14 / 21
第14話 復讐の狼煙は魔法で派手にあげるよ
しおりを挟む
私は自宅の安アパートでリナージュと共に眠りについたはずだった。
夜の帳がすっかり落ち、リナージュが日本の文化に驚き、そしてその反応を楽しく思いながらベッドに横になったはず。
しかし気付いた時、目の前に現れたのは薄ら笑いを浮かべるアイゼンの姿と、その横で腕を組んでいるフローリア。
人々の罵倒の声。裏切者のアーシャ。割とどうでもいいマリエア。
つまり、再度リナージュの体を私が動かす状況になっていたのだ。
しかも寝て起きたと思った瞬間、前の続きかのように。
これ、夢と間違えてもおかしくないって!
(リナージュ! 起きてる?)
【はい、起きていますよ。こちらに戻ってきたという訳ですか。いやはや、目に映る光景に差があり過ぎて違和感が半端じゃないです】
(うん、まだ寝ぼけ眼って感じだよ。肉体的には覚醒しているというのに)
【しゃんとしてもらわないと困りますよ。私、アイゼンとアーシャ……いえ、今目に映っている全てのものが許せないのですから】
(分かった。じゃ、こっちの世界は私が全力でやっちゃうからね)
【ええ、魔力枯渇にだけは気を付けてください】
リナージュの知識や人生が流れ込んできた今、私はこの体の扱い方や魔力量と、以前は分からなかったことも手に取るようにわかっている。
問題ない。
私が人生の重みというものを、リナージュの嘆きというものを10倍で返す!
私は腕を組むと、指をつきつけたまま悦に浸っているアイゼンに向かって言い放った。
「婚約破棄。面白いですね。つまり、あなたは私に対して宣戦布告をした。この魔法学園主席リナージュ・セントフィールドに対してね!」
「な! 開き直ったか! おい、手筈通り拘束するんだ!」
当然私はそれを知っている。
影に隠れていた兵士が魔封錠を構えていることくらい。
全てが予習済み。全てが計算済み。まるで答案用紙に答えを書き写しているかのような感覚。
って、答案とか大分昔の事だなと思って少し落ち込んだのは内緒だよ。
「あはははは。誰に向かってそのようなことを言っているのですか? あなたの手筈では私は今項垂れているところでしょう?」
【私の体だというのになんだかゾクゾクします。悪役。いいですね、悪役って】
(い、いきなり口を挟まれるとびっくりするじゃない。このままいくよー)
【ええ、思う存分悪役を謳歌しちゃってください】
リナージュの楽しそうな声を聞くと私の心も奮いたつ。
アイゼンは僅かな焦りを見せたが、気を取り直したのか言葉を荒げた。
「いくらお前と言えども衆目も私の味方。つまり今のお前は完全な四面楚歌だ! 大人しくお縄につくがいい!」
「見誤りましたね」
「は……!?」
「あなたは私の実力というものを見誤っていると言ったのです。実力とは常に変化するもの。それをあなたは見誤った」
「な、何を言っているんだ……? 早くこの生意気なくそ女をひっとらえろ!」
駆けつけていた兵士が、さらにその足を速めようとした瞬間。
私は魔法を使用した。
壇上を駆けていた兵士たちの足がまるで石のように動かなくなり、そして地面から這うように霜柱が上がっていく。
ピキピキと乾いた音が耳に届き心地がいい。ゆっくりとつま先から膝、腰へと凍りついていく。
「な、何をしたんだっ!?」
「氷属性の魔法を強化するために分子の運動を止めるイメージで魔法を使用したのです。ま、あなたには生涯理解できることはないと思いますがね」
兵士は最終的に頭の先まで凍り付いて、恐怖に顔を染めた表情でごろんと壇上に転がった。勿論私が地を振動させて足元の氷を砕いたのだ。
死んだか死んでないかは難しいところだけど、上手く蘇生されることを祈ることにする。
「おい! 援軍を呼べ! 誰か、こいつをひっ捕らえろぉ!」
「流石にここで死屍累々の山を築く訳にはいきませんか。けれど、あなたたち……、必ず地に沈めてやりますから……。楽しみに待っててくださいね」
ドタドタと多くの人が集まってくる音が耳に届く。
予め人を用意しておいたのだろう。生徒たちは悲鳴をあげていて、私に何かしてくることはないし。
といってもこれで逃げるのは精神衛生上よろしくない。
まだまだやりたりない。
少しはアイゼンの化けの皮を剥がしておくべき。
そう思い私は魔法で石飛礫を作り上げるとアイゼンの腕に向かって放つ。
回転の力を加えることでその貫通力は格段に増す。鉄砲の原理だね。
「ぎゃぁ!」
アイゼンは防御をしようと試みたようだけど、飛礫はアイゼンの腕を容易く貫通し痛みと恐怖に顔を歪めた。
楽しくて仕方がないのは私の性格が悪くなったのかな?
