの上に乗っている。
うねる様に内部の色彩が動き、目が釘付けとなって動かせなくなってしまうほど。
先ほどのブレディアスドラゴンの脇に落ちていた珠とは比較にならない何かを感じる珠。
というよりこの部屋から感じる薄気味の悪さはおそらくこれが原因。
絶対やばい。
第六感が俺にそう告げ、この部屋から叩き出そうとしている。
「そうでござるな……。しかし、ここまできて手ぶらで帰るというわけにもいかんのでござらんか?」
「う、うん……。分かった。なんか高く売れそうな気がするし……」
母上の形見としてニチェリア姉さんが受け継いだ指輪の事が思い出される。
いつも嬉しそうな顔をしてそれを眺めていた。
確かエメラルドかなんかだったと思うけど、凄くきれいで女性は宝石に目がないって言ってた。
だから凄く値段も高いものなんだって。
父上からのプレゼントとして母上が大切にしていたものを、ニチェリア姉さんがもらい受けた。
俺にはほぼ全くといっていいほど残っていない母上の記憶。
それでもその手のぬくもりだけはなんとなく覚えているような気がする。
そんな母上の命と引き換えるようにして俺は生まれたというのに、異端として育ち家を追い出されてしまった。
なんだか申し訳ないような気がして涙がにじむ。
けれど!
だからこそ、俺は頑張っていかなければいけない。
チラとフロードに目を向ける。
仲間も増えた。これからだ。絶対になり上がって兄さんたちを見返してみせる!
少し気合が入り、再度今の状況に向き合う。
とてつもなく興味を惹かれる珠。
美しさ、という観点からみれば、今眼前に佇んでいる黒紫の珠は、ニチェリア姉さんが受け継いだエメラルドの指輪とは比較にならないほどの価値を感じる。
俺は成長すると誓ったのにこんなとこで怖気付いていてたまるか!
「よし!」
「御主人、決心がついたでござるか? 小生がとってきてもいいでござるがな……なぜか御主人を求めているような気がしてならんのです」
「そ、そう言われると何となく怖いなぁ……。でも、大丈夫。取って来るから」
結論から言えば珠も紙も取ったところで何かが起きたりということはなかった。
それでも何かが起きるんじゃないかと思い、部屋から全力で走って逃げたけど。
くそ重いおもりをまるで感じないほどだったのは、火事場の馬鹿力というやつ?
フロードも俺の様子を見てか慌てた様子で逃げてくれたのが面白かった。
ゲロロと鳴き、逃げつつも俺の事に気を配ってくれていたのは流石だと言える。
二人で腰を下ろし、両手を地について小さく笑みを交わす。
「はぁ、はぁ、はぁ……ははは」
「御主人が突然走り出すから何かあるのかと思ったでござる。慌てず動じず冷静に、それが小生のモットーだったのでござるが」
「あはははは。フロードが慌てた様子だったのが面白かったよ! ま、なんだかそれでもスマートに逃げていたけどね」
「うむ……。動転したら御主人を守れぬでござるからな。それよりも……結局何だったんでござるか?」
フロードに言われて改めて持っているものに目を落としてみた。
黒紫の珠はまるで手に吸い付くように馴染み、心が吸い込まれそうになるが、それ以外はよく分からないので調合台にしまう。
大きさは指で輪っかを作ったくらいの大きさなので、仕切りのある場所にすっぽりとはまった。
で!
紙が問題だ。
俺には見覚えがある……というよりは馴染みの深い雰囲気を放つ内容。
調合の内容が書かれていたのだから。
いや、しかし、これは…………。
『?????』
効能
??????????????????????????????????????
必要物
ドラゴンの魔漏結晶――ドラゴンの死後脊髄を通る純魔力が自然と滲みだし、悠久とも言える時間を経て集まり結晶化したもの。
覇女の封魂核――この黒紫の珠。
フェンリルの血漿――魔狼フェンリルの血液を血漿と血球に分離したうちの血漿。それ以外は不必要。
真魔飽和水――純水に通常の飽和魔力量を超える濃度で魔力を蓄えさせた水。
調合法
フェンリルの血漿中の水分を完全分離し真魔飽和水と置換する。それが常態化するまで、4℃の真空空間内で48時間馴染ませる必要がある。
できた溶液とドラゴンの魔漏結晶の微細粉末を44:13の割合で混ぜ合わせ66℃の低温で加熱し発生する気体を凝集させ、真空中に置いた封魂核に少しずつー―
基礎調合とはまるで比較にならない量の文字がびっしりと埋め尽くされているので当然省略。
さらには調合用の器具のデザインも描かれており、ところどころ意味の分からない数式のような物が走り書きされていた。
どう見ても尋常じゃないことが分かる調合法に、俺はフロードと顔を見合わせゴクリと喉を鳴らすしかなかった。
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