「だ、誰に向かってこ……ぎゃっ!」
今度は生意気な口を開きかけたので腿を打ち抜いた。涙を流しながら地を這いつくばって逃げていく。
そのまま私の様子を見てか後ろに退いていたフローリアの後ろに隠れながら、ドレスをの裾を引っ張った。
フローリアは主人公だけあって油断できない相手だと感じる。
「ひぃぃ。フローリア、助けてくれ! サイゼリスの聖女とよばれたお前ならあいつをなんとかできるだろう?」
「ア、アイゼン。女の、しかも婚約者の私を盾にするというのですか?」
「い、今はそんな場合じゃないだろ!? あいつをなんとかしないといけない!」
「いつもの格好良いあなたはどこへいってしまったんですか? アイゼンだって魔法を使えるでしょう?」
「うるさいっ! 僕の魔法障壁を紙のように打ちぬいてきたんだ。あれは化け物だ!」
笑いをこらえるのが大変すぎる。
私の内からリナージュも楽しそうに笑ってるのも聞こえてくるし。
【アイゼンはやはり自分さえよければいいタイプの人間だった訳ですか。騙されていた自分が本当に情けないです】
(ま、仕方ないよ。そういうもんだから。というより私も同じだしね。さて、そろそろ逃げるよ?)
【ええ。すんなり片を付けては面白くないですから】
(うん、それもあるんだけど……。でもそれよりセントフィールドの屋敷も今攻められようとしてるわけだから、ここでのんびりはしていられないんだ)
【あ、そういえばゲームではそうでしたね。とりあえず、地盤を固めないといけませんか】
(うん。この目の前のやつらを片付ければ終わりってわけじゃない)
【ですね……。じゃ、最後にアーシャに……やっちゃってください】
(おっけい! 心抉るよー)
私はとびきりの笑顔を壇上に座り込んでいるアーシャに向けながら優しく声をかける。
「アーシャ……」
アーシャは驚きつつも不安げな顔で私の事を見上げてきた。
スパイをずっとやっていたというのに白々しい。自分だけ見逃してもらえるとでも思っているのだろうか。
「リナージュ様……」
はい、ここで一気に真顔に変化させて、
「かならずこうかいさせてあげるからおぼえておきなさい」
冷たく見下しながら言い放ってやるとアーシャは体をビクンと震わせた。それを見て、私の心はとりあえず満足したようだ。
勿論、今は……とつくけどね。
「では、さよなら。アイゼンと愚かな仲間たちさん」
「なっ、まてっ! ……は!?」
温かな上昇気流を作り上げ風魔法を融合て飛び上がる。アイゼンが間抜けな声を漏らす。
飛行魔法を知らないこの世界の人々は顔を驚愕に染めている。正直気持ちがいい。
ふわりと体を宙に浮かべ、ぐんぐんと高く飛び上がっていく。
何か言ってるような声も聞こえたが今はどうでもいい。
最後の仕上げが残っているので。
私は地上を見下ろしながら大きな水弾を空中に作り上げると風の力と火の力、全てのイメージを掛け合わせ高温の水流弾を作り上げた。
直径5メートル程で直接人にぶつければおそらく死に至るだろう。
勿論、そんなことはしない。
「いっくよー。熱湯の雨!」
といってもかなりの高度なので下に届くころには大分熱も引くと思う。それでも今はこれで十分。
ばしゃぁと水流弾は弾けると、地上に向かって熱い湯の雨が降り注ぐ。それに逃げ惑う人々。まるで人がゴミのようだ。
あがる阿鼻叫喚もリナージュを利用していたクズどものモノだと思うだけで、最上の交響曲のように心に響く。
人の人生は重い。軽はずみな気持ちで貶めては必ずしっぺ返しが来るのだ。
【中々に爽快でしたが、これがまだ序章だというんですよね」
「うん。そうだね。というか、これで完全に私たちは国の敵だから、やらなきゃどうしようもないってのがあるけど」
【そうは言ってもカオリ楽しそうです】
「楽しいよ。リナージュも楽しそうに思えるけど?」
【一人だったらどうだったかは分かりませんが、カオリと一緒だと凄く楽しいです。ああ、私も向こうで動きたいです】
「それも楽しみにしてる。寝れば変わるのかな? ま、今は私のターンだから!」
【待ち遠しいですよ。ま、この待ち遠しさもぶつけてあげますよ】
「うん、じゃ行くよ。ええっと……あれだね、やっぱ囲まれてるっぽいなぁ」
そう言って私は空からセントフィールドの屋敷の方向へと飛んでいく。
身体は薄い風の被膜でガードしている。けれど気持ちいい風が体を撫でていくのは分かる。
ドレスがバサバサとはためいているのは、なんとも不格好なような気がするけどね。
夜の帳がすっかり落ち、リナージュが日本の文化に驚き、そしてその反応を楽しく思いながらベッドに横になったはず。
しかし気付いた時、目の前に現れたのは薄ら笑いを浮かべるアイゼンの姿と、その横で腕を組んでいるフローリア。
人々の罵倒の声。裏切者のアーシャ。割とどうでもいいマリエア。
つまり、再度リナージュの体を私が動かす状況になっていたのだ。
しかも寝て起きたと思った瞬間、前の続きかのように。
これ、夢と間違えてもおかしくないって!
(リナージュ! 起きてる?)
【はい、起きていますよ。こちらに戻ってきたという訳ですか。いやはや、目に映る光景に差があり過ぎて違和感が半端じゃないです】
(うん、まだ寝ぼけ眼って感じだよ。肉体的には覚醒しているというのに)
【しゃんとしてもらわないと困りますよ。私、アイゼンとアーシャ……いえ、今目に映っている全てのものが許せないのですから】
(分かった。じゃ、こっちの世界は私が全力でやっちゃうからね)
【ええ、魔力枯渇にだけは気を付けてください】
リナージュの知識や人生が流れ込んできた今、私はこの体の扱い方や魔力量と、以前は分からなかったことも手に取るようにわかっている。
問題ない。
私が人生の重みというものを、リナージュの嘆きというものを10倍で返す!
私は腕を組むと、指をつきつけたまま悦に浸っているアイゼンに向かって言い放った。
「婚約破棄。面白いですね。つまり、あなたは私に対して宣戦布告をした。この魔法学園主席リナージュ・セントフィールドに対してね!」
「な! 開き直ったか! おい、手筈通り拘束するんだ!」
当然私はそれを知っている。
影に隠れていた兵士が魔封錠を構えていることくらい。
全てが予習済み。全てが計算済み。まるで答案用紙に答えを書き写しているかのような感覚。
って、答案とか大分昔の事だなと思って少し落ち込んだのは内緒だよ。
「あはははは。誰に向かってそのようなことを言っているのですか? あなたの手筈では私は今項垂れているところでしょう?」
【私の体だというのになんだかゾクゾクします。悪役。いいですね、悪役って】
(い、いきなり口を挟まれるとびっくりするじゃない。このままいくよー)
【ええ、思う存分悪役を謳歌しちゃってください】
リナージュの楽しそうな声を聞くと私の心も奮いたつ。
アイゼンは僅かな焦りを見せたが、気を取り直したのか言葉を荒げた。
「いくらお前と言えども衆目も私の味方。つまり今のお前は完全な四面楚歌だ! 大人しくお縄につくがいい!」
「見誤りましたね」
「は……!?」
「あなたは私の実力というものを見誤っていると言ったのです。実力とは常に変化するもの。それをあなたは見誤った」
「な、何を言っているんだ……? 早くこの生意気なくそ女をひっとらえろ!」
駆けつけていた兵士が、さらにその足を速めようとした瞬間。
私は魔法を使用した。
壇上を駆けていた兵士たちの足がまるで石のように動かなくなり、そして地面から這うように霜柱が上がっていく。
ピキピキと乾いた音が耳に届き心地がいい。ゆっくりとつま先から膝、腰へと凍りついていく。
「な、何をしたんだっ!?」
「氷属性の魔法を強化するために分子の運動を止めるイメージで魔法を使用したのです。ま、あなたには生涯理解できることはないと思いますがね」
兵士は最終的に頭の先まで凍り付いて、恐怖に顔を染めた表情でごろんと壇上に転がった。勿論私が地を振動させて足元の氷を砕いたのだ。
死んだか死んでないかは難しいところだけど、上手く蘇生されることを祈ることにする。
「おい! 援軍を呼べ! 誰か、こいつをひっ捕らえろぉ!」
「流石にここで死屍累々の山を築く訳にはいきませんか。けれど、あなたたち……、必ず地に沈めてやりますから……。楽しみに待っててくださいね」
ドタドタと多くの人が集まってくる音が耳に届く。
予め人を用意しておいたのだろう。生徒たちは悲鳴をあげていて、私に何かしてくることはないし。
といってもこれで逃げるのは精神衛生上よろしくない。
まだまだやりたりない。
少しはアイゼンの化けの皮を剥がしておくべき。
そう思い私は魔法で石飛礫を作り上げるとアイゼンの腕に向かって放つ。
回転の力を加えることでその貫通力は格段に増す。鉄砲の原理だね。
「ぎゃぁ!」
アイゼンは防御をしようと試みたようだけど、飛礫はアイゼンの腕を容易く貫通し痛みと恐怖に顔を歪めた。
楽しくて仕方がないのは私の性格が悪くなったのかな?
「だ、誰に向かってこ……ぎゃっ!」
今度は生意気な口を開きかけたので腿を打ち抜いた。涙を流しながら地を這いつくばって逃げていく。
そのまま私の様子を見てか後ろに退いていたフローリアの後ろに隠れながら、ドレスをの裾を引っ張った。
フローリアは主人公だけあって油断できない相手だと感じる。
「ひぃぃ。フローリア、助けてくれ! サイゼリスの聖女とよばれたお前ならあいつをなんとかできるだろう?」
「ア、アイゼン。女の、しかも婚約者の私を盾にするというのですか?」
「い、今はそんな場合じゃないだろ!? あいつをなんとかしないといけない!」
「いつもの格好良いあなたはどこへいってしまったんですか? アイゼンだって魔法を使えるでしょう?」
「うるさいっ! 僕の魔法障壁を紙のように打ちぬいてきたんだ。あれは化け物だ!」
笑いをこらえるのが大変すぎる。
私の内からリナージュも楽しそうに笑ってるのも聞こえてくるし。
【アイゼンはやはり自分さえよければいいタイプの人間だった訳ですか。騙されていた自分が本当に情けないです】
(ま、仕方ないよ。そういうもんだから。というより私も同じだしね。さて、そろそろ逃げるよ?)
【ええ。すんなり片を付けては面白くないですから】
(うん、それもあるんだけど……。でもそれよりセントフィールドの屋敷も今攻められようとしてるわけだから、ここでのんびりはしていられないんだ)
【あ、そういえばゲームではそうでしたね。とりあえず、地盤を固めないといけませんか】
(うん。この目の前のやつらを片付ければ終わりってわけじゃない)
【ですね……。じゃ、最後にアーシャに……やっちゃってください】
(おっけい! 心抉るよー)
私はとびきりの笑顔を壇上に座り込んでいるアーシャに向けながら優しく声をかける。
「アーシャ……」
アーシャは驚きつつも不安げな顔で私の事を見上げてきた。
スパイをずっとやっていたというのに白々しい。自分だけ見逃してもらえるとでも思っているのだろうか。
「リナージュ様……」
はい、ここで一気に真顔に変化させて、
「かならずこうかいさせてあげるからおぼえておきなさい」
冷たく見下しながら言い放ってやるとアーシャは体をビクンと震わせた。それを見て、私の心はとりあえず満足したようだ。
勿論、今は……とつくけどね。
「では、さよなら。アイゼンと愚かな仲間たちさん」
「なっ、まてっ! ……は!?」
温かな上昇気流を作り上げ風魔法を融合て飛び上がる。アイゼンが間抜けな声を漏らす。
飛行魔法を知らないこの世界の人々は顔を驚愕に染めている。正直気持ちがいい。
ふわりと体を宙に浮かべ、ぐんぐんと高く飛び上がっていく。
何か言ってるような声も聞こえたが今はどうでもいい。
最後の仕上げが残っているので。
私は地上を見下ろしながら大きな水弾を空中に作り上げると風の力と火の力、全てのイメージを掛け合わせ高温の水流弾を作り上げた。
直径5メートル程で直接人にぶつければおそらく死に至るだろう。
勿論、そんなことはしない。
「いっくよー。熱湯の雨!」
といってもかなりの高度なので下に届くころには大分熱も引くと思う。それでも今はこれで十分。
ばしゃぁと水流弾は弾けると、地上に向かって熱い湯の雨が降り注ぐ。それに逃げ惑う人々。まるで人がゴミのようだ。
あがる阿鼻叫喚もリナージュを利用していたクズどものモノだと思うだけで、最上の交響曲のように心に響く。
人の人生は重い。軽はずみな気持ちで貶めては必ずしっぺ返しが来るのだ。
【中々に爽快でしたが、これがまだ序章だというんですよね」
「うん。そうだね。というか、これで完全に私たちは国の敵だから、やらなきゃどうしようもないってのがあるけど」
【そうは言ってもカオリ楽しそうです】
「楽しいよ。リナージュも楽しそうに思えるけど?」
【一人だったらどうだったかは分かりませんが、カオリと一緒だと凄く楽しいです。ああ、私も向こうで動きたいです】
「それも楽しみにしてる。寝れば変わるのかな? ま、今は私のターンだから!」
【待ち遠しいですよ。ま、この待ち遠しさもぶつけてあげますよ】
「うん、じゃ行くよ。ええっと……あれだね、やっぱ囲まれてるっぽいなぁ」
そう言って私は空からセントフィールドの屋敷の方向へと飛んでいく。
身体は薄い風の被膜でガードしている。けれど気持ちいい風が体を撫でていくのは分かる。
ドレスがバサバサとはためいているのは、なんとも不格好なような気がするけどね。
0
あなたにおすすめの小説
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
「君は有能すぎて可愛げがない」と婚約破棄されたので、一晩で全ての魔法結界を撤去して隣国へ行きます。あ、維持マニュアルは燃やしました。
しょくぱん
恋愛
「君の完璧主義には反吐が出る」――婚約者の第一王子にそう告げられ、国外追放を命じられた聖女エルゼ。彼女は微笑み、一晩で国中の魔法結界を撤去。さらに「素人でも直せる」と嘘を吐かれた維持マニュアルを全て焼却処分した。守護を失いパニックに陥る母国を背に、彼女は隣国の軍事帝国へ。そこでは、彼女の「可愛くない」技術を渇望する皇帝が待っていた。
【完結】悪役令嬢ですが、断罪した側が先に壊れました
あめとおと
恋愛
三日後、私は断罪される。
そう理解したうえで、悪役令嬢アリアンナは今日も王国のために働いていた。
平民出身のヒロインの「善意」、
王太子の「優しさ」、
そしてそれらが生み出す無数の歪み。
感情論で壊されていく現実を、誰にも知られず修正してきたのは――“悪役”と呼ばれる彼女だった。
やがて訪れる断罪。婚約破棄。国外追放。
それでも彼女は泣かず、縋らず、弁明もしない。
なぜなら、間違っていたつもりは一度もないから。
これは、
「断罪される側」が最後まで正しかった物語。
そして、悪役令嬢が舞台を降りた“その後”に始まる、静かで確かな人生の物語。
どうぞお好きになさってください
みおな
恋愛
学園に入学して一ヶ月。
婚約者の第一王子殿下は言った。
「学園にいる間くらい自由にさせてくれないか。君が王太子妃になることは決定事項だ。だから、せめて学園に通う二年間は、僕は恋がしたい」
公爵令嬢はその綺麗な顔に冷酷な笑みを浮かべる。
「好きになさればよろしいわ」
十六歳の妹の誕生日、私はこの世を去る。
あいみ
恋愛
碌に手入れもされていない赤毛の伯爵令嬢、スカーレット。
宝石のように澄んだ青い髪をした伯爵令嬢、ルビア。
対極のような二人は姉妹。母親の違う。
お世辞にも美しいと言えない前妻の子供であるスカーレットは誰からも愛されない。
そばかすだらけで、笑顔が苦手な醜い姉。
天使のように愛らしく、誰からも好かれる可愛い妹。
生まれつき体の弱いルビアは長くは生きられないと宣告されていた。
両親の必死に看病や、“婚約者の献身的なサポート”のおかげで、日常生活が送れるようになるまで回復した。
だが……。運命とは残酷である。
ルビアの元に死神から知らせが届く。
十六歳の誕生日、ルビアの魂は天に還る、と。
美しい愛しているルビア。
失いたくない。殺されてなるものか。
それぞれのルビアを大切に思う想いが、一つの選択をさせた。
生まれてくる価値のなかった、醜いスカーレットを代わりに殺そう、と。
これは彼女が死ぬ前と死んだ後の、少しの物語。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
「お前を愛する事はない」を信じたので
あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」
お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